火縄銃(読み)ひなわじゅう(英語表記)matchlock gun

精選版 日本国語大辞典 「火縄銃」の意味・読み・例文・類語

ひなわ‐じゅう ひなは‥【火縄銃】

日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉六「我国の砲銃火縄銃のみ」

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デジタル大辞泉 「火縄銃」の意味・読み・例文・類語

ひなわ‐じゅう〔ひなは‐〕【火縄銃】

火縄によって発射薬点火させて弾丸発射する方式小銃。15世紀後半にヨーロッパ発明され、日本へは天文12年(1543)ポルトガル人によって種子島たねがしま伝来した。種子島火縄筒
[類語]鉄砲銃器飛び道具ピストル短銃拳銃はじき機関銃機関砲小銃ライフルライフル銃猟銃散弾銃空気銃大砲迫撃砲ショットガンエアガンマシンガンカービン銃バズーカ砲ガス銃ガトリング銃カラシニコフ騎銃救難銃軽機関銃ゲベール銃高圧電流銃三八式歩兵銃実銃自動拳銃自動小銃重機関銃準空気銃水中銃スタンガンスナイドル銃短機関銃単身銃単発銃鳥銃二連銃村田銃モーゼル銃連発銃遊戯銃玩具銃模型銃光線銃水鉄砲豆鉄砲紙鉄砲威し鉄砲空鉄砲剣付き鉄砲竹鉄砲ふところ鉄砲山吹鉄砲トイガンモデルガンエアソフトガンエアライフルビームライフル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火縄銃」の意味・わかりやすい解説

火縄銃
ひなわじゅう
matchlock gun

15世紀後半にヨーロッパで発明された火縄式点火機によって火薬に点火させる銃。銃口から黒色火薬と弾丸を込め、銃身後方にある火門孔に置いた点火薬に火縄の先をつけて点火・発射させる。日本には1543年(天文12)種子島(たねがしま)に漂着したポルトガル人によって伝えられた。火縄銃の口径は、重さが定められた鉛の球弾の重量とその直径で表示され、三匁筒(もんめづつ)(口径12.3ミリ)、六匁筒(口径15.8ミリ)、十匁筒(口径18.7ミリ)が一般的である。銃身長1メートルでの有効射程150メートル。最大射程は1000メートルに達する。発砲の速度は1分間に1発程度であるが、命中精度としては30メートルで直径5センチの円的に集中させることも可能である。戦闘に用いられた例としては、長篠(ながしの)の戦い(1575)における織田(おだ)・徳川連合軍の鉄砲による効果が旧来の戦術に大きな変革をもたらしたことで知られている。日本における火縄銃は種子島伝来以降、全国で製造が行われ、江戸時代末期まで続けられた。

[小橋良夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火縄銃」の意味・わかりやすい解説

火縄銃
ひなわじゅう
harquebus

最も初期の,肩にあてて構え発射する銃。今日のライフル銃と同様の銃床に火縄式の点火装置 matchlockを備え,施条 (ライフル) はない。 arquebusとも綴られ,hackbutとも呼ばれる。 15世紀半ばにスペインで発明された。火縄式点火装置で火皿の火薬に点火し,弾丸を発射する。多くの場合,かぎ状の留め金で取り付けられた支柱から発射され,発射時の反動を支えた。 harquebusという名は「かぎ状の留め金付きの銃」を意味するドイツ語に由来すると考えられる。口径はさまざまで,有効射程は 200m以下。 16世紀半ば,より大型のマスケット銃にその座を譲った。
日本には天文 12 (1543) 年に種子島に漂着したポルトガル人によってもたらされた。織田信長が長篠の戦いで大量に使用してその威力が認められ,戦争形態が一変した。幕末まで使用された。 (→種子島銃 )

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「火縄銃」の解説

火縄銃
ひなわじゅう

銃口から弾薬を装填し,火縄に点火して弾丸を発射させる鉄砲。16世紀中葉に倭寇の交易ルートを通じて日本の西南地方に伝来した。「鉄炮記」は天文12年(1543)8月,種子島に漂着したポルトガル人がこれを伝えたと記す。日本に伝わったのは,ヨーロッパ系の火縄銃に東南アジアで改良を加えたマラッカ型の瞬発式点火機をもつもの。瞬発式は命中精度が高く,武士層に歓迎され,薩摩筒・国友筒(くにともづつ)・堺筒など独自の改良を施した和銃が発展した。

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世界大百科事典 第2版 「火縄銃」の意味・わかりやすい解説

ひなわじゅう【火縄銃 matchlock】

銃をその撃発装置から分類したときの形式の一つ。15世紀末期にヨーロッパで出現した。引金を引くと火縄が火薬をのせた火皿におしあてられ着火し,火は火皿から孔(火口)によって導かれ発射薬を爆発させる。この装置が出現する以前は火縄を手で保持し射撃に際して手でおしあてるものであり,火縄銃の発明は銃の取扱いを簡単にし照準の精度を著しく向上させた。撃発装置には火縄銃とほぼ同時期に発明された歯車式,16世紀後半に発明された燧石(すいせき∥ひうちいし)式などがあり,西欧ではこれらの方式へと変化していった。

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百科事典マイペディア 「火縄銃」の意味・わかりやすい解説

火縄銃【ひなわじゅう】

火縄筒とも。15世紀末期ころヨーロッパで発明された銃。引金を引くと,ばねがはずれ,火縄をはさんでいる部分が火皿に打ちつけられ,火口から銃身内の火薬に引火して弾丸を発射。火縄は竹,檜皮(ひわだ)などの繊維でつくった縄に硝石を吸収させたもの。種子島銃の伝来で火縄銃は日本にも普及。幕末,雷管銃などが大量に輸入されると火縄銃は衰退。

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世界大百科事典内の火縄銃の言及

【小銃】より

…その代表的なものを登場の順にあげれば以下のようになる。(a)火縄式match‐lock 火のついた火縄を火皿上の点火薬に接触させるもの。(b)歯車式wheel‐lock 引金の操作により歯車を回転させ,これと黄鉄鉱などを接触させてこの火花で火皿上の点火薬に点火するもの。…

【武器】より

…火器としてはポルトガルから伝来した大砲が自力で製作されて使用されるようになったほか,鉄砲や短銃が使われていた。銃砲においては発火装置が重要なものであるが,このころの銃砲の発火発射装置はすべて火縄銃方式のものであった。また爆裂弾として地雷や水雷も使われた。…

※「火縄銃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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