火輪(読み)カリン

デジタル大辞泉 「火輪」の意味・読み・例文・類語

か‐りん〔クワ‐〕【火輪】

火が輪のように見えるもの。転じて、太陽のこと。
「星を連ねたる―の光の海に漂えるかとおもわる」〈鴎外訳・即興詩人
火輪車」「火輪船」の略。
密教で、五輪の一。
[類語](1太陽天日てんじつ日輪にちりん金烏きんう日天子にってんし白日はくじつ赤日せきじつ烈日れつじつお日様天道てんと今日こんにちサンソレイユ陽光日光日色にっしょく日差し日影天日てんぴ

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精選版 日本国語大辞典 「火輪」の意味・読み・例文・類語

か‐りんクヮ‥【火輪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 火が輪のように見えるもの。
    1. [初出の実例]「火の手はたの手さんらんし、風輪火りんあぶれ出、三界やぶるる斗也」(出典:浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)嫁入式三献)
    2. [その他の文献]〔元稹‐和李校書新題楽府・胡旋女〕
  3. ( 火の輪の意から ) 太陽の異称。日輪
    1. [初出の実例]「たぐれば千尋の大蛇(おろち)が形、眼は火輪ほのほのそびら」(出典:浄瑠璃・日本振袖始(1718)五)
    2. [その他の文献]〔韓愈‐桃源図詩〕
  4. かしゃ(火車)
    1. [初出の実例]「法の便りの牛車を棄て、罪の齎(もた)らす火輪(クヮリン)にも駕さんとは思したまふ」(出典:二日物語(1892‐1901)〈幸田露伴〉此一日)
  5. 仏語。密教で、一切の存在を五輪からなるものとしたその一つ。赤色で三角と表現されるもの。これを象った印相を火輪の印という。
    1. [初出の実例]「火輪随手方与円。種々変形任意遷」(出典:性霊集‐一〇(1079)十喩詩・詠旋火輪喩)
  6. かりんしゃ(火輪車)」「かりんせん(火輪船)」などの略。〔広益熟字典(1874)〕
    1. [初出の実例]「海波静穏にして、火輪の運転も殊に快駛なり」(出典:東京日日新聞‐明治一八年(1885)八月一三日)

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普及版 字通 「火輪」の読み・字形・画数・意味

【火輪】かりん

太陽。

字通「火」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の火輪の言及

【塔】より

…なお,籾(もみ)塔というのは,高さ2~3寸ほどの宝篋印形木製小塔で,平安時代末から鎌倉時代にかけてのものがあり,小塔供養に用いられたものであろう。五輪塔(図4)は方形の地輪,球形の水輪,宝形造の火輪,半球形の風輪,宝珠形の空輪からなるもので,平安時代から現れ,各輪四方に梵字を彫ったものが多く,最も多くつくられた石塔である。また板碑(いたび)は五重塔の簡略化されたものともみられよう。…

※「火輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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