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デジタル大辞泉
「炭層」の意味・読み・例文・類語
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炭層
たんそう
coal seam
石炭でできている堆積(たいせき)岩をいう。数千万年あるいはそれ以上古い時代に地球上に繁茂していた樹木の遺骸(いがい)が堆積して土砂をかぶり、その土砂とともに岩石になったものが炭層である。樹木は有機物であり、酸素、水素、炭素、硫黄(いおう)、リン、窒素等々の元素の化合物であるが、炭層はほとんど炭素分のみで形成されている。また、各種の地質変動を受け、炭層内にも断層褶曲(しゅうきょく)等がつねに介在している。一方、同じ時代に何回か繁茂・堆積を繰り返していたらしく、堆積層中には数枚、十数枚以上の炭層を含むことが多い。そこで、この堆積岩層を「夾炭層(きょうたんそう)」という。
世界の夾炭層はほとんど、地質時代でいえば古生代の石炭紀前後の裸子植物類の炭層を含んでいる。しかし、日本のほか世界各地(たとえば中国の撫順(ぶじゅん)炭鉱)にも新生代第三紀の松柏(しょうはく)類が石炭化したものもある。年代的には新しいので、亜瀝青(あれきせい)炭、亜炭層も多いが、日本炭および撫順炭のように良質の瀝青炭層も少なくない。
[磯部俊郎]
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炭層
たんそう
coal seam
地層中で層状をなして存在している石炭の単層。通常,夾み partingという石炭以外の岩石分,または灰分が多く燃料価値の低い粗悪炭の層が介在している。厚さは数 cmのものから 100m以上に及ぶものまであり,また一つの地層中に1~2枚から 20枚以上に及ぶ場合もある。このようなものを累層といい,石炭層をはさむ累層を夾炭層という。植物が長期間引続いて水中に堆積して厚い層となり,その上に砂泥が堆積し,数百万年ないし2~3億年上部の砂泥の圧力を受け,下部からは地熱の作用を受けて,炭化作用によって生成したものである。樹木が石炭になると容積は約 10分の1に収縮するといわれ,厚さ 1mの炭層は約 10mの樹木堆積から生成したものである。欧米では古生代石炭紀に形成されたものが多い。日本のものは比較的新しく新生代古第三紀に形成されたものであるが,地殻変動や火山活動が活発であったため,地中の熱や圧力による炭化作用が促進された結果比較的年代が新しい割に炭化が進んでいる。
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炭層【たんそう】
地層中に層状に存在す石炭の層。炭層を含む地質学的に一連の地層を夾(きょう)炭層という。炭層には根源植物が繁茂したその場所に生成された現地炭層と,他に流され堆積して生じた流積炭層があり,一般に前者のほうが規模が大きい。炭層の厚さを炭鉱では炭丈(すみたけ)と称し,100m以上の厚いものもあるが,稼行(かこう)対象とならない1cm以下の薄層もある。
→関連項目石炭|炭鉱|炭田
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たんそう【炭層 coal bed】
岩層の間に層状に存在している石炭の層。炭層を含む地質学的に一連の地層は夾炭層といい,その中にふつう数枚の炭層が含まれている。炭層はしばしば薄い岩層を含んでいるが,これを夾み(はさみ)といっている。したがって石炭の部分は炭層の全厚よりも少ないのが普通であり,炭層全厚を山丈(やまたけ),その中の石炭部分の総厚を炭丈(すみたけ)という。夾みの入り具合,厚さ,石炭部の炭質の変化,厚さ等の構成(俗に飾りという)は炭層ごとでもちろん相違するが,同じ炭層でも地域によって変化する。
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