炭酸のバリウム塩。天然には毒重石(どくじゅうせき)として産する。水酸化バリウムの水溶液に二酸化炭素を通じるか、バリウム塩の水溶液に炭酸アルカリを加えると沈殿してくる。工業的には、重晶石BaSO4を600~800℃で炭素で還元して硫化バリウムとし、その熱水溶液に二酸化炭素を通じて製造する。普通は無色の斜方晶系の結晶であるが、ほかに非晶質と六方晶系結晶の二変態がある。水にはほとんど溶けない。酸によって分解して二酸化炭素を発生する。二酸化炭素を含む水には炭酸水素バリウムとなって溶ける。炭酸カルシウムに比べ熱分解しにくい。バリウム塩やクリスタルガラス、光学ガラスの原料となるほか、陶磁器やほうろうのうわぐすり、金属熱処理の浸炭剤、殺虫剤や殺鼠(さっそ)剤に用いられる。有毒。
[鳥居泰男]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
BaCO3(197.34).天然には毒重石として産出する.バリウム塩水溶液に炭酸アルカリを加えるか,水酸化バリウム水溶液に二酸化炭素を通じると得られる.α,β,γ形の三変態がある.普通は斜方晶系のγ形だが,高圧二酸化炭素中811 ℃ で非晶質のβ形に,982 ℃ で六方晶系のα形に転移する.融点1740 ℃(90 atm).密度4.43 g cm-3.空気中で加熱すると1450 ℃ で分解する.水に難溶.バリウム塩,光学ガラス,ブラウン管,電子材料,蛍光体,うわぐすり,塗料などの原料,殺そ剤などに用いられる.有毒.[CAS 513-77-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...
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