炭酸水素カルシウム(読み)たんさんすいそカルシウム(その他表記)calcium hydrogencarbonate

改訂新版 世界大百科事典 「炭酸水素カルシウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸水素カルシウム (たんさんすいそカルシウム)
calcium hydrogencarbonate

化学式Ca(HCO32。酸性炭酸カルシウムacid calcium carbonate,重炭酸カルシウムcalcium bicarbonateとも呼ばれるが,俗称で正しい名ではない。炭酸カルシウムは水に難溶であるが,二酸化炭素を含む水には溶ける。これは,次の反応で生じた炭酸水素カルシウムが水に可溶性であるためである。

 CaCO3+H2O+CO2─→Ca(HCO32

しかし,この溶液を加熱したり,放置蒸発させて炭酸水素カルシウムを析出させようとすると上の反応は逆行し,ふたたび炭酸カルシウムが沈殿するので,固体の炭酸水素カルシウムは得られない。鍾乳洞鍾乳石石筍(せきじゆん)は,洞窟をつくっている石灰岩(炭酸カルシウム)が上の反応で水中に溶け出し,それから炭酸カルシウムが再沈殿する過程で生じたものである。なお,このようにHCO3⁻イオンを含む炭酸水素塩がCO32⁻イオンを含む炭酸塩より水に溶けやすくなる例は他の金属の場合にも多いが,アルカリ金属塩ではその逆になる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 曽根

ローマ法王ともいう。ラテン語 Papaの称号はカトリック教会首長としてのローマ司教 (教皇) 以外の司教らにも適用されていたが,1073年以後教皇専用となった。使徒ペテロの後継者としてキリスト自身の定...

教皇の用語解説を読む