翻訳|anhydride
一般に無水塩、無水酸化物、酸無水物、塩基無水物などをいうが、もっとも普通には無水酸化物をいう。次のような場合がある。
(1)塩結晶の無水物 結晶が結晶水を含まない状態になった場合をいう。
(2)酸の無水物 酸の化学式から水1ないし2分子がとれた形の化合物で、たとえば二酸化炭素CO2、三酸化硫黄(いおう)SO3、三酸化二ヒ素As2O3、五酸化二リンP2O5などは、それぞれ炭酸H2CO3、硫酸H2SO4、亜ヒ酸H3AsO3、リン酸H3PO4などの無水物である。
このほか、有機酸の無水物、たとえば無水酢酸(CH3CO)2O、無水安息香酸(C6H5CO)2O、無水フタル酸C6H4(CO)2Oなどは酸無水物といっている。
(3)塩基の無水物 アルカリ金属、アルカリ土類金属などの酸化物で、たとえば酸化カルシウムCaOは塩基の水酸化カルシウムCa(OH)2の無水物である。
(4)液体の無水物 酢酸CH3COOHは常温で無色の液体であるが、水とよく混ざり合う。そのため、とくに水を含まない、すなわち100%の酢酸の呼称が必要になるが、これは前記の無水酢酸と区別して氷(ひょう)酢酸といっている。またエタノール(エチルアルコール)は水によく溶けるが、水と水素結合をつくって共沸混合物となり、通常の蒸留によっては完全に脱水することはできず、95%程度にしかならない。完全に脱水するためには生石灰を加えて脱水し、蒸留する。こうしてできたものは無水エタノールとよばれる。
[中原勝儼]
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