物体の重さが感知されなくなった状態。重さは、引力を受けている物体が、その支えとなっているものに及ぼす力として表される。したがって、物体とそれを支えるものとが自由に動く場合には、物体も、それを支えているものも、ともに同じように自由落下運動をするから、物体はその支えにまったく力を及ぼさず、物体の重さは全然感知されなくなる。すなわち重さがなくなったことになる。ここでたいせつなことは、物体も、それに相対するものも、自由落下をするという状態であって、それは、ほとんど真空とみられる宇宙空間でなければ実現されない。宇宙機が、ロケットの推進を止めて宇宙飛行をしているときは、まさにそのような状態にある。すなわち、宇宙機は重力だけに支配されて自由運動をしており、宇宙機の中の物体も、まったくそれと同じ自由運動をするから、物体は宇宙機に力を及ぼさず、重さは喪失したことになる。これは宇宙飛行の特色である。物体は宇宙機の中で浮いてしまうし、コップに入れた液体は逆さにしても落ちない。上下の区別がなくなるからである。その一方、重さはなくても液体の表面張力はそのままだから、液体はみな球状となり、宇宙機の中を浮遊する。また浮力や対流も、重さの差に基づくものだから、無重量状態ではそれらも消える。これは、均一な合金をつくるための非常に有利な条件であり、その利用に期待がもたれている。なお無重量のことを無重力とよぶことがあるが、重力そのものがなくなるのではないから、これは正確な言い方ではない。
[新羅一郎]
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…実際の人工衛星の飛行高度は,低いものでもその近地点高度は150km程度だが,熱圏を飛行する場合には,同様に大気による抗力を受け,また大気の流れの影響も受けるため,徐々にエネルギーを失っていき,最後には濃い大気に突入する。
[宇宙空間での人間活動と宇宙環境]
宇宙空間での人間活動に関する環境を考えるとき,人間の永久居住は20年または30年後の研究課題であるから,太陽活動の変動までを考慮する必要は当分なく,現実的な問題となるのは紫外線,X線,宇宙線,宇宙塵,無重量状態などである。紫外線は生物の皮膚に紅斑を生じさせたり結膜炎を発生させる原因となり,有人宇宙船の飛行高度では人間の皮膚が太陽からの紫外線にさらされると,地上の10~50倍の速度で紅斑ができるといわれるが,宇宙船および宇宙服の窓材料を適当に選べば,紫外線を宇宙船内の人間まで通過させなくすることは容易である。…
※「無重量状態」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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