精選版 日本国語大辞典 「熱量計」の意味・読み・例文・類語
ねつりょう‐けい ネツリャウ‥【熱量計】
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物理的または化学的変化に伴って出入りする熱量を測定する装置の総称.物理的変化としては,物質の温度上昇の際に吸収する熱量(熱容量)の測定に用いられるほか,液体に吸収された放射線エネルギー測定の基準的な方法としても用いられる.化学的変化としては,一般の化学反応における反応熱のほか,溶解熱,希釈熱,混合熱,湿潤熱,吸着熱などの測定に広く用いられる.これら化学的変化に用いられる熱量計の原理は,放出または吸収された熱量による反応系(試料,反応容器,かくはん器,温度測定素子,検定用電熱線などを含む)の温度変化を,反応の前後にわたって精密に測定する.反応系の熱容量(熱量計の熱当量あるいは水当量ともよばれる)をC,試料の物質量をn,測定された温度変化をΔTとすれば,試料1 mol 当たりの熱量QはQ = CΔT/nで与えられる.別法として,反応容器の周囲を液-固2相が平衡にある物質(例:水-氷)で囲み,反応容器から伝達された反応熱による相変化に伴う体積変化を測定する方法(定温熱量計)もある.しかし,一般には反応容器と周囲との間の熱交換をできるだけ小さくすることが望ましい.その化学反応が液体中で行われる場合は,かくはん器,温度測定素子,検定用加熱電線を備えた円筒形金属製容器中に試料を入れ,これをさらに1 cm 程度の空気層を隔てて同心円状の中間筒中に置き,これを定温の水槽中に沈める.反応容器としてデュワー瓶を利用することも多い.温度測定にはベックマン温度計,白金(または銅)抵抗温度計,サーミスター,銅-コンスタンタン熱電対などが用いられる.反応を行う2物質の混合には,一方の物質をガラス製アンプル中に封入したものを破壊するなどの方法がとられる.熱当量の測定は,検定用電熱線に一定量の電流を一定時間通じ,ジュール熱による温度上昇を測定して求める.特殊な構造をした熱量計として,有機化合物の燃焼熱の測定に広く用いられるボンベ熱量計がある.また,反応系の周囲を真空とし,外界との熱交換をなるべく小さくする場合も多い.いずれの場合も,器壁,電気導線などを通じて多少とも外界との熱交換は避けられないから,測定された温度変化にはこれらの補正を必要とする.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
熱量を測定する装置で、比熱、潜熱、反応熱などの測定に用いられる。カロリーメーターともいう。
測定系に圧力変化のない定圧熱量計と、密閉容器のように圧力変化はあっても一定容積のもとで測定が行われる定容熱量計に分類される。気体の燃焼熱を測定する炎熱量計は前者に属し、液体および固体燃料の発熱量を測定するのに広く用いられるボンブ熱量計は後者に属する。
[成澤芳男]
熱量計は測定原理の違いにより次の3種に大別される。(1)試料のもつ熱量または試料の反応により発生した熱量を、熱容量既知の物体と混合してその温度上昇を測定するもの(金属熱量計、液体熱量計、炎熱量計、流水熱量計、ボンブ熱量計)。(2)試料の熱量を潜熱既知な、たとえば氷と水の二相平衡系に吸収させ、その相変化した量を測定するもの(氷熱量計、蒸気熱量計)。(3)試料に一定量の電気エネルギーを加え、試料の温度変化(比熱の場合)、相変化量(潜熱の場合)を測定するもの(流動熱量計)。
(1)のものでは温度変化の測定がもっとも重要で、そのためベックマン温度計、熱電対(つい)または抵抗温度計などの精密温度計が用いられる。加熱と温度測定を電気的に行う各種の電気熱量計が知られているが、電気熱量計が精度はもっとも高い。
熱量測定においては、熱量計の温度変化に伴って熱量が外部に漏出し、誤差の原因となるので種々の改良が行われている。これには、(4)熱量計の周囲を金属製の円筒または氷槽にて断熱シールドし、熱量計の温度変化に応じ断熱シールドの温度を調節して熱量計と等しい温度に保ち、熱量計から熱が漏出しないようにするもの(断熱熱量計)。(5)電気的な方法で、試料の発生する熱量と大きさが等しく符号反対の熱を発生させ、熱量計を一定温度に保ち、一方、熱量計の周囲も一定温度に保って熱量計からの熱の出入りを防ぐもの。最近は吸熱の反応熱測定にこれを適用しているものが多い。(6)まったく同じ材料で二つの熱量計をつくり、一方で熱量未知の反応をさせ、他方で電気的エネルギーを加えて二つの熱量計をつねに同一温度に保ち、電気的エネルギーの量から熱量を測定するもの(双子型(ふたごがた)熱量計)。
以上の熱量計のうち、(2)、(5)を等温熱量計と総称し、(6)を除くほかのものを非等温熱量計という。
[成澤芳男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…温度上昇の測定には熱による起電力の発生を利用した熱電対,または熱による板の電気抵抗の変化を利用したボロメーターの原理を利用する。また,放射照度の測定でなく,例えばレーザーのパルスのような短時間の発光の,初めから終りまでの全エネルギーを測定する形式のものもあり,これは一種の熱量計である。【大場 信英】。…
※「熱量計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...
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