片し(読み)カタシ

デジタル大辞泉 「片し」の意味・読み・例文・類語

かたし【片し/片足】

《「かたあし(片足)」の音変化》
二つあるもののうち一つ片方
薩摩下駄の―も投散されたる中に」〈紅葉金色夜叉
一方の足。片足かたあし
お里踏脱くつぬぎへ―おろして」〈人・閑情末摘花・初〉
細長いものの1本一挺いっちょう
剃刀かみそり―見えける」〈浮・諸国ばなし・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「片し」の意味・読み・例文・類語

かたし【片・片足】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. (つい)になっているものの片方。片一方。
      1. [初出の実例]「うへの袴をかへざまに着、かたしに足二つをさし入れて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)あて宮)
    2. 剃刀、簪(かんざし)など、細長い道具一本。一挺(いっちょう)
      1. [初出の実例]「さまざまの菓子つみて、剃刀かたし見へける」(出典:浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)二)
    3. ( 片足 ) 片方の足。足一本。かたあし。
      1. [初出の実例]「両の翅の相ひ去ること三百卅六万里也。閻浮堤は止(ただ)其の一足(カタシ)をのみ容る」(出典:法華義疏長保四年点(1002)一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 下に打消の語を伴って ) 少しも。いささかも。
    1. [初出の実例]「食物等かたしなければ、杞菊なんどをもとって食して」(出典:四河入海(17C前)一四)

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