片付く(読み)カタヅク

デジタル大辞泉 「片付く」の意味・読み・例文・類語

かた‐づ・く【片付く】

[動カ五(四)]
物が、置いておくのに適当な場所にきちんと納まる。散らかっていた物が整えられた状態になる。「やっと部屋が―・いた」「机の上が―・く」
物事一定の形に決まる。事態が落ち着く。
人間運命は中々―・かないもんだな」〈漱石道草
めんどうな物事がうまく収拾される。問題などが解決する。「例の一件が―・いた」「懸案が―・く」
嫁にいく。「娘が―・く」
じゃまになる者がいなくなる。
あるものに片側が接する。
「谷―・きて家居せる君が聞きつつ告げなくも憂し」〈・四二〇七〉
[動カ下二]かたづける」の文語形
[類語](3纏まる折り合う締め括る纏める終わる済む上がる引ける跳ねる終了する完了する完結する結了する終結する終決する終止する終息する閉幕する幕になる幕を閉じるちょんになるけりが付くかたが付く譲歩する妥協する歩み寄る折れる/(4嫁ぐ嫁する嫁入り輿入れ結婚縁付く縁を結ぶ縁結び玉の輿に乗る結ばれる妻帯さいたいする身を固める所帯を持つ一緒になる連れ添う添い遂げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「片付く」の意味・読み・例文・類語

かた‐づ・く【片付】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. 片方に寄る。片寄る。多く「山(海・谷)かたつく」などの形で用いられる。
      1. [初出の実例]「谷可多頭伎氐(たにカタヅキて) 家居れる 君が聞きつつ 告げなくもうし」(出典万葉集(8C後)一九・四二〇七)
      2. 「夕間暮やまかたつきて立鳥のはをとにたかをあはせつるかな」(出典:散木奇歌集(1128頃)冬)
    2. ある者のほうにつく。付き添う。したがう。
      1. [初出の実例]「人の国も皆我国にかたつきてなびきしたがふ時は来にけり」(出典:万書留(1653頃))
    3. ( から ) 嫁入りする。縁づく。「嫁く」とも書く。
      1. [初出の実例]「おく様とはだのあはぬ悪性な殿、いまだかたづかぬお姫様などの風上にもいやな物也」(出典:浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)上)
    4. 気持態度、形などが落ち着く。どちらかにはっきり定まった状態になる。
      1. [初出の実例]「よしあしとても捨られはせずかたつかぬ心こそほんのさとりなれ」(出典:俳諧・野集(1650)六)
      2. 「印袢天を着た男が、立つとも坐るとも片附かずにのらくらしてゐる」(出典:永日小品(1909)〈夏目漱石〉人間)
    5. 散らかっている物が置かれるべきところにきちんと整えられている。整頓される。
      1. [初出の実例]「酒で痛のとまる腹癖〈車庸〉 片づかぬ節句の座敷立かはり〈洒堂〉」(出典:俳諧・其便(1694))
      2. 「狭いなりに一室がきちんと整理(カタヅ)いて居る」(出典:巡査(1902)〈国木田独歩〉)
    6. 物事が解決される。仕事が処理されて終わる。
      1. [初出の実例]「宿の亭主が欲張で、思ひの外に片付(カタヅ)かず。〈略〉漸々(やうやう)と三十両で請戻(うけもど)し」(出典:人情本・湊の月(1844‐47)後)
    7. じゃまな者がいなくなる。特に死ぬことをいう。
      1. [初出の実例]「あたし達なんかさっさと片付いちゃったほうが、こんななま殺しの辛い目みるよりいいみたい」(出典:闘(1965)〈幸田文〉七)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙かたづける(片付)

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