片手(読み)カタテ

デジタル大辞泉 「片手」の意味・読み・例文・類語

かた‐て【片手】

片方の手。隻手せきしゅ
相対するものの一方。「舞台片手
一組みのものの片方。また、一方にだけあること。「手袋片手
《片手の指の数から》「五〇」「五万」など、五のつく数を示す。「片手におまけしましょう」
二つ以上のことを同時に行うこと。かたてま。
勧進聖になりてめぐる、その―にあらあら見物せばやとて」〈仮・東海道名所記・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「片手」の意味・読み・例文・類語

かた‐て【片手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一方の手。手の片方。隻手(せきしゅ)。⇔両手諸手(もろて)
    1. [初出の実例]「斎瓮(いはひへ)を 前にすゑ置きて 一手(かたて)には 木綿(ゆふ)取り持ち 一手(かたて)には 和細布(にきたへ)(まつ)り」(出典:万葉集(8C後)三・四四三)
  3. あい対するものの片方。一方の相手。相手。
    1. [初出の実例]「源氏中将は、青海波(せいがいは)をぞ舞ひ給ひける。かたてには、大殿の頭の中将」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  4. 二つ以上のことを同時に行なうこと。一方。かたわら。片手間
    1. [初出の実例]「勧進聖(かんじんひじり)になりてめぐる、そのかた手にあらあら見物せばやとて」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)一)
    2. 「蘭学も漸く方角の分るやうになる其片手(カタテ)に有らん限り先生家の家事を勤めて」(出典:福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉長崎遊学)
  5. ( 片手の指の数から ) 五の数を示す。五十、五百を示すこともあり、隠語的に用いられる。
    1. [初出の実例]「流石(さすが)命のかなしさに片手出し」(出典:雑俳・柳多留‐一二〇(1832))
  6. ( 二本の矢を一手(ひとて)というのに対して ) 一本の矢。片手矢(かたてや)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  7. 棒術の技の名。
    1. [初出の実例]「棒の秘術の水ぐるま、横車腰車かた手輪違」(出典:浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)下)
  8. かたておけ(片手桶)」の略。

へん‐しゅ【片手】

  1. 〘 名詞 〙 片方の手。かたて。隻手。

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