はん【版】
〘名〙
※天草本伊曾保(1593)扉「コレヲ fanni(ハンニ) キザム モノ ナリ」
※
咄本・
醒睡笑(1628)一「小雨ふり、版に刷りたる紙ぬれけり」
② ①の大きさ。版面。転じて、書籍などの大きさをいう。ばん。
③ 印刷すること。また、印刷して刷り物、
書物を作ること。また、
増刷などして作製する場合、その一回分を数えるのにいう。「
初版」など。
すり。
※雲がくれ(1959)〈
唐木順三〉「『
置土産』は〈略〉元祿六年(一六九三年)に初めて版となった」
へん【版】
〘名〙 (「へん」は「版」の呉音)
元日節会などの朝廷の儀式の時、参列者の位置を示すため、目印として置かれた木の板。令制では七寸(約二一センチメートル)四方、厚さ五寸(約一五センチメートル)の板に、皇太子以下参列者の位階を漆で書いた。また、それに定められた順位。へんに。へんい。
※内裏式(833)七日会式「経二左近陣南一就レ版」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「版」の意味・読み・例文・類語
はん【版】
[名]
1 印刷で、インキを紙面に移す仲立ちとなるもの。印刷版や版木。版式により、凸版・凹版・平版、また木版・活版などがある。
2 印刷版や版木を用いて印刷すること。また、出版すること。「版を重ねる」
3 (「ばん」の形で、他の語の下に付いて)
㋐新聞や雑誌などが、その地域や読者層に向けて作ったものであることを表す。「地方版」「学生版求人サイト」
㋑あるものを、その様式で作り替えたことを表す。作り替えたように似ていることにもいう。「映画版『伊豆の踊子』」「男性版シンデレラ」
[接尾]助数詞。出版物の刊行回数を数えるのに用いる。上に来る語によって「ぱん」ともなる。「第三版」
[類語]増刷・増刊・復刊・再刊・再版・復刻・翻刻・影印・初版・改版・絶版・新版・旧版・バージョン
へん【▽版】
朝廷の儀式のとき、参列者の位置を示すため、目印として置かれた木の板。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
版
“(1)同一出版者が同一原版を用いて発行する刊行物の刷り.(2)同一マスターを用いたコピーの全体”(『日本目録規則1987年版改訂3版』用語解説).印刷原版やマスターなどに変更がなされたもの,すなわち著作の内容に改訂などの変更が加わったもの(第2版,改訂版など)を始めとして,外装にのみ差があるもの(豪華版,縮刷版など)や,著作の形式や用途の違いによるもの(日本語版,抄録版など)も,特定の版とみなされる.また,勅版,官版,駿河版,古活字版などの書誌学の用語は,出版者,出版地,版式などの意で「版」という表現を用いたものである.
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
版
へん
儀式などで官人のたつべき場所を示した指標。儀制令によると,7寸四方,厚さ5寸の板に,漆でそこにたつ官人の品位などを書く(「延喜式」によれば,元旦朝賀には8寸四方のものが使われる)。この版で定められた位次を版位という。朝庭に常置されたもの(尋常版位)と,儀式の事前に中務(なかつかさ)省または式部(しきぶ)省がおいていくものがあり,後者には宣命使(せんみょうし)がたつ宣命版位がある。唐制では皇帝以下の版が規定されるが,日本では天皇の版はなく,皇太子以下のみ規定される。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
版
はん
(1) 印刷にあたって,印刷インキなどを紙などの被印刷体に転写させるための面をもつ用具。 (2) 版木。 (3) 一つの版から印刷された書物の総称。最初の版で印刷されたものを第1 (初) 版,改訂,増補などを加えるに従い第2版,第3版などと呼ぶ。 (4) 書物の装丁や用紙の相違による区別。保存版,普及版など。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典内の版の言及
【製版】より
…印刷に用いる版を製作すること。インキジェット印刷のように版を用いない方法も開発されているが,現在の印刷は,まず原稿から版を作り,これにインキをつけて,紙,あるいは他の物体に押しつけて原稿と同じ模様をうつすという方式がほとんどである。…
※「版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報