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デジタル大辞泉
「牧歌」の意味・読み・例文・類語
ぼっか【牧歌】[作品名]
《原題、〈フランス〉Bucoliques》シェニエの詩作品。草稿のまま残されたもので、執筆年代は1778年ごろまでとされる。作者没後の1819年に、詩人ラトゥーシュが編纂し「シェニエ全集」として刊行。「タラントの乙女」などを収録。
《原題、〈ラテン〉Bucolica》古代ローマの詩人ウェルギリウスの第1詩集。全10歌。紀元前37年頃完成。別題「詩選(エクロガエ)」。
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牧歌
ぼっか
pastoral
文学のジャンルとしては,アレクサンドリアに住んだテオクリトスが故郷シチリア島に対する望郷の念から,少年時代の回想のなかで田園と羊飼いを歌ったのに始る。牧歌には次の3つの形が認められるが,原型はすべてテオクリトスにある。 (1) 羊飼いが恋の喜びや悲しみを歌い,互いに歌の優劣を競い合うもの。 (2) 羊飼いが報われぬ恋の嘆きを恋人の賛美の歌に託するもの。 (3) 羊飼いが仲間の死を悲しみ,葬送の悲嘆,慰めなどを歌うもの。牧歌はウェルギリウスによってジャンルとして確立され,同時に実際の羊飼いを歌うよりも都会人が田園生活にいだく夢,人間が家畜を牧して平和に暮した理想的な黄金時代を描くものとなった。ルネサンス期には牧歌は風刺や寓意の手段としても利用された。また牧歌劇や散文の牧歌的ロマンスもこの時期に生れた。特にスペインの J.モンテマヨルの『ディアナ』 (1559頃) ,フランスの H.デュルフェの『アストレ』 (1607~27) が名高い。 18世紀になると牧歌はジャンルとしては衰え,田園生活の満足と平和を歌う瞑想詩に同化された。
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ぼっか【牧歌】
田園を舞台に,羊飼いたちを主人公にした文学をいう。パストラルpastoralの訳語。語源はラテン語のpastor(〈牧羊者〉の意)である(イディルidyllは別語源だが,パストラルと同じ内容で用いられることが多い)。田園詩と呼ぶこともあり,羊飼いのほか,牛飼い,農夫らも登場した。前3世紀のアレクサンドリアの詩人テオクリトスによってジャンルとして確立されたが,彼自身は羊飼いでも農民でもなく,腐敗した宮廷に仕える宮廷詩人であった事実に注目すべきであろう。
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世界大百科事典内の牧歌の言及
【パストラル】より
…田園曲,牧歌などと訳され,音楽においては,広義にはベートーベンの《パストラル・シンフォニーSinfonia pastorale(田園交響曲)》の場合のように,田園的な気分を指し示す意味に用いられる。しかし,歴史的に眺めてみると,中世からルネサンスにかけては,〈羊飼いの恋〉をテーマにした抒情詩や劇詩と手を携えて,世俗歌曲やオペラの中で,いわゆる〈パストラルもの〉が有力な一ジャンルを形成した。…
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