少年法で、罪を犯した18歳または19歳の者をさす。これらの者は、同法において手続上および処分上で18歳未満の者とは異なる取扱いを受ける。2021年(令和3)5月に行われた少年法の一部改正により導入された(2022年4月施行)。18歳・19歳の者は、一方において、選挙権および憲法改正の国民投票権が付与され、また民法上も成年者として位置づけられたが、他方において、類型的にみて、いまだ十分に成熟しておらず、成長発達の途上にあり可塑性も有しているため、少年司法上および刑事司法上で18歳未満の者とも20歳以上の者とも異なった取扱いを受けるべきものと考えられている。特定少年には、少年法上で以下のような18歳未満の者とは異なる取扱いが定められている。
第一に、特定少年には、虞犯(ぐはん)少年の規定が適用されない(少年法65条1項)。
第二に、特定少年には、検察官送致についての特例があり、18歳未満の者と比較してより検察官送致決定を受けやすくなっている(同法62条、63条)。18歳未満の者と異なり、罪種に関係なく、刑事処分を相当と認めるときには、検察官送致が可能であるし、また、原則的に検察官送致決定を行う事件の範囲も、犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪の事件だけでなく、特定少年が犯した死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪の事件も含めるなど、18歳未満の者の場合よりも広いものとなっている。
第三に、特定少年には、保護処分についての特例があり、保護処分の種類は、6か月の保護観察、2年の保護観察、少年院送致の3種とされる(同法64条)。2年の保護観察については、少年の行状が悪化した場合に、保護処分時に定めた1年以下の期間で少年院に収容することができる。また、少年院送致については、3年以下の期間で収容する期間を定めなければならない。責任主義も踏まえ、これらの保護処分の種類および少年院収容期間は、「犯情の軽重を考慮して」定められるものとしている。
第四に、特定少年には、刑事手続・刑事処分に関連した各種規定の適用除外が定められている(同法67条、68条)。18歳未満の者に適用される不定期刑、換刑処分たる労役場留置の禁止、仮釈放等に関する特則、資格制限に関する特則などの規定が特定少年には適用されない。また、特定少年が行った犯罪について、略式手続の場合は除き、起訴されたときには推知報道(少年の氏名、年齢、容貌(ようぼう)等により当該事件の本人と推知できるような記事または写真の出版物への掲載)の禁止が解除される。
[小西暁和 2022年6月22日]
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