(読み)ムジナ

デジタル大辞泉 「狢」の意味・読み・例文・類語

むじな【×狢/×貉】

アナグマ別名 冬》「山がつや―しとめし一つだま/蛇笏
毛色がアナグマに似ているところから混同して》タヌキのこと。 冬》
《「同じ穴の狢」の略》同類悪党
「―めらなぞと女房は寄せ付けず」〈柳多留・二七〉

もじな【×狢/×貉】

むじな」の音変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「狢」の意味・読み・例文・類語

むじな【狢・貉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あなぐま(穴熊)」の異名。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「是の犬、山の獣名を牟士那(ムシナ)といふを咋ひて殺しつ」(出典日本書紀(720)垂仁八七年二月)
  3. たぬき(狸)」の誤称。狸の毛色が穴熊に似て、混同されることが多いところからいう。《 季語・冬 》 〔文明本節用集(室町中)〕
  4. ( ふつう狸の皮でつくるところから ) 「ふいご(鞴)」の異称。
    1. [初出の実例]「合槌は狐むじなは火をおこし」(出典:雑俳・柳多留‐三二(1805))
  5. ( 「同じ穴の狢」の略 ) 同類の悪党。
    1. [初出の実例]「むしなめらなぞと女房は寄せ付ず」(出典:雑俳・柳多留‐二七(1798))

うじな【狢】

  1. 〘 名詞 〙むじな(狢)
    1. [初出の実例]「陸奥国に狢(ウジナ)有りて人に化(な)りて歌(うたうた)ふ」(出典:日本書紀(720)推古三五年二月(岩崎本訓))

かく【狢・貉】

  1. 〘 名詞 〙むじな(狢)」の漢名。〔十巻本和名抄(934頃)〕〔列子‐湯問〕

もじな【狢・貉】

  1. 〘 名詞 〙 「むじな(狢)」の変化した語。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「狢」の意味・わかりやすい解説


むじな

動物学上の呼称ではなく、哺乳(ほにゅう)類のタヌキまたはアナグマの俗称。貉とも書く。妖怪(ようかい)視されることが多く、化けて人をだましたり、山道を歩いていると砂をまき掛けたりするほか、高僧になりすまして犬に噛(か)み殺された話、汽車に化けて本当の汽車にひき殺された話などもある。人を化かす点はタヌキと同様で、しかしどこか憎めないところがある。関東から東北にかけて、10月10日の十日夜(とおかんや)の藁(わら)鉄砲を「狢ばったき」といい、狢追いをする。福井県の一部では、小正月(こしょうがつ)に青年たちが狢狩りという予祝行事をしたという。

[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「狢」の解説

狢 (ムジナ)

動物。イタチ科の哺乳動物。アナグマの別称

狢 (ムジナ)

動物。イヌ科の動物。タヌキの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

今日のキーワード

春闘

春の時期に労働組合が一斉に賃上げ、労働条件の改善に関する交渉を行なうこと。欧米では、産業別に強力な労働組合が存在し、それらが労働条件改善への闘争を繰り広げて成果を得てきた。だが、日本では企業ごとに労働...

春闘の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android