しし‐ぐち【獅子口】
〘名〙
①
屋根につける
棟飾(むねかざ)りの一つ。
鬼瓦の代わりに棟の
両端に置く瓦。側面に
山形の
綾筋(あやすじ)があり、
上方に経の巻
(まき)という三個の丸瓦をつけたもの。
神社、
宮殿など
檜皮葺(ひわだぶき)屋根に
瓦棟をおいた時、あるいは唐破風
(からはふ)の棟に用いる。
※書言字考節用集(1717)二「蚩吻 シシクチ 俗謬二蚩尾一為二蚩吻一。称レ模二蚩尤首一或設二鬼頭一或為二口脣一以置二屋宇一冝レ照二考遠一」
②
能面の一つ。
獅子のように口を大きく開き、牙
(きば)をむき出した凶暴な面相のもの。「
石橋(しゃっきょう)」などに用いる。
③ 竹製の
花器の一つ。長さ約三〇センチメートルで、生け口が横に大きく、獅子の口に似ている。置花・掛花の両様に用いる。
※雑俳・口よせ草(1736)「獅子口を切そこなって竹をすて」
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デジタル大辞泉
「獅子口」の意味・読み・例文・類語
しし‐ぐち【×獅子口】
1 屋根の棟飾りの一。棟の両端に置く瓦で、山形の綾筋があり、上方に経の巻と称する丸瓦3個をつけたもの。神社・宮殿・邸宅などに用いる。
2 能面の一。獅子を表すもの。口を大きく開き、きばをむき出す。「石橋」に用いる。
3 竹製の花器の一。一重切りで、生け口が獅子の口のように横に広がっているもの。置き花や掛け花に用いる。
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獅子口
ししぐち
日本建築において、屋根の大棟(おおむね)両端や、降(くだり)棟・隅(すみ)棟などの端につく棟飾りの一つ。頂部に円筒状の経(きょう)の巻(まき)を3本あるいは5本のせる。獅子口の正面上方にある山形の筋(すじ)を綾(あや)筋またはシメ筋という。獅子口は『年中行事絵巻』に描かれており、すでに平安時代には用いられていたことが知られる。一般に檜皮葺(ひわだぶ)き・杮葺(こけらぶ)きの屋根で、棟を瓦(かわら)積みにした場合の棟飾りに用いられる例が多く、「紫宸口(ししんぐち)」「御所棟鬼瓦」ともいわれる。
またこれとは別に、置き花や掛け花に用いられる竹製の一重(いちじゅう)切りの花器の一つで、獅子の口状に生(い)け口を大きくあけたものも、獅子口といっている。
[工藤圭章]
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