玉砕(読み)ギョクサイ

デジタル大辞泉 「玉砕」の意味・読み・例文・類語

ぎょく‐さい【玉砕/玉×摧】

[名](スル)玉のように美しくくだけ散ること。全力戦い、名誉・忠節を守って潔く死ぬこと。「―した守備隊」⇔瓦全がぜん
[類語]殉教殉職殉難

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精選版 日本国語大辞典 「玉砕」の意味・読み・例文・類語

ぎょく‐さい【玉砕・玉摧】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「北斉書‐元景安伝」の「大丈夫寧可玉砕、不瓦全」による ) 玉のように美しく砕け散ること。名誉、忠節などを守って潔く死ぬこと。
    1. [初出の実例]「葉末の露もろく散りて空しく地に玉砕す」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉三)
    2. 「どうせ私達は南方の玉砕部隊だと」(出典:桜島(1946)〈梅崎春生〉)

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故事成語を知る辞典 「玉砕」の解説

玉砕

全力で戦い、名誉・忠節を守って潔く死ぬこと。

[使用例] コレヒドール地区隊三十五名は、「最後の一兵まで戦う」という通信を最後に玉砕、この地区での生存者は、衛生兵長猪俣浩一名だけであった[吉村昭戦艦武蔵|1966]

[由来] 「北斉書げんけいあん伝」に出て来る話から。六世紀の中国で北斉王朝が樹立されると、新しい皇帝は、前の王朝の皇室げん氏の者を次々に殺しました。このとき、遠縁だった元景安は、難を逃れるために、新しい皇帝と同じ姓に改姓しようかと考えました。しかし、一族の元けいこうは、「むしろ玉砕すべきもぜんするあたわず(玉のように美しく砕け散る方がましで、ありふれた瓦として生き永らえることはできない)」と述べて、それを拒否。元氏を名乗ったまま殺された、ということです。

[解説] 特に、太平洋戦争の時期に、戦死することを指してよく用いられました。

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普及版 字通 「玉砕」の読み・字形・画数・意味

【玉砕】ぎよくさい

玉となって砕ける。〔北斉書、元景安伝〕宗~姓を高氏はんと欲す。景云く、豈に本宗てて他姓をふことを得んや。大(むし)ろ玉碎すべきも、瓦すること能はずと。

字通「玉」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「玉砕」の意味・わかりやすい解説

玉砕
ぎょくさい

第2次世界大戦中の 1943年5月 30日,アッツ島の戦いで日本軍守備隊が全滅したことを大本営が発表するときに使った言葉以後部隊が全滅したり,壊滅すると,「瓦でまっとうするより,玉のように美しく砕ける」という意の「瓦全」「玉砕」という言葉を用いた。『北斉書』元景安伝から取ったもの。

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世界大百科事典(旧版)内の玉砕の言及

【砂利】より

…海砂利は概して細粒であり,砂利よりもむしろ砂として利用されることのほうが多い。 砂利の用途は,セメントコンクリートや道路舗装用の粗骨材(玉石を人工的に破砕・整粒した玉砕(たまさい)も用いられる)が主である。また粗骨材としての砂利は,泥分や粘土鉱物分,塩分,非晶質のシリカ分,その他の有機物の付着および含有がなく,低吸水率,堅硬で球形率が高いものが良質とされ,粒度も単一でなく,ある粒度幅の範囲に分布していることも必要条件の一つとされている。…

※「玉砕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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