(読み)ヒサゴ

デジタル大辞泉 「瓠」の意味・読み・例文・類語

ひさご【×瓠/×匏/×瓢】

《古くは「ひさこ」とも》
ユウガオヒョウタンなどの総称。また、その果実。なりひさご 秋》
ヒョウタンの果実を、内部果肉を取り去って中空にし、乾燥させて容器としたもの。水・酒・穀物などを入れた。
(ふつう「柄杓」「杓」と書く)水を汲むための器具2を縦半分に切って使ったところからいう。ひしゃく。
紋所の名。ヒサゴの果実にかたどったもの。
[類語]真桑瓜メロン西瓜烏瓜夕顔瓢箪糸瓜へちまふくべ胡瓜白瓜カボチャ唐茄子冬瓜とうがん苦瓜

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精選版 日本国語大辞典 「瓠」の意味・読み・例文・類語

ひさご【瓠・匏・瓢】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 古くは「ひさこ」 )
    1. 夕顔・瓢箪(ひょうたん)などの総称。また、特にそれらの果実。なりひさご。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「唯し、衫子(ころものこ)のみは全(おふ)し匏(ヒサコ)両箇(ふたつら)を取りて塞(せ)き難き水に臨みて」(出典:日本書紀(720)仁徳一一年一〇月(前田本訓))
    2. の実をくりぬいて作った容器。水・酒・穀物などを入れる。
      1. [初出の実例]「真木(まき)の灰(はひ)を瓠(ヒサコ)に納(い)れて」(出典:古事記(712)中(兼永本訓))
    3. ( 多く「杓」「柄杓」と書く ) 水などをくむ用具の実を縦に二つに割って用いたところからいう。後には、木を刳(く)って作り、柄をつけたものなどもいう。ひしゃく。
      1. [初出の実例]「福无き人は中途(みちなか)に病を得、一𣏐(ヒサこ)の湯、片手の米を得ず」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
    4. 紋所の名。にかたどったもの。丸に一つ瓠、抱き瓠、三つ寄せ瓠などがある。
      1. 丸に一つ瓠@抱き瓠
        丸に一つ瓠@抱き瓠
  2. [ 2 ] ( ひさご ) 俳諧撰集。一冊。浜田珍碩(ちんせき)編。元祿三年(一六九〇)刊。奥州行脚後の芭蕉を迎えて、珍碩・曲水・乙州ら湖南の蕉門の人々によって興行された歌仙五巻を収める。「猿蓑(さるみの)」と並んで蕉風完成期の作風を代表する。俳諧七部集の第四集。

ひさ【瓠】

  1. 〘 名詞 〙ひさご(瓠)
    1. [初出の実例]「折釧(さこくしろ) 五十鈴の宮に 御饌(みけ)立つと 打つなる比佐(ヒサ)は 宮もとどろに」(出典:皇太神宮儀式帳(804)直会御歌)

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改訂新版 世界大百科事典 「瓠」の意味・わかりやすい解説

瓠 (ひさご)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「瓠」の解説

瓠 (フクベ・ヒサゴ)

学名Lagenaria siceraria var.depressa
植物ウリ科の夕顔の品種

瓠 (ヒサゴ・フクベ)

植物。ウリ科のつる性一年草,園芸植物。ヒョウタンの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【槃瓠】より

…中国の南方族であるミヤオ(苗(びよう))族の始祖神。《山海経(せんがいきよう)》海内北経に犬封の国があり,その郭璞(かくはく)の注に,盤瓠が戎王を殺し,高辛氏が美女を与えたが,生んだ男子は狗であったという。《捜神記》に説話として完成される。…

【ヒョウタン(瓢簞)】より

…ウリ科の一年草(イラスト)。ユウガオの変種でその果実は観賞用や日よけ用として親しまれ,また古くから酒や水の容器として用いられてきた。おそらくアフリカの原産と考えられるが,現在は熱帯から温帯地方にかけて広く栽培される。ヒョウタンの栽培や利用はきわめて古くから知られており,新大陸と旧大陸にわたって,古くから栽培されていた植物はほかに例がない。つる草で茎葉や花はユウガオによく似ていて,花は夕方咲き,翌朝しぼむ。…

※「瓠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」