生の本能(読み)せいのほんのう(その他表記)Lebenstriebe[ドイツ]

改訂新版 世界大百科事典 「生の本能」の意味・わかりやすい解説

生の本能 (せいのほんのう)
Lebenstriebe[ドイツ]

S.フロイト後期本能論で〈死の本能(死の衝動,死の欲動)〉と対立させた概念。正確には〈生の衝動〉ないし〈生の欲動〉。フロイトは前期の本能論では〈自我本能〉と〈性本能〉を対立させたが,〈死の本能〉を提唱するに及んで〈自我本能〉と〈性本能〉を〈生の本能〉のもとにまとめた。〈死の本能〉は生命を破壊し,無機状態すなわち死をめざすが,〈生の本能〉は,生命の統一性を保持し,さらにより大きな統一性を達成しようとする。この意味において〈自我本能〉は生命としての個体の保存をめざし,〈性本能〉は男と女の,精子卵子結合をめざすわけだから,ともに生の側に立っている点では同じである。〈自我本能〉が従う現実原則と〈性本能〉が従う快楽原則の対立も,現実原則は現実の諸条件を考慮して,あとで大きな苦痛を招く目先快感を一時的にがまんするだけで,結局は長い目で見てのより大きな快感を求めるわけだから,本質的な対立ではないといえる。他方,〈死の本能〉は絶対的安定をめざすニルバーナ原則に従う。人間の諸現象は〈生の本能〉と〈死の本能〉の融合や対立として説明される。
死の本能
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