精選版 日本国語大辞典 「産褥」の意味・読み・例文・類語
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妊娠・出産によって生じた母体の形態的・機能的変化が出産後に妊娠前の状態にほぼ回復(復古)するまでの期間をいう。通常、分娩(ぶんべん)終了後6~8週間にわたるが、個人差があり、同一人でも出産ごとに異なる場合が多い。この期間にある女性を褥婦puerperaという。
復古のもっとも著明なのは性器で、分娩直後には子宮が固く収縮して腹壁上から子宮底を触れられるが、10日目前後になると子宮底が退縮して触れられなくなる。子宮口や腟腔(ちつくう)も3~4週で復古するが、外子宮口には横裂を残し、腟もやや広く平滑になる。処女膜も痕跡(こんせき)的となる。その他の全身臓器も3~4週で復古するが、腹壁には経産婦multiparaの特徴の一つである旧妊娠線が残される。乳腺(にゅうせん)だけは機能が逆に活発になり、乳汁分泌が始まる。また産褥初期には、子宮の胎盤剥離(はくり)面からの創傷分泌物を主とする性器からの排泄(はいせつ)物がみられ、これを悪露(おろ)とよぶ。
産褥は本来生理的現象であるが、性器、とくに子宮には大きな胎盤剥離面があり、出血や感染の危険がある。産褥期の保健などについては「産後」の項目を参照されたい。
産褥期には感染による産褥熱のほか、産褥期うつ病や産褥性心筋症などもみられる。すなわち、産褥期には内分泌異常、心身の疲労、環境の変化などに誘発される精神面の不安定状態が生じ、抑うつ状態、神経症様状態、錯乱状態、幻覚や妄想状態、アメンチアなどの症状が現れることがある。また、分娩後2~20週(あるいは分娩前1か月から分娩後5か月)の間にみられる原因不明の心筋症を産褥性心筋症といい、うっ血性心筋症の諸症状がみられる。
[新井正夫]
産褥期の代表的疾患で、出産後10日以内に2日間以上にわたって38℃を超える発熱をきたすものを、臨床上、産褥熱とよんでいる。主として分娩により生じた性器の創傷に細菌が感染しておこる疾患で、偶発する伝染性疾患や腎盂(じんう)腎炎などは含まれない。原因菌は、抗生物質など化学療法実施の前後で異なり、ブドウ球菌や溶血連鎖球菌などが減少し、大腸菌や肺炎桿菌(かんきん)などの腸内細菌を主にしたグラム陰性桿菌が増加している。
産褥熱には、性器あるいは隣接臓器に限局しているものから、全身性で敗血症などをおこす重症のものまである。予防上消毒が第一であり、治療としては化学療法のほか、症状に応じては強心剤などを投与する。絶対安静を守り、保温に注意するほか、高エネルギー食を与える。
[新井正夫]
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