用水(読み)ようすい

精選版 日本国語大辞典 「用水」の意味・読み・例文・類語

よう‐すい【用水】

〘名〙
灌漑飲料工業発電洗濯消火などに利用する水。そのための井戸や池、川、引き水、貯水ダムなどをいう。
吾妻鏡‐文治四年(1188)三月一九日「於当国所領、今下人等引用水
② 水を使うこと。
正法眼蔵(1231‐53)弁道話「証の得否は、修せんものおのずからしらんこと、用水の人の、冷煖をみづからわきまふるがごとし」 〔沈約‐斉禅林寺尼浄秀行状〕

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デジタル大辞泉 「用水」の意味・読み・例文・類語

よう‐すい【用水】

飲料・灌漑かんがい・工業・消火などに使用する水。また、その水を引いたりたくわえたりするための池・水路など。「農業用水
水を使うこと。「用水便所」

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世界大百科事典 第2版 「用水」の意味・わかりやすい解説

ようすい【用水】

用水とは灌漑,飲料,工業,発電,消火などに利用する水の意味だが,このうち灌漑用水,つまり田畑に導いて作物育成にあてるための水の意味で使用されることが多く,ここでもこの意味に用いる。また世界各地の記述は〈灌漑〉の項にゆずり,本項では日本における灌漑用水の歴史について記すこととする。日本では降雨の時期と量の関係から,とくに水稲耕作に用水が配慮されたが,水稲耕作の普及進展に応じ用水技術も進歩していった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「用水」の解説

用水
ようすい

飲料・消火などの生活利用,農業生産における灌漑,工業生産の発展にともなう動力・発電への利用などを目的に使用される水。また水路をさすこともあり,さらに広くこれらを含んだ水利用と管理維持のための地域的なシステムを総称し用いる場合もある。農業生産,とくに近世に発達した河川灌漑において,悪水と対比的に用いられる場合が多い。

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世界大百科事典内の用水の言及

【水論】より

…〈みずろん〉とも読む。水田稲作のための用水をめぐる紛争。用水争論ともいう。…

【疎水(疏水)】より

…水路は地形によって開溝あるいはトンネルにされる。疎水の例は日本の各地で見られるが,芦ノ湖から取水し静岡県側を灌漑する箱根用水などのように,用水という名称がつけられているものが多い。代表的な疎水としては,猪苗代湖から取水し郡山地方を灌漑する安積(あさか)疎水,琵琶湖から取水し京都の総合開発(灌漑,給水,発電,舟運)を目的とした琵琶湖疎水がある。…

【田】より

…初期の前方後円墳が尾根の先端に作られたとき,その側谷には古来の谷田が開かれていたと思われる。その谷奥に土堰堤を築いて溜池を作れば,谷口の用水は豊富になり,稲作は安定する。その余水を使って谷外の平たん部に田を開くことも可能になる。…

※「用水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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