フランスの作家アンドレ・ジッドの中編小説。1919年発表。主人公の牧師は身寄りのない盲目の少女を引き取って養育しているうちに、少女に愛を覚えてついに肉体を所有する。牧師の感化で人生を美しいものと信じていた少女は、手術で開眼して現実を見るや、自分の罪を悟って自殺する。第一次世界大戦中、福音(ふくいん)書に読みふけったジッドは、キリストのことばのなかには戒律や禁止はない、キリストの教えているものはひたすら愛であると解釈したが、この自由解釈は挫折(ざせつ)した。だが少女が牧師の息子によって改宗させられなかったら自殺しなかったのではないか、いいかえれば、少女はカトリック的な罪悪感の犠牲になったのではないか、という疑問も提出している。
[新庄嘉章]
『『田園交響楽』(川口篤訳・岩波文庫/神西清訳・新潮文庫)』
5/20 小学館の図鑑NEO[新版]昆虫を追加
5/14 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新