田螺(読み)タニシ

デジタル大辞泉 「田螺」の意味・読み・例文・類語

た‐にし【田×螺】

タニシ科の巻き貝総称水田池沼泥中で越冬し、春、水底に現れる。貝殻は丸みのある円錐形で、殻高3.5~7センチ。殻表は滑らかで黒緑色。卵胎生。日本には、大形のオオタニシ、中形のマルタニシナガタニシ、小形のヒメタニシがいる。食用 春》光輪を負ひて貧しき―かな/茅舎

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精選版 日本国語大辞典 「田螺」の意味・読み・例文・類語

た‐にし【田螺】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. タニシ科に属する淡水産巻貝の総称。殻は日本産の種では右巻き。殻色は緑褐色ないし黒褐色で、殻口に角質の薄いふたがある。田にすむ巻貝の意で、春、水田や池に現われ、六、七月ころ子貝を産み、泥中で越冬する。日本産には殻高約六センチメートルで殻は丸みを帯びたマルタニシのほかオオタニシ・ナガタニシ・ヒメタニシの四種が生息する。肉は食用にする。《 季語・春 》 〔文明本節用集(室町中)〕 〔俳諧・毛吹草(1638)〕
    2. 江戸時代、の形に似た女の髪の結い方。
      1. [初出の実例]「田螺(タニシ)蝦姑(しゃこ)〔いづれもその形に似たり〕」(出典随筆・嬉遊笑覧(1830)一下)
  2. [ 2 ] 地歌の曲名。作物(さくもの)というおどけ物に属する曲。本調子。烏にくわえられて命のあぶない田螺が、烏の羽根をほめ、声をほめたので、おだてられた烏が一声鳴いた途端に、田螺は川の中へ落ちて助かったという内容。歌うよりも語るような曲である。烏をほめる所に、歌祭文旋律が使われている。宝暦(一七五一‐六四)の頃、白川検校の作曲か。

た‐つび【田螺】

  1. 〘 名詞 〙 貝「たにし(田螺)」の古名。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「田中螺汁 一名螭螺、和名多都比」(出典:本草和名(918頃))

た‐つぶ【田螺】

  1. 〘 名詞 〙たにし(田螺)〔書言字考節用集(1717)〕

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普及版 字通 「田螺」の読み・字形・画数・意味

【田螺】でんら

たにし。

字通「田」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「田螺」の解説

田螺 (タニシ)

動物。タニシ科に属する巻き貝の総称

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