改訂新版 世界大百科事典 「申采浩」の意味・わかりやすい解説
申采浩 (しんさいこう)
Sin Ch`ae-ho
生没年:1880-1936
朝鮮の独立運動家,歴史学者。号は丹斎。忠清南道生れ。李朝の最高学府成均館に学んだ後,《大韓毎日申報》主筆となり論説や《李舜臣伝》などの著作で愛国啓蒙運動に努め,新民会にも加入した。日韓併合後ウラジオストクを経て中国に亡命,上海,北京などで独立運動に参加する一方,満州に残る朝鮮史跡を調査しながら朝鮮古代史を研究。1919年大韓民国臨時政府に加わったが,のち脱退,23年義烈団の依頼で〈朝鮮革命宣言〉を執筆,28年には無政府主義者団体に加わった。同年台湾で日本警察に逮捕され,懲役10年の判決を受け,36年旅順刑務所で獄死した。植民地期に〈民族史学〉を樹立した歴史家として高く評価されている。著書は《朝鮮上古史》(1931年《朝鮮日報》に連載)など多数。《丹斎申采浩全集》4巻がある。
執筆者:水野 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報