ばん‐て【番手】
[1] 〘名〙
※上杉家文書‐永祿一二年(1569)正月一七日・大川長秋書状「雖無申訖候。御番手之衆。無退転被成置候やう」
※浄瑠璃・百日曾我(1700頃)一「仰きびしき御狩場のばんてばんての槍印」
③
順番を定めて何かをすること。
交替にすること。かわりばんこ。
※
日葡辞書(1603‐04)「Bante
(バンテ)〈訳〉つぎつぎと
交代で警備につく人々」
④
製糸または
紡績糸の太さを表わす
単位。ふつう重さ一ポンド(約四五四グラム)で長さが八四〇
ヤード(約七六八メートル)のものを一番手とする。長さが二倍になれば二番手、五〇倍のものを五〇番手とし、その数が増すほど糸は細くなる。ばん。
[2] 〘接尾〙
① 陣立で、並べられた隊伍の
順序をいうのに用いる。
先陣を一番手、二陣を二番手など。
※
武家名目抄(19C中か)軍陣部「一番手は須知・渡辺二番手は
谷田・岩成」
②
競走などの出走中の順位や
競技などに出場する順序などをいうのに用いる。先頭のものを一番手など。
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デジタル大辞泉
「番手」の意味・読み・例文・類語
ばん‐て【番手】
[名]
1 紡績糸の太さを表す単位。重さ1ポンド(約454グラム)で長さ840ヤード(約768メートル)のものを一番手とする。長さが2倍、3倍のものを二番手、三番手とし、数が大きくなるほど糸は細くなる。
2 ゴルフクラブの種類を表す番号のこと。1番ウッド、5番アイアンなど。
3 城にいて警護に当たる兵士。城番。
4 順番を決めて交代ですること。
「―に板の間を勤めける」〈浮・一代女・五〉
[接尾]助数詞。
1 競技などに登場する順番をいうのに用いる。「一番手の挑戦者」
2 陣立てで、隊の順序をいうのに用いる。「三番手の隊」
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番手
ばんて
yarn count
糸の太さを表示する単位。糸の太さを直接はかるのは困難なので,その長さと重さの関係で表す。重量を一定にし,単位長さの倍数で示す恒重式と,長さを一定とし,単位重量の倍数で示す恒長式とがある。糸を構成する繊維,産地,習慣などによって,各種のものが用いられている。恒重式は番手の数が大きくなると糸が細くなる表示法。次の種類がある。 (1) 綿番手 重さ 1ポンド(約 0.454kg)あたりのハンク(かせ,840ヤード)の数。綿糸,スフ糸,絹紡糸に世界各国で使用。(2) メートル番手 重さ 1gあたりのメートル数。日本では梳・紡毛糸を含む一般毛糸,毛紡方式の化繊紡績糸に使用。(3) イギリス式梳毛(紡毛)番手 1ポンドあたり 560(紡毛 256)ヤードの倍数。輸出入梳毛(紡毛)糸用。(4) 麻番手 1ポンドあたり 300ヤードの倍数。麻糸用。なお,恒長式は数が大きくなるほど太くなる表示法で,ジュート糸用のジュート番手(1万4400ヤードあたりのポンド数)のほか,デニール式,テックス式がある。
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番手
ばんて
糸の太さを表す単位で、繊維によってそれぞれ成立事情が異なるため、まちまちであるが、大きく、恒長式(一定の基準長と、これに見合う単位重量が定められているもの)と恒重式(一定の基準重量と、これに見合う単位長が定められているもの)との二つに分けられる。恒長式をとるものには絹・合繊(フィラメント)などがあり、恒重式をとるものには綿・毛などがある。これを天然・人造の各繊維を通じて共通の方式にするため、グレックスGrexやテックスTexなどの方式(恒長式)が国際的に決められるようになった。
[角山幸洋]
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番手【ばんて】
一定の重さに対して長さがいくらかで表される恒重式による糸の太さ(繊度)の単位。綿・麻・毛・スフ糸など紡績糸に用いる(繊条糸にはデニールを用いる)。ふつう略して何番といい,記号はS。英国式では重量1ポンドの糸の長さが単位長さ(綿・絹紡・スフ糸で840ヤード,麻糸で300ヤード)の何倍に当たるかを番手数とする。毛糸にはメートル式を用い,1kgの糸の長さをキロメートル単位で表した数を番手数とする。
→関連項目糸|綿糸
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ばんて【番手 count】
綿糸,毛糸,麻糸,絹紡糸,スフ糸など短繊維から紡績して得られた糸の太さを表す単位。番手は一定の重さに対して長さがいくらかで表される恒重式の単位であり,絹糸や合成繊維など長繊維の太さを表すデニールは,一定の長さに対して重さがいくらかで表される恒長式の単位である。番手は糸の種類によって基準の長さや重さが異なり,またイギリス式やメートル式もあるので複雑である。綿糸の番手には一般にイギリス式が用いられており,この方式では重さ1ポンドで長さが840ヤードの綿糸を1番手(略して1番)という。
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番手
先行型選手の直後という、最も有利な位置のこと。俗語ではハコともいい、番手を回りながら三着に終わることをハコ3などという。
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
世界大百科事典内の番手の言及
【糸】より
…
[糸の太さ]
糸の太さは長さと重さの相関関係によって示され,デニール(記号D。恒長式)と番手(恒重式)とがある。恒長式は一定の長さに対して重さがいくらかで糸の太さを表す。…
【繊維】より
…
[繊維の性状]
(1)繊度fineness(太さ)および長さ 繊維の断面は完全な円形ではないので,直径や断面積では表せない。したがって,繊維の太さは,一定の長さに対して重量がいくらかを表す恒長式の〈デニール(d)〉か,一定の重さに対して長さがいくらかを表す恒重式の〈番手〉で表現される。一般に,細い繊維ほど高級な糸が作れるので,優良とされる。…
【デニール】より
…デニールを簡単に測れる装置はトーションデニールてんびん(天秤)torsion denier balanceで,これは9mの長さの糸でデニール数が直接読める。恒重式の綿番手は重さ1ポンドで長さが840ヤードの糸を1番手というので,これをデニールに換算すると5315デニールになる。したがって,番手は数字が大きくなるほど細くなるので,番手からデニールへの換算は5315を番手で割ればよい。…
※「番手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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