送配電線に発生する,正常な運転電圧以外の電圧をいう。運転電圧より高いものと低いものがあるが,高いものを過電圧と呼んでいる。過電圧には大別して雷サージ,開閉サージ,短時間過電圧の3種類がある。サージsurgeは電圧の波のことで,継続時間がきわめて短く,波として送配電線の上を伝搬していく電圧を表している。雷サージは自然雷に起因する異常電圧で,送配電線では避雷針に相当する架空地線を上に張って直撃を極力防いでいる。しかし雷の直撃は避けられても,種々の形で雷に基づく異常電圧が生ずる。雷が近くに落ちたとき,雷電流の急激な変化による誘導電圧が発生する。これを誘導雷と呼び,とくに配電線で問題になる。開閉サージは,遮断器で送配電線を開閉するときなどに回路の過渡現象として発生する。超高圧以上の送電線路では開閉サージが絶縁設計上重要になる。短時間過電圧は送配電線路の故障時などに故障の発生していない健全な相に生ずる。
執筆者:河野 照哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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