訴訟手続上の用語で,裁判所や相手方等の行為に対して不服を述べること。たとえば,裁判長の訴訟の進め方や証拠調べでの具体的措置に対して異議を述べたり(民事訴訟法150,202条3項,刑事訴訟法309条),調書の記載に関して異議を述べるなど。裁判所にその再考,是正を求める申立てとしての性格をもつが,上級審に対する不服申立てではない点で上訴と異なる。
民事手続では,さらにひろく異議という概念が用いられることがある。たとえば,補助参加に対する異議(民事訴訟法44条),破産の債権調査における異議(破産法240条,会社更生法143条)などは,相手方の行為に不同意である旨を表示する趣旨であり,支払命令に対する異議(民事訴訟法390条,393条),手形判決に対する異議(同法357条),保全命令に対する保全異議(民事保全法26条以下)などは,略式の手続でない通常訴訟での再度の審理を求める行為を意味する。なお,行政法上の異議については〈異議申立て〉の項目を参照されたい。
執筆者:井上 治典
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