発する(読み)ハッスル

デジタル大辞泉 「発する」の意味・読み・例文・類語

はっ・する【発する】

[動サ変][文]はっ・す[サ変]

物事が起こる。生じる。また、始まる。「効力が―・する」「町の東端から山越え街道が―・する」
㋑外に現れる。「酔いが―・する」
㋒出発する。「成田を―・してパリへ向かう」

㋐物事を起こす。生じさせる。「ささいな口論に端を―・した事件」「川がその源を―・する」
気持ちや考えを外に現す。「怒りを―・する」「声明を―・する」
㋒出発させる。つかわす。「使いを―・して口上を述べさせる」
㋓打ち出す。勢いよく放つ。「矢を―・する」
㋔ひらく。あばく。
「凶年饑歳に倉庫を―・して流民を救うことは」〈田口日本開化小史
[類語]発つ飛び立つ/(1㋐)起こる始まる原因もとたね起こりきっかけいん因由素因真因要因一因導因誘因理由事由じゆうわけ近因遠因せい起因する基づく根差す/(2㋒)送る遣る送り出す出す派する差し向ける差し遣わす差し立てる遣わす回す差し回す派遣する差遣する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「発する」の意味・読み・例文・類語

はっ‐・する【発】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]はっ・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 物事が起こり生じる。
      1. [初出の実例]「ニヲイガ fassuru(ハッスル)」(出典日葡辞書(1603‐04))
      2. 「誠の心が心中に発するぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)九)
    2. あらわれ出る。出現する。あらわれる。
      1. [初出の実例]「毛詩云、情発於声、声成文」(出典:音曲声出口伝(1419))
      2. 「イエアリガ fassuru(ハッスル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. 出て行く。外へ出かける。出発する。
      1. [初出の実例]「黄昏ネエプルを発(ハッ)してモラデガエタに赴く」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]はっ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 物事を引き起こす。物事をはじめる。生じさせる。
      1. [初出の実例]「虞公歌を発(ハッ)せしかば、梁塵うごきうごく」(出典:高野本平家(13C前)三)
      2. 「兄狂を発して母を斧にて打ち殺す」(出典:随筆・胆大小心録(1808)三二)
    2. あらわし出す。気持や考えなどをおおやけにする。または、ことばを口に出す。発表する。
      1. [初出の実例]「変化時に応じて敵の為に気を発(ハッ)する処は」(出典:太平記(14C後)二九)
      2. 「イカリヲ fassuru(ハッスル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. 放つ。矢や弾丸などを放つ。勢いよく物を出す。
      1. [初出の実例]「久しうありてはっしたる矢の」(出典:前田本枕(10C終)一三八)
    4. つかわす。使者などをさしむける。通知手紙などをさし出す。
      1. [初出の実例]「聴受して兵を発するぞ」(出典:史記抄(1477)八)
    5. ひらく。また、あばく。
      1. [初出の実例]「凶年饑歳に倉庫を発して流民を救ふことは」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉二)

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