白鳥(読み)ハクチョウ

デジタル大辞泉 「白鳥」の意味・読み・例文・類語

はく‐ちょう〔‐テウ〕【白鳥】

カモ科ハクチョウ属の鳥の総称。大形の水鳥で、くびが長く、水底などの水草を食べる。日本に冬鳥として渡来するオオハクチョウコハクチョウは全身白色で、夏には北アメリカユーラシア北部に渡り繁殖。スワン。しらとり。 冬》「―といふ一巨花を水に置く/草田男
[補説]作品名別項。→白鳥
[類語]白鳥しらとりスワン大白鳥小白鳥こぶ白鳥

はくちょう[人工衛星]

昭和54年(1979)2月に打ち上げられた日本初のX線天文衛星CORSA-bコルサビーの愛称。東京大学宇宙航空研究所(後の宇宙科学研究所、現JAXAジャクサ)が開発。名称は強力なX線天体白鳥座X-1に由来する。超軟X線から硬X線までを観測し、すだれコリメーターによって新たに八つのX線バースターを発見。ほかの主な成果として、X線パルサーの異常な周期変化や白鳥座X-1のX線強度の時間変動が挙げられる。昭和60年(1985)4月に運用完了。

しら‐とり【白鳥】

カモメハクチョウなど羽毛が白い鳥。しろとり。
「―はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」〈牧水・海の声〉
[類語]白鳥はくちょうスワン大白鳥小白鳥こぶ白鳥

はくちょう【白鳥】[曲名]

《原題、〈フランスLe cygneサン=サーンス管弦楽曲動物の謝肉祭」の第13曲。チェロ独奏曲として有名。

はくちょう[作品名]

川崎洋の詩。同作を表題作とする第一詩集は昭和30年(1955)刊行。

しろ‐とり【白鳥】

しらとり」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「白鳥」の意味・読み・例文・類語

はく‐ちょう‥テウ【白鳥】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 羽毛の白い鳥の総称。
      1. [初出の実例]「白鳥(ハクテウ)の羽にてはぎたる矢の、十五束三臥有けるを」(出典:太平記(14C後)一七)
      2. [その他の文献]〔詩経‐大雅・霊台〕
    2. カモ科ハクチョウ属の鳥の総称。大形の水鳥で、全長一一〇~一五〇センチメートル。体は純白で、くびが長く、太い声を出す。コハクチョウ、大型種のオオハクチョウ、くちばし基部に黒色のこぶ状突起のあるコブハクチョウの三種がよく知られる。前二種はユーラシア大陸北部で繁殖し、日本には冬季に北海道・本州に渡来する。青森県小湊はオオハクチョウの渡来地として天然記念物に指定。コブハクチョウは日本に渡来しないが公園などで飼育される。くぐい。しらとり。こう。スワン。白鳳。《 季語・冬 》
      1. [初出の実例]「有白鳥〈羽長四尺計。身長三尺〉来住侍従池」(出典:古事談(1212‐15頃)一)
      2. 「只だ美しきヱネチアの鵠(ハクテウ)の尸(かばね)の如く波の上に浮べるを見るのみ」(出典:即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉水の都)
    3. 白鳥徳利。また、それに酒を詰めたもの。
      1. [初出の実例]「白鳥をろうかとんびがさらってく」(出典:雑俳・柳多留‐三二(1805))
    4. か(蚊)」の異称。
      1. [初出の実例]「白鳥とは蚊也。大戴礼小正に曰、白鳥は蚊也と」(出典:壒嚢鈔(1445‐46)五)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] ( 原題[フランス語] Le cygne ) サン‐サーンス作曲。一八八六年作。組曲「動物の謝肉祭」の第一三曲。チェロ独奏用の編曲は有名。
    2. [ 二 ]はくちょうざ(白鳥座)
      1. [初出の実例]「北十字星てふ白鳥が向きをかへて、見つけた私たちの眼を迷はす」(出典:南蛮更紗(1924)〈新村出〉星夜讚美の女性歌人)

しら‐とり【白鳥】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 羽毛の白い鳥。
    1. [初出の実例]「白鳥(シラトリ)は哀しからずや空の青海の青にも染まずただよふ」(出典:別離(1910)〈若山牧水〉上)
  3. はくちょう(白鳥)」の異名。
    1. [初出の実例]「神霊 白鳥(シラトリ)になりて天(あめ)に上(のほ)りたまひき」(出典:日本書紀(720)仲哀元年一一月(北野本南北朝期訓))
  4. 鳥「さぎ(鷺)」の異名。
    1. [初出の実例]「しら鳥とはくらゐをも云。又白鷺をもいへり」(出典:書陵部本拾遺愚草抄書(室町)注文)

しろ‐とり【白鳥】

  1. 〘 名詞 〙しらとり(白鳥)
    1. [初出の実例]「志漏止利(シロトリ)の羽が堤をつつむともあらふまもうき」(出典:常陸風土記(717‐724頃)那賀・歌謡)

しらとり【白鳥】

  1. 姓氏の一つ。

しろとり【白鳥】

  1. 姓氏の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白鳥」の意味・わかりやすい解説

白鳥(岐阜県)
しろとり

岐阜県中西部、郡上郡(ぐじょうぐん)にあった旧町名(白鳥町(ちょう))。現在は郡上市の北西部を占める一地区。1928年(昭和3)町制施行。1956年牛道(うしみち)、北濃(ほくのう)の2村と合併。1958年福井県大野郡石徹白(いとしろ)村を編入。2004年(平成16)八幡(はちまん)、大和(やまと)の2町、高鷲(たかす)、美並(みなみ)、明宝(めいほう)、和良(わら)の4村と合併、市制施行して郡上市となる。旧白鳥町の中心集落白鳥は長良川(ながらがわ)左岸にあって標高約360メートル。付近は早くから開け、古墳が散在している。工業は木材、木製品製造がおもなもので、近年電機、鋳物、縫製企業が進出している。長良川鉄道が通じ、国道156号により白川郷へ、国道158号で油坂(あぶらざか)峠を越えて福井県大野市方面へ通じている。東海北陸自動車道が通り、白鳥インターチェンジがある。また、油坂峠道路(中部縦貫自動車道)の白鳥西インターチェンジもつくられている。白山国立公園の南玄関口にあたり、スキー場もある。白鳥から北約5キロメートル上流の長滝にある白山長滝神社の延年(長滝の延年)は国指定重要無形民俗文化財。また8月の白鳥踊り(徹夜踊り)には多くの人が参加する。標高約700メートルの石徹白は、白山登山口の集落で、住民のほとんどが白山中居(ちゅうきょ)神社の社家、社人である。登山口の近くに樹齢1800年といわれる国指定特別天然記念物の大スギ(「石徹白のスギ」)がある。

[上島正徳]

『『白鳥町史 史料編』1・2(1973、1990・白鳥町)』『『白鳥町史 通史編』上下(1976、1977・白鳥町)』『『白鳥町史 現代編』(2004・白鳥町)』


白鳥(香川県)
しろとり

香川県東部、大川郡にあった旧町名(白鳥町(ちょう))。現在は東かがわ市の中央から南西部を占める一地区。1955年(昭和30)白鳥本町と白鳥、福栄、五名(ごみょう)の3村が合併して成立。2003年(平成15)引田(ひけた)町、大内(おおち)町と合併し、市制施行して東かがわ市となる。国道11号、318号、377号が通っている。旧白鳥町は、湊(みなと)川の流域にあり、河口の浜堤(ひんてい)上にある中心市街は日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀(まつ)る白鳥神社の門前町として発達した。明治中期に還俗(げんぞく)した両児舜礼(ふたごしゅんれい)が大阪からメリヤス手袋の生産技術を伝えてより、手袋製造が発展した。現在は、東かがわ市で全国の生産額の約90%を占め、欧米への輸出も多い。白砂青松の白鳥海岸は瀬戸内海国立公園の一部で、鹿浦越(かぶらごし)には国の天然記念物ランプロファイヤ(煌斑(こうはん)岩)の岩脈がみられる。江戸初期の猪熊(いのくま)邸や讃岐(さぬき)製糖に功のあった向山周慶(さきやましゅうけい)の旧宅などの史跡も多い。

[新見 治]

『『白鳥町史』(1985・白鳥町)』


白鳥(音楽)
はくちょう

動物の謝肉祭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白鳥」の意味・わかりやすい解説

白鳥
しろとり

岐阜県中部,郡上市北西部の旧町域。1928年町制。1956年牛道村,北濃村と合体。1958年隣接する福井県石徹白村を編入。2004年八幡町はじめ 2町 4村と合併し,郡上市となった。長良川上流に沿い,大部分を山林原野が占める。中心集落の白鳥は白川街道(国道156号)と越前街道(国道158号)の分岐点にあたり宿場町として発展。製材・木工業などが行なわれる。周辺にスキー場も多い。石徹白(いとしろ)のスギは国の特別天然記念物(→天然記念物)。長滝白山神社延年は重要無形民俗文化財(→無形文化財)。区域の一部は白山国立公園に,また奥長良川県立自然公園に属する。北濃は長良川鉄道の終点。

白鳥
しろとり

香川県東部,大川平野の東部にあり,播磨灘に臨む地域。旧町名。 1955年白鳥本町と白鳥,福栄,五名の3村が合体して発足。 2003年引田,大内の2町と合併し東かがわ市となった。米作,野菜栽培のほか,手袋製造が行なわれ,近年はかばん,ニットの生産もふえている。天然記念物の鹿浦越のランプロファイア (煌斑岩) 岩脈がある。白鳥神社と海岸一帯は瀬戸内海国立公園に属する。また,西部の大坂峠下の五名ダム付近には東さぬき自然休養村がある。地域は山地が多く,海岸沿いの平地部を JR高徳線と国道 11号線が並行して通る。地域を縦断する国道 318号線は讃岐山脈を鵜の田尾トンネルで抜け徳島県に通じる。

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百科事典マイペディア 「白鳥」の意味・わかりやすい解説

白鳥[町]【しろとり】

岐阜県中西部,郡上(ぐじょう)郡の旧町。飛騨高地南西部,長良川の上流域を占め,中心集落は白川街道(国道156号線)と越前街道(国道158号線)が分かれる交通要地で,長良川鉄道が通じる。製材や木工の工場が多い。北部は白山(はくさん)国立公園に含まれる。石徹白(いとしろ)の大スギ(特別天然記念物)や,油坂,白鳥などのスキー場がある。2004年3月郡上郡八幡町,大和町,高鷲村,美並村,明宝村,和良村と合併し,郡上市となる。197.43km2。1万2864人(2003)。

白鳥[町]【しろとり】

香川県東部,大川郡の旧町。北西は播磨(はりま)灘に面し,湊川の流域を占める。中心集落は白鳥神社の鳥居前町として栄えた。手袋製造の中小工場が多く,農業も営む。高徳線が通じ,ランプロファイア岩脈,ウバメガシ(いずれも天然記念物)がある。2003年4月,引田町,大内町と合併して東かがわ市となる。70.59km2。1万2965人(2000)。

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改訂新版 世界大百科事典 「白鳥」の意味・わかりやすい解説

白鳥(岐阜) (しろとり)


白鳥(香川) (しろとり)

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デジタル大辞泉プラス 「白鳥」の解説

白鳥

フランスの作曲家サン・サーンスの管弦楽曲『動物の謝肉祭』(1886)の第13曲。原題《Le cygne》。チェロ独奏曲としても人気があるほか、バレエ『瀕死の白鳥』にも用いられる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「白鳥」の解説

白鳥 (ハクチョウ)

学名:Cygnus bewickii
動物。ガンカモ科の鳥

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世界大百科事典(旧版)内の白鳥の言及

【パブロワ】より

…完璧な技巧と新鮮な感覚によって古典の名作に新たな魅力を加える一方,学友M.フォーキンの新作に協力。とくにサン・サーンス作曲の《白鳥》(1907年フォーキン振付。のちに《死の白鳥》と改題)は新しいバレエのシンボルとなった。…

※「白鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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