盛る(読み)サカル

デジタル大辞泉 「盛る」の意味・読み・例文・類語

さか・る【盛る】

[動ラ五(四)]
勢いが盛んになる。「火が―・る」「燃え―・る炎」
繁盛する。にぎわう。はやる。
「大川の舟遊びも―・っていた」〈秋声縮図
動物が発情する。交尾する。つるむ。
「犬ガ―・ル」〈和英語林集成
[類語](1興るふるう新興勃興/(2繁栄栄える繁盛にぎわうにぎわすにぎやか富むはやる栄華全盛最盛興隆隆盛盛栄栄耀栄華共存共栄隆昌新興末広末広がり殷賑いんしん活況盛況盛会盛大繁華花が咲く/(3発情求愛交尾つるむつがう

も・る【盛る】

[動ラ五(四)]
物を容器に入れて満たす。「飯を茶碗に―・る」
積んで高くする。積み上げる。「果物を山と―・る」「入り口に塩を―・る」
薬剤を調合する。また、それを与える。特に、毒を飲ませる。「一服―・る」
あるまとまりの中に別のものをもりこむ。「新味を―・る」「共同宣言に平和への決意を―・る」
はかり物差しなどの目をきめてしるしをつける。目盛りをする。「はかりに目を―・る」
俗に、化粧を濃くする。また、大げさに言う。「化粧を―・る」「話を―・る」
酒を飲ませる。
「御酒参ったの。いつ―・らしゃった」〈浄・忠臣蔵
[可能]もれる
[類語](1よそうそそ淹れる盛り付ける盛り込む盛り合わせる差す注ぎ込むぎ込む流し込む流れ込む注入注水注油/(2積む重ねる積み重ねる積み上げる折り重なる積もる重なる降り積もる山積み山積さんせき堆積累積

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「盛る」の意味・読み・例文・類語

も・る【盛】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 食物などで器をいっぱいにする。食物を皿などにのせる。
    1. [初出の実例]「玉笥(たまけ)には 飯(いひ)さへ母理(モリ) 玉盌(たまもひ)に 水さへ母理(モリ)」(出典:日本書紀(720)武烈即位前八月・歌謡)
  3. うずたかく積み上げる。高く積む。もりあげる。
    1. [初出の実例]「さまざまの果物を皆物の形にもりなどして」(出典:栄花物語(1028‐92頃)花山たづぬる中納言)
  4. 酒を飲ませる。
    1. [初出の実例]「酒をもる、三つほどのふで、汝らをたのしうなさうと云て」(出典:虎明本狂言・大黒連歌(室町末‐近世初))
  5. 毒薬を飲食物に混入する。また、一般に薬を飲ませる。
    1. [初出の実例]「なにかしちふつの、どくのさけを、おもりあるものならば」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)七)
    2. 「何のやまひにでも葛根湯ばかりもるが」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉一〇)
  6. 寸法分量を割り出してしるしをつける。めもる。
    1. [初出の実例]「メ。〈略〉ゴ、シャウギ、ナドノ バンニ メヲ morou(モル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. 検地をして石盛(こくもり)を定める。
    1. [初出の実例]「杖つきの酔はれた所は盛直し」(出典:雑俳・柳多留‐初(1765))
  8. 役割・任務・費用などを、人々に割り当てる。また、人々を集団・乗船などに割りつける。
    1. [初出の実例]「此前者以安も本田因幡入道の下手に被盛候と」(出典:上井覚兼日記‐天正三年(1575)三月二三日)
  9. 講の宿をする。長崎県壱岐でいう。「お講盛る」「無尽盛る」

さか・る【盛】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 勢いが盛んになる。物事の盛りになる。その物の最も充実した時期をむかえる。たけなわになる。
    1. [初出の実例]「高松の此の峯も狭(せ)に笠立ててみち盛(さかり)たる秋の香のよさ」(出典:万葉集(8C後)一〇・二二三三)
  3. 繁盛(はんじょう)する。時めく。にぎわう。栄える。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
    1. [初出の実例]「再び盛(サカ)る牛店(うしや)繁昌」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  4. 性欲が強くなる。また、鳥や獣が発情する。交尾する。つるむ。
    1. [初出の実例]「Admissura〈略〉トリ、ケダモノノ sacaru(サカル) ジブン、すなわち、ツルム、トツグコトヲ ユウ」(出典:羅葡日辞書(1595))
  5. はやる。流行する。
    1. [初出の実例]「近頃は西洋主義が盛(サカ)ってきたから」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙一一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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