目的(読み)モクテキ

デジタル大辞泉 「目的」の意味・読み・例文・類語

もく‐てき【目的】

実現しようとしてめざす事柄行動のねらい。めあて。「当初目的を達成する」「目的にかなう」「旅行目的
倫理学で、理性ないし意志が、行為に先だって行為を規定し、方向づけるもの。
[用法]目的・目標――「目的(目標)に向かって着実に進む」のように、めざすものの意では相通じて用いられる。◇「目的」は、「目標」に比べ抽象的で長期にわたる目あてであり、内容に重点を置いて使う。「人生の目的を立身出世に置く」◇「目標」は、目ざす地点・数値・数量などに重点があり、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」のようにより具体的である。
[類語]目当て狙い狙い所つけめあてど意味意図理由動機趣意主意真意わけ目標目安目途方向対象矛先当たり標的ターゲット

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「目的」の意味・読み・例文・類語

もく‐てき【目的】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 実現しようとしてめざす事柄。めざす所。めあて。
    1. [初出の実例]「地乗といふは地山を目的として渡海し」(出典:渡海新法(1802))
    2. 「民間政治家一たび利を目的とし、権勢を目的とし」(出典:一年有半(1901)〈中江兆民〉一)
  3. ( [英語] end の訳語 ) 哲学で、実践的な意志が選んで立てた行為の目標。行為はこの手段となる。また、アリストテレス形而上学で、事実が何のために存在するかを表わすもの。

目的の補助注記

「読・椿説弓張月‐残」に、「やがて愁眉を開くなる、運天山を目的(メアテ)にて」とあり、「目的」が見られるが、「めあて」のルビが振られている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「目的」の意味・わかりやすい解説

目的
もくてき
telos ギリシア語
fīnis ラテン語
end 英語
Zweck ドイツ語
but フランス語
fin フランス語

手段との相関概念で、広くは事象一般、狭くは人間の行動がそれへの到達またはその実現のために向かうことを予定される目当て、目標、理想をいう。手段と目的の相関性は、たとえば健康は幸福という目的の手段であるが、さらに適当な運動、睡眠節制などは健康を目的としてその手段となる、ということで説明される。あらゆるものがその手段となり、それ自体はもはや他のものの手段とならない目的は究極目的だが、その可能性や存在は古来形而上(けいじじょう)学の課題である。目的の最初の詳細な哲学的探究はアリストテレスにみられる。彼は運動し変化する感覚的事物の原因に、質料因、形相因始動因目的因の4原因を分類した。目的概念が哲学で問題になるのは事象の解明で前述の目的因を重視する目的論との関係においてであり、それには、自然が目的を志向して動くとみて無目的な機械的自然観と対立する立場と、行動の義務、評価を目的のよさに帰着させる見地とが考えられる。

[杖下隆英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「目的」の読み・字形・画数・意味

【目的】もくてき

めあて。

字通「目」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android