精選版 日本国語大辞典 「真理」の意味・読み・例文・類語
しん‐り【真理】
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虚偽とともに、そのいずれかが命題または判断に付着する性質である。すなわち「或(あ)るものが或るものである(たとえば「人間は植物である」「この花は白色である」などで、一般に「SはPである」と表記される)」という命題または判断は、かならず真であるか偽であるかのいずれかである。真なる命題の把握または真なる判断が知識であり、知識は真であることによって知識となるのであるから、真理は認識に関する超越的価値であり、知性が目ざす目的としての超越的対象である。
真理の基準が何であるかについては、いろいろな説がある。伝統的な形而上(けいじじょう)学は「思考と存在との合致」adaequatio rei et intellectusが真理であるとした。ギリシア語のalētheia(真理)の語義は、本来、「覆われていないこと、顕(あらわ)なこと」であると考えられる。すなわち、真理とは存在そのものの姿が顕になっていることであり、そのように存在そのものを顕ならしめるもの、または存在の真実相がそこで顕となる場所が理性であると考えられる。
このように、真理が存在そのものについて語られるとき、それは存在論的真理とよばれる。これに反して、真理が知性の分析と総合の作用である判断について語られるとき、それは認識論的真理である。中世では、いろいろな真理は、唯一の真理である神に基づくものとされた。神の真理は事物を創造する真理である。したがって、これは存在の真に関係づけられて成立するものではなく、むしろ、存在の真がそれに関係づけられて成立するものとされた。
知性が知性の外にある存在そのものに、いったい、いかにして達しうるであろうかという問いによって、懐疑論が生まれる。ゴルギアスや古代懐疑派では、そこから真理の認識は不可能であるという結論が導き出された。プロタゴラスでは「真理とは各人にとってそう思われるものである」という相対主義が主張された。これは、人間を真理の尺度とする点で「人間尺度説」homo-mensura-theoryとよばれる。懐疑論の主張に対して、「万民の一致」consensus gentiumが真理の基準として主張されることもあった。知性は、知性の外にある「物自体」には達しないが、知性の内部において真偽を弁別する、と考えるとき、近代の主観主義が生まれた。この場合、真理の基準は観念の明証性または知性の法則との整合性に置かれ、知性内の基準が真理の基準となる。また、真理の基準を知識の有効性にありとするプラグマティズムの真理説も、主観主義の一形態である。
[加藤信朗]
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…後期スコラ学に現れた真理観。真理は多数あっても究極的には一つの真理(根拠)によって成立するというのがギリシア哲学の真理観であるが,これに対しキリスト教とイスラム教では,〈啓示(信仰)の真理〉と〈理性の真理〉とを区別する傾向があった。…
…光は神的なものの顕現,臨在であり,それによって霊界,精神界が自覚され,自己認識が生ずる。アレテイアalētheia(真理)とは〈隠れなきこと〉の意であり,真理と光は同一視される。光を重視したパルメニデスとプラトンの哲学およびそれを受け継いだ形而上学の伝統は〈光の形而上学〉と呼ばれる。…
※「真理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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