知性(読み)チセイ

デジタル大辞泉 「知性」の意味・読み・例文・類語

ち‐せい【知性】

物事を知り、考え、判断する能力人間の、知的作用を営む能力。「知性にあふれる話」「知性豊かな人物
比較抽象・概念化・判断・推理などの機能によって、感覚的所与を認識にまでつくりあげる精神的能力。
[類語]理性理知知恵インテリジェンス教養人知衆知全知奇知才知悟性故知英知

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精選版 日本国語大辞典 「知性」の意味・読み・例文・類語

ち‐せい【知性】

  1. 〘 名詞 〙 物事を知り、考え、判断する能力。特に心理学で、人間の精神の三作用のうち、感情意志に対して、いっさいの知的作用を営む能力をいう。感覚・知覚から受け取った材料に働きかけて、抽象的・概念的・総合的認識を作りあげる精神的能力。理性、悟性もこの中に含められる。ちしょう。〔普通術語辞彙(1905)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「知性」の意味・わかりやすい解説

知性
ちせい
intellect

広義では感覚的な知覚作用をも含めた人間の認識能力をさすが、狭義では知情意のうちの知の能力が知性で、感情や意志と違って、事柄を概念によって思考したり認識したりする悟性的な能力をさす。また中世や17、8世紀の西洋哲学では、すべてを一瞬のうちに直覚的に洞察する神の無限的な知性に、概念を用いて比量的にしか事柄を認識できない人間の有限的な知性が対置された。「真理は知性と物との一致である」という中世以来の伝統的な真理規定も、初めは神の知性によって計画され、創造された自然の秩序に、人間の有限的知性が合致することを意味していたが、近世以来人間の知性の側に重心が置かれるようになり、事物は人間知性に合致する限りにおいて真とみなされることになる。なおプラグマティズムのように、人間の知性も動物に備わる知能の延長で、与えられた環境に適応する能力にほかならないという見方もある。

[宇都宮芳明]

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改訂新版 世界大百科事典 「知性」の意味・わかりやすい解説

知性 (ちせい)

河出書房から発行されていた月刊総合雑誌。非合理主義が横行し,戦火が重苦しい影を落としていた1938年5月,そうした時代に批判的な誌名の《知性》が創刊された。三木清豊島与志雄,中島健蔵らを編集顧問とし,三木清の《哲学ノート》などを連載,学生,知識人から新鮮な印象で迎えられたが,言論統制の進行するなか44年8月号で終刊となった。第2次大戦後の48年,同名の雑誌は国土社から発行されたが短命に終わる。54年8月再び河出書房から復刊。復刊《知性》は,論文中心の総合雑誌調を脱し,ルポルタージュ,アンケート,座談会などを豊富に収録,後に出る出版社系週刊誌の先駆的試みがなされた。57年3月同書房倒産のため4月号で廃刊。
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知性 (ちせい)

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普及版 字通 「知性」の読み・字形・画数・意味

【知性】ちせい

本性を知る。〔孟子、尽心上〕其の心を盡すは、其の性を知る。其の性を知らば、則ち天を知る。其の心を存し、其の性をふ。天に事(つか)ふる以(ゆゑん)なり。

字通「知」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「知性」の意味・わかりやすい解説

知性
ちせい
intellectus

一般に,知ったり,考えたり,判断したりする能力をいうが,スコラ哲学では,真理または存在を対象とする精神の上級能力をさし,下級能力である意志や感情に対置される。理性と対置されるときは,推理によらない直接的な,いわば直観的認識能力をいう。なお能動知性,受動知性が区別されている。

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世界大百科事典(旧版)内の知性の言及

【理性】より

…人間に固有の思考力,認識力は一般に〈知性intellect〉ないし〈理性〉と呼ばれ,古来,規則に従って分析し論証する〈悟性understanding〉,原理・始元を直覚・洞察して総観し統括する〈理性reason〉の二面を含むとされる。本能,感覚,記憶,想像,意志とは区別され,また啓示や信仰に対置されてきた。…

※「知性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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