矯める(読み)タメル

デジタル大辞泉 「矯める」の意味・読み・例文・類語

た・める【矯める/×揉める/×撓める】

[動マ下一][文]た・む[マ下二]
曲がっているものを伸ばしたり、まっすぐなものを曲げたりして、形を整える。また、曲げて、ある形をつくる。「ひごを―・める」「―・めて枝ぶりをよくする」
悪い性質・習慣や癖などを改めなおす。矯正する。また、手を加えて型にはめようとする。「フォームを―・める」
「情をも―・めず欲をもいとわない生の肯定は」〈藤村夜明け前
事実故意に曲げる。いつわる。
彼女はこの不正を―・める為に…馴れ馴れしい素振りを示した」〈芥川玄鶴山房
片目を閉じてねらう。ねらいをつける。また、じっと見る。
「何やら、もの思わしげな清葉の容子ようすを、う一度―・めて視て」〈鏡花日本橋
「テッポウヲ―・ムル」〈日葡
[類語]仕込み調教矯正直す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「矯める」の意味・読み・例文・類語

た・める【矯・揉・撓】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]た・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 木・竹などをあぶったり濡らしたりして、曲がっているのをのばし、また、まっすぐなのを曲げて、形を整える。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「弓をたむること、箕の手をたむる如くなるぞ」(出典:碧巖雷沢抄(1533)一〇)
  3. 改め正しくする。矯正する。ためなおす。
    1. [初出の実例]「刻意とは意のわるき処をきりきざむやうにたむるを云」(出典:古活字本荘子抄(1620頃)五)
  4. 真実をねじまげる。こじつける。文意をまげる。
    1. [初出の実例]「矯八幡神教言。令道鏡即帝位天下太平」(出典:日本後紀‐延暦一八年(799)二月乙未)
    2. 「妖僧道鏡きほひて、宇佐の神勅を矯さするに、清万侶あからさまに奏せしかば」(出典:読本・春雨物語(1808)天津処女)
  5. ねらいをつける。片目をふさいでねらう。また、視点を定めて見つめる。じっと見る。→ためつすがめつ
    1. [初出の実例]「畏たと云て矢をためて射としたれば」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)四)
    2. 「もの思はしげな清葉の容子を、最う一度凝(タ)めて視て」(出典:日本橋(1914)〈泉鏡花四四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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