硫黄と生石灰の混合液を加圧下,加熱して製造される殺菌剤で,多硫化石灰CaSxを主成分として含み,アルカリ性を示す赤褐色透明の液体である。開発の歴史の最も古い殺菌剤ではあるが現在でも広く用いられている。リンゴ,イチゴ,野菜類のうどんこ病,モモの黒星病,縮葉病,胴枯病,クリの葉枯病,ミカンのそうか(瘡痂)病,黒点病,かいよう(潰瘍)病,ムギ類の銹(さび)病,あかかび病,うどんこ病に有効であり,またダニ,カイガラムシなどにも有効である。無機硫黄剤としては石灰硫黄合剤のほかに,硫黄粉末,水和硫黄などの薬剤が使用されている。硫黄剤は,細胞のエネルギー代謝をはじめ重要な生体反応において重要な役割を果たしているSH酵素を不活性化することによって殺菌力を発揮する。石灰硫黄合剤の魚毒性は,50%致死濃度LC50=270ppm(コイ)である。
執筆者:高橋 信孝
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