石炭(読み)せきたん(英語表記)coal

精選版 日本国語大辞典 「石炭」の意味・読み・例文・類語

せき‐たん【石炭】

〘名〙 地中に埋もれた植物が長い年月の間に地圧や地熱の影響で変質して生じた、可燃性堆積(たいせき)岩。高分子有機化合物を主とする混合物で、炭素水素酸素のほかに少量の硫黄窒素・燐などを含有する。褐色、または黒色で、炭化の進んだものは金属光沢を有する。層状で、ときに砂岩や頁(けつ)岩と交互に層をなして存在する。石炭化程度によって泥炭褐炭瀝青(れきせい)炭・無煙炭に分類する。古生代に堆積したものが多いが、日本のものは、ほとんど新生代第三紀のもの。燃料化学工業原料として用いる。いしずみ。《季・冬》
※和蘭天説(1795)「海を隔こと遐(とをく)して、山頂に貝石あり、山腰に石炭(セキタン)を出」 〔本草‐石之三・石炭〕
[語誌]「和漢三才図会‐六一」(一七一三)には「石炭 いしすみ」とあり、近世中期頃においてはイシズミと呼ばれるのが一般的であった。現在のように「石炭」を音読みしたセキタンは、本草関係の影響や幕末頃からの漢語重視の風潮によって定着し始めた。

いし‐ずみ【石炭】

〘名〙 石炭(せきたん)のこと。江戸時代には主として筑前、筑後から産出。《季・冬》〔和漢三才図会(1712)〕

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デジタル大辞泉 「石炭」の意味・読み・例文・類語

せき‐たん【石炭】

地中に堆積たいせきした過去の植物が、埋没後長い年月の間に分解・炭化した可燃性の岩石。炭化の程度により泥炭亜炭褐炭瀝青れきせい無煙炭に分けるが、普通は瀝青炭をさす。色は黒く緻密ちみつで塊状。多くは古生代石炭紀の植物を起源とするが、日本では古第三紀のものが主。燃料・化学工業用原料にする。 冬》「―を投じたる火の沈みけり/虚子
[類語]無煙炭瀝青炭黒炭褐炭泥炭コークス

いし‐ずみ【石炭】

石炭せきたんのこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石炭」の意味・わかりやすい解説

石炭
せきたん
coal

太古の植物が地中深くに埋没して、地質学的環境(地熱や地圧)の影響を長期間受けて生成した、主として炭素質よりなる可燃性の岩石状有機物質をいう。石油、天然ガスとともに代表的な化石燃料(資源)であるが、エネルギー源としてばかりではなく、化学工業上有用な各種炭化水素源としての利用が研究・開発されている。

 石炭は用途によって、「原料炭」「一般炭」「無煙炭」の3種類に分類される。原料炭は、コーキングコールcoking coalともよばれる粘結性のある瀝青炭(れきせいたん)で、おもに製鉄用(コークス用)の「原料」として使われる。原料炭は、さらに高炉用、コークス用、ガス用などに分けられる。

 一般炭は、燃焼用のサーマルコールthermal coal、ボイラー用のスチームコールsteam coal、スチーミングコールsteaming coalなどがあり、おもに、電力用と一般産業用に分けられる。一般に粘結性のない瀝青炭と亜瀝青炭が該当する。また無煙炭は、特殊コークスへの配合用や練炭・豆炭などの製造に使われる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭利用の歴史

石炭が燃料として用いられたという記録は古く、すでに紀元前315年にギリシアの大哲学者アリストテレスの弟子テオフラストスの『石について』のなかに「北イタリアのリグリア地方やギリシアのエリスで採掘した石炭を鍛冶(かじ)屋の燃料に使っている」というくだりがみえる。当時これをアンスラックスanthraxとよんでおり、これが今日の無煙炭(アンスラサイトanthracite)の語源であるといわれる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

日本

日本では668年(天智天皇7)越後(えちご)の国から燃える土と水とが献ぜられたと『日本書紀』に記されている。「燃える土」とは石炭、「燃える水」とは石油のことであろう。「燃石(もえいし)」「岩木(いわき)」「烏朱(うし)」「石炭(いしずみ)」などといろいろによばれたが、「石炭(せきたん)」と一般に用いられるようになったのは明治以後である。ちなみに「石炭」の語は、江戸時代中期の木内石亭(きうちせきてい)(1724―1808)の石に関する博物誌『雲根志(うんこんし)』にみえる。

 石炭の発見はいずれも伝説の域を出ず、たとえば1469年(文明1)筑後(ちくご)国三池郡稲荷(とうか)村(福岡県大牟田(おおむた)市)の農夫伝治佐衛門が稲荷山(とうかやま)でたき火をし、その火が近くの黒い石に燃え移ったのを見て石炭を発見したと伝えられる(三池炭鉱の由来という)。このように記録としてはあまり確かではないが、高島炭鉱(長崎県)、筑豊(ちくほう)炭田(福岡県)などは18世紀には発見されていたようである。そして発見とほぼ同時に利用が始まったと考えられている。

 石炭利用の記録は元禄(げんろく)年間(1688~1704)以後に現れる。貝原益軒(かいばらえきけん)の『筑前国続風土記(ふどき)』(1703)や『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)に燃石ということばで、薪(たきぎ)のかわりに用いたと記述されている。その背景には急速な薪炭の不足という燃料事情があり、たとえば福岡藩では、藩債償還のために材木を乱伐し、薪炭の不足を生じ、代用燃料として石炭を用いたという(『福岡藩民政誌略』)。そのころ石炭は薪と混合して用いており、悪臭を生じるのであまり利用されず、薪を多く買うことのできない中程度以下の家でのみ用いられていたが、石炭を燃焼させたのち、急速に消火すると粗製コークス状の塊となることが経験的に知られるようになってから、家庭用燃料として徐々に広く用いられるようになった。すなわち、蒸し焼き(乾留)にして「骸炭(がいたん)」「コークス」とした。

 石炭が本格的に利用されるのは、製塩用燃料として使われるようになってからである。製塩には家庭用とは比較にならないほど大量の燃料を使用するから、薪炭の不足はより深刻であった。明和(めいわ)年間(1764~1772)、筑前若松(北九州市)の庄屋和田佐兵衛が塩焼釜(がま)を改良し、1778年(安永7)周防(すおう)国三田尻(みたじり)浜(山口県防府(ほうふ)市)に導入されたのを契機として、石炭は瀬戸内沿岸10か国の塩田地帯にその販路を拡大した(原炭のまま燃やすので「焚石(たきいし)」とよばれた)。

 こうして石炭の市場性・商品性が高まるに及び、財政難に苦しんでいた諸藩は、領内産出の石炭を藩営専売制にして財政立て直しの一手段とした。福岡藩では国産専売仕法を実施し1816年(文化13)に焚石会所を設けているし、高島炭鉱は1817年ごろ佐賀藩が藩営にしてその権益を独占している。このような藩の統制下では、炭鉱の自由な発展は望めなかった。1869年(明治2)、近代工業のエネルギー源としての石炭に着目した明治新政府は、諸藩の鉱山・鉱物に対する統制を解除し、鉱山の開坑・採掘を一般に開放する「鉱山解除令」を発し、これにより石炭産業が勃興(ぼっこう)するに至るのである。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

世界

5世紀ごろからイギリスでは商業的に石炭採掘が始められたようだが、12~13世紀には当時の製鉄、鍛冶、石灰焼き、醸造、染物、陶器、ガラス、れんがなどの工業の燃料不足が深刻となって本格的採炭が開始された。鉄1トンをつくるのに24立方フィートの木材が必要とされ、さしものヨーロッパの大森林も禿山(はげやま)になったといわれる。イギリスの石炭生産は1600年ごろから本格的に開始された。1735年A・ダービーは初めてコークスを用いる製鉄に成功し、これから石炭生産量は飛躍的に伸びることになる。1765年J・ワットによる蒸気機関の改良はイギリスの産業革命をもたらし、動力源としての石炭の役割が大きく拡大した。

 一方、コークス製造に伴う副産物としての乾留ガス(コークス炉ガス)はガス灯の燃料として当時の大都市をロマンチックな雰囲気に包んだ。やがて石炭ガスは発生炉ガス、水性ガスへと変換していき、20世紀前半の都市ガスはこれで供給されるようになる。

 コークス製造のもう一つの副産物であるタール(コールタール)は、最初のうちは厄介物扱いされていたが、分析が進むにつれ芳香族化合物という重要な有機物の発見、ドイツの化学者F・A・ケクレによるベンゼン構造式の提案(1865)など、画期的な有機化学の発展をみた。さらに注目すべきは染料の合成であり、いままで天然からしか得られなかった有機化合物を合成により製造していく有機合成化学の大発展へとつながった。

 内燃機関の発達につれ、燃料としてガソリンなどの需要が高まったが、当時石油資源はわずかしかないとみられ、とくにドイツにおいては国内生産がないこと、およびヒトラーの台頭とともに国防上の要請から石炭液化工業が発達し、第二次世界大戦終了時点で年間400万トンの生産量があった。このほか、一度ガス化して一酸化炭素と水素にし、これをフィッシャー‐トロプシュ法により合成して炭化水素油(いわゆる人造石油)にする工業も発展していた。このころ電力も大部分水力と石炭火力で供給されていた。すなわち、このころまでは石炭がエネルギー供給の主役であり、有機化学工業も石炭化学工業といってもよいほどであった。

 第二次世界大戦後は事情が一変する。中東大油田の発見とともに、便利な石油が安値で供給されると、取扱いに不便な灰を含む石炭は急速に石油に駆逐されてしまった。1973年までは石油に支配される時代である。しかし1973年アラブ諸国の結束による第一次オイル・ショックはふたたびエネルギー源の見直しを求める。各国は相対的に安価になった石炭へと再転換を図ったのが1980年代である。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭とは何か

石炭は古くから利用されてきたが、その成因・物理化学的構造などが明らかにされたのは20世紀中ごろ以降の研究成果の賜物(たまもの)である。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

埋蔵量

石炭は世界的に普遍的に産出するが、とくに埋蔵量の多いのは北アメリカ、ロシア地域、中国、オーストラリア、インドネシアなどである。

 世界の地質学的な埋蔵量は3.4兆トンほどとされているが、技術的・経済的に採掘が可能な可採埋蔵量は約8260億トンと推定されており、品位別では瀝青炭と無煙炭が4113億トン、亜瀝青炭と褐炭が4147億トンである。一方、世界の石炭生産量(褐炭を含む)は69億0300万トンと推計されており、イギリスBP社の2010年版の統計によれば、可採年数(可採埋蔵量/年産量)は119年と、ほかの化石資源より長いのが特徴である。

 このうち北アメリカ、ユーラシア大陸、オーストラリアに産出する石炭の大部分は古生代、中生代に堆積(たいせき)したもので石炭化の進んだ瀝青炭が多い。また、ユーラシア大陸、オーストラリアには、第三紀に堆積した膨大な量の褐炭、亜炭の埋蔵量もある。日本の石炭は主として第三紀に堆積したものであるが、火山地帯の影響で地温が高いために瀝青炭級まで石炭化の進んだものが多く産出する。

 日本の全埋蔵量は約200億トン、可採埋蔵量は10億トン前後とされている。日本の国内石炭生産量は、1961年度(昭和36)には5541万トンのピークを記録したが、以後、石油への転換の影響、さらには1980年代以降、割安な輸入炭の影響を受けて減少を続けてきた。2002年(平成14)以降、国際的な原油価格高騰を受けて急激な減少傾向に歯止めがかかっており、2010年度は115万トンが生産され、ほとんどが発電用として消費された。海外炭の輸入量は1970年度には国内炭の生産量を上回り、1988年度には1億トンを突破し、2010年度は1億8664万トンに達した。

 日本の主炭田は古くは北部九州や北海道を中心に全国にわたって存在したが、現在は大規模なものでは北海道の釧路(くしろ)地域が残っているだけである。

[荒牧寿弘]

成因

石炭を顕微鏡で見ると植物の細胞組織や花粉、胞子などが観察され、ときには太古の植物の化石も発見されたりするので、植物から生成したことには間違いない。ただその根源植物は年代により異なっている。古生代デボン紀(4億1600万年前から3億6700万年前まで)、石炭紀(デボン紀以後2億8900万年前まで)、ペルム紀(二畳紀。石炭紀以後2億4700万年前まで)、中生代三畳紀(ペルム紀以後2億1200万年前まで)、ジュラ紀(三畳紀以後1億4300万年前まで)、白亜紀(ジュラ紀以後6500万年前まで)などにおいては顕花植物は出現せず、蘆木(ろぼく)(トクサ類)、鱗木(りんぼく)、封印木(ヒカゲノカズラ類)などのシダ類、セキショウ類、トクサ類などの隠花植物が主体であった。これらの植物は現在よりも高温・多湿、しかも炭酸ガス(二酸化炭素)濃度が高いという当時の植物繁茂に適した環境下で十分に成長し、化石から推定されるところでは幹の直径1メートル以上、樹高20~30メートルという大木となって大森林を形成していたものと想像されている。

 新生代古第三紀(中生代白亜紀以後2400万年前まで)になると、以上のような隠花植物はしだいに衰退し、今日みられるようなセコイア、メタセコイア、イヌクギ、ヌマスギなどの松柏(しょうはく)類、ポプラ、プラタナス、ニレ、ケヤキ、クルミ、ウリノキ、カエデなどの被子植物などの針葉樹、広葉樹の顕花植物が繁栄するようになり、これらが石炭の源となった。これら以外にも、水中の藻(も)が起源となったと推定される石炭(燭炭(しょくたん))がごく例外的に産出する。

 こうした大森林のうち湿地帯に生育していたものは倒木となっても水中に堆積し、微生物による生化学的分解を免れて蓄積が進んだ(現地性堆積)。一方、洪水などにより押し流され湖水・海岸などの水中で堆積が進んだものは流積性堆積とよばれる。こうして堆積した植物は初期においては微生物の作用を受ける。空気中では好気性菌の作用が激しく、酸化分解を受け、比較的短時間の間にほとんど完全に分解されてしまうが、水中では嫌気性菌が作用し、その働きは弱くかつ還元的に作用するため、植物体のかなりの部分が残存することになる。堆積した植物層がしだいに沈降し、やがてその上に土砂が堆積し、植物層はしだいに地中深く埋没されていく。一般に地中温度の上昇は100メートル当り3~5℃といわれるので、埋没深度の深いほど高温にさらされるようになり、きわめて緩慢な熱分解反応が進行していく。実験室ではかなりの高温で熱分解を行うため、短時間に反応が終わるが、地質年代のようにきわめて長時間の間では温度が低くても反応はしだいに進んでいく。実験室の熱分解ともう一つ異なる点は、実験室では分解生成物の低・中沸点のものはガス、タールなどとなって、反応系外に飛び出し、もはや石炭化の反応に関与しないが、石炭化の場合には温度が低いことと、上下岩石層の存在のため、生成ガス、中沸点物などがそのまま反応系中にとどまるため、これらがさらに相互に反応していく点にある。

 ヨーロッパの石炭紀の石炭に比べ、日本の第三紀の石炭は、その石炭化の期間がはるかに短いにもかかわらず、同程度まで石炭化が進んでいる場合が多いが、これは日本の場合、マグマ塊の存在などによってヨーロッパよりももっぱら地中温度が高かったためと推定されている。

 このようにして石炭化が進んだのであるが、元になった植物の種類の相違、初期生化学的変化の相違、地中温度と経過時間の相違などによって種々さまざまな石炭が生成してきたわけである。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

分類

石炭化反応は基本的には熱分解反応であり、炭素の蓄積反応であるため、最終的には黒鉛に至るものである。したがって、単に炭素%をもって石炭化の段階を表すこともできるが、石炭を構成する元素比(水素/炭素および酸素/炭素)によってプロットされたコールバンドCoal Bandは、脱水・脱メタン・脱炭酸過程から石炭の成熟過程を理解するのに便利である。また、コールバンドを利用して未知の石炭(新規開発炭)の石炭化段階を推定したり、分類したりするのが一般的である。

 種々の石炭に関しては、石炭化度が高いほうから無煙炭、半無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭・亜炭などと分類されている。また、用途によって、原料炭(高炉コークス用)や一般炭(ボイラー用、発電用)と区分されている。さらに原料炭はその粘結性によって、強粘結炭、粘結炭、弱粘結炭、微粘結炭、非粘結炭に区分されている(表1)。

 以上のほか、寒冷地の湿地帯で草が堆積して生ずる泥炭peat(草炭)、藻から生成したとみられる燭炭cannel coal(油分が多く、明るく、ろうそくのように燃える石炭)、地中マグマが炭層に貫入して急速に地中で乾留されて生成した天然コークスともよばれる煽石(せんせき)などがある。

 おもに国際間の商取引の必要性から国際分類表がつくられた(表2)。これは揮発分を基にまず分類し、揮発分33%以上は発熱量で分類し、このようにして得られた各類をさらに表3に示した粘結性指数で分類する方法である。表4に国際分類法と日本における炭質分類を示す。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

組織成分

石炭は肉眼的には縞(しま)状組織を呈する場合が多く、さらに顕微鏡下で研磨した石炭を観察すると、微細で多様な組織成分が混在していることがわかる。岩石組織学にならってこれらを分類したものが石炭組織学(coal petrographyまたはpetrology)といわれる。岩石の花崗岩(かこうがん)は石英、長石、雲母(うんも)など三つの結晶から構成されるように、石炭においても表5にみられるような微細な組織成分から構成される。この微細な組織成分はマセラルmaceralとよばれる。一般に、岩石を構成する鉱物は一定の化学組成を有する結晶質の無機化合物であるが、石炭のマセラルの場合、石炭化度によって、その物理的・化学的性質が変化する非結晶質の有機化合物である。このようなマセラルを識別し得るのは、顕微鏡下で観察される形態や輝度(反射率)、色調・光沢などの性質による。石炭の組織は、反射光を用い、油浸液を通して顕微鏡観察する。

 マセラルは、ビトリニット、エクジニット(またはリプチニット)、およびイナーチニットの三つのマセラルグループに大別される。それぞれ異なる原植物器官に由来し、物理・化学的性質を異にする。同じ石炭化度の石炭では、相対的にビトリニットは酸素を、エクジニットは水素を、また、イナーチニットは炭素を、それぞれ多く含んでいる。反射率はイナーチニットがもっとも高く、エクジニットはきわめて低い。イナーチニットグループは、反射率が高く白色から灰白色に見え、エクジニットグループは、反射率が低く暗黒色に見え、ビトリニットは、イナーチニットとエクジニットの中間の反射率を示し灰色に見える。

 一つの石炭中の微細組織成分間の性状の違いは大きく、エクジニットはもっとも揮発分が高く、溶剤に溶けやすく、加熱によってタール発生量が大きく、液体状になりやすい。逆にイナーチニットグループのフジニットは揮発分がもっとも低く、溶剤にはほとんど溶けず、その他の化学反応性もきわめて低い。イナーチニットは元来不活性という意味をもっているのも、こうした特性に由来する。

 石炭が全体として示す種々の複雑な性質はこうした微細組織の構成割合により大きく左右される。たとえば、イナーチニットの含有割合が多いと、加熱軟化性や流動度は低くなり、高圧水素添加液化の場合でもイナーチニットはほとんど液化しないので、全体の液化率は低くなる。したがって、石炭の微細組織成分の割合を知ることは、実際に石炭を応用するうえできわめて重要なことといえる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の分析

石炭は非常に不均一な天然産物であるため、石炭の性状を分析するには、まずいかにして全体を代表するような平均試料を採取するかが問題となる。日本工業規格(JIS(ジス))には粘度によって無作為に採取する試料量を規定している。こうして採取した試料は実際に分析を行う量までさらに縮分が必要である。これはたとえば二分器や回転縮分器など種々の器具・方法を用い、できるだけ均一に試料が採取されるようにくふうされている。一例を図Aに示す。

 このようにして均一試料として約180グラムになった段階で、全量を250マイクロメートル以下に粉砕し、よく混合してこれを気乾試料(室温空気中放置で平衡に達した試料)とする。さらに飽和食塩溶液を入れた恒湿器中に気乾試料を恒量になるまで放置した試料を恒湿試料という。石炭の分析は、工業分析と元素分析に大別される。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

工業分析

工業分析で得られる固有水分、灰分、揮発分volatile matter(VM)、固定炭素fixed carbon(FC)は、石炭の商取引に必要な情報であるばかりではなく、工業的利用分野を問わず必須(ひっす)のデータである。

 石炭の水分は、石炭粒子表面に付着した表面水分(付着水分)と粒子内部に発達した微細気孔(内部表面)に存在する吸着水分に区分され、その合計が全水分である。吸着水分は石炭化度によってほぼ決まる(石炭化度が高くなるほど固有水分は少なくなる傾向がある)ため、固有水分ともよばれている。一方、表面水分は天候や貯炭状況によって増減するため、商取引に際して買い手と売り手の立場の相違から問題になることが多い。水分の定義、計測条件を明確にしておくことが重要である。

 固有水分、灰分、揮発分、固定炭素などは石炭の産地によって変化するばかりではなく、同一産炭地でも地層の広がり、深度によって差異があるので取引では、各ロットに対して工業分析が必要になる。

 工業分析には次のような項目がある。

(1)固有水分 恒湿試料約1グラムを107±2℃の電気炉中で1時間乾燥したときの減量%。

(2)揮発分 恒湿試料約1グラムを蓋(ふた)付き白金るつぼに入れ、900±20℃の電気炉中に7分間急熱したときの減量%から固有水分%を減じた値。

(3)灰分 恒湿試料約1グラムを空気中815℃に加熱灰化した残留分%。

(4)固定炭素 100%から固有水分、灰分、揮発分%を差し引いたもの。

[荒牧寿弘]

元素分析

元素分析は、一般の有機物の元素分析と同様であるが、石炭がきわめて不均一なものであるため、ミクロ分析は適しない。普通はマクロまたはセミミクロの規模で行い、炭素、水素、窒素、硫黄(いおう)を定量し、酸素は100%からの差として算出するが、酸素の直接定量法も可能である。炭素および水素は試料を酸素気流中で加熱・燃焼させ、生成する二酸化炭素および水蒸気をそれぞれ吸収剤に吸収させ、その増量を測定し無水試料に対する質量百分率をもって表示する。窒素はケルダール法、セミミクロケルダール法などにより定量される。硫黄は試料の全硫黄と灰中硫黄を測定し、差分として燃焼性硫黄を算出する。炭素、水素、窒素は機器分析(CHNコーダー)法が採用されることが多い。

 以上のほか、製鉄の際コークス中にリンが含有されると銑鉄の品質に支障をきたすためリンの分析も行われる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

発熱量

恒湿試料約1グラムを熱量計中で燃焼させ、そのとき発生する熱量を総発熱量または高発熱量という。これには含有水分、および石炭中の水素が燃焼して生成する水分の凝縮熱が含まれており、それだけ高い値となっている。実際の燃焼時の発熱量は水分の凝縮熱を差し引いたもので、真発熱量または低発熱量といわれ、次式から計算される。


ここでhは水素%、Wは水分%である。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

灰組成分析(蛍光X線法)

石炭サンプル(1グラム、149マイクロメートル以下)を1000℃で恒量になるまで焼成し減量(イグロス)を算出する。次に焼成後のサンプル(0.7グラム)を白金皿にとり、四ホウ酸リチウム(4.5グラム)とフッ化リチウム(0.5グラム)を添加して1000℃で10分間加熱処理するとガラス状タブレット(直径0.7ミリメートル×5ミリメートル)が得られる。ガラス状タブレットにX線(一次X線)を照射し、励起されて発生する二次X線(蛍光X線)を検出して元素の定性、定量を行う。通常は、あらかじめ用意された検量線からアルミナAl2O3、二酸化ケイ素SiO2、酸化カルシウムCaO、酸化マグネシウムMgO等として定量される。

 これは灰化サンプルであるため、実際に石炭中に含有されている鉱物の形ではない。実際に含有されている鉱物を調べるには、200℃前後で酸素プラズマを用いて有機物を除いた残存物(低温灰化物)に対しX線分析を行う。このようにして得られた無機成分としては粘土鉱物が多い。パイライト(黄鉄鉱)を多量に含有している石炭もある。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭・コークスの試験法

試験法の多くはコークス製造に関するものである。

(1)ハードグローブ粉砕性試験 所定の整粒、粉砕、篩(ふるい)分けした試料50グラムを試験機に入れ、8個のボールを加え60回転後、74マイクロメートル篩で分け、篩下の重量Wから次式により指数を算出する。

  ハードグローブ指数=13+6.93W
ハードグローブ指数hardgrove grindability index(HGI)は粉砕性を表す指数であり、これが大きいほど粉砕性がよいことを示す。一般の瀝青炭は50~60である。

(2)るつぼ膨張性試験 気乾試料1グラムを石英るつぼに入れて蓋をして電気炉で一定条件下に加熱、生成した残炭の形状を標準輪郭と比較して指数(ボタン指数)を出す。ボタン指数は加熱による自由膨張の大きさを表現するものであり、直接にコークスの強度を示すものではない。

(3)ギーセラー流動度試験 420マイクロメートル以下に粉砕した試料200グラムを、試験機るつぼ中に入れ、この中にトルクをかけた特殊な攪拌棒(かくはんぼう)を埋め込む。金属浴中で一定昇温速度で加熱したとき、攪拌棒の回転速度を記録し、1分ごとの目盛り分割(ddpm=dial division per minute)で回転速度を表す。攪拌棒が回転を始めて1DDPMに達したときを軟化開始温度といい、最高に達したときの流動度を最高流動度、ふたたび動かなくなる温度を固化温度と称する。石炭の軟化溶融特性を表すものでコークス用炭(粘結炭類)に広く適用されているが、非・微粘結炭に対しては適用できない。

(4)灰の融点試験 石炭を灰化し、水またはデキストリン10%溶液と練り合わせ三角錐(さんかくすい)型に入れて三角錐に成形、電気炉で一定昇温で加熱し、三角錐が半球状となったときの温度をもって灰の融点とする。微粉炭燃焼に際して発生する灰分は飛灰(フライアッシュ)として回収されるが、火炉の壁に付着し燃焼効率が低下したり、閉塞(へいそく)して運転に支障をきたす場合もある。また、石炭ガス化などの際、温度が低いときは固体粉として灰を取り出せ、温度がきわめて高いガス化方式では溶融灰(スラグ)として取り出せる。しかしその中間の温度では灰が焼結して炉の中で硬い塊(クリンカー)となり、または炉壁に付着して棚吊(つ)り現象などを生じ、運転に支障をきたす場合がある。灰の融点により、どのような燃焼炉、ガス化炉を選定するか、またはどのような燃焼条件、ガス化条件を選ぶかを決定することができるため、灰の融点は重要な物性値の一つということができる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の構造

石炭はピリジンに数%から30%程度溶解する。もっともよく溶解するのは炭素含有率85~88%の瀝青炭である。また、石炭をアルコールとカ性ソーダまたはカ性カリ(水酸化カリウム)と300℃以上で処理すると、亜炭、褐炭、亜瀝青炭などの石炭化度が低い石炭は、構造があまり変化することなく、ほとんど全部ピリジンに可溶となる。一方、キノリンで350℃ぐらいの温度で抽出すると、瀝青炭の多くはほとんど可溶となる。温和な水素添加反応を繰り返すことにより、やはり構造をあまり変えずにピリジンに60~80%可溶とすることもできる。これら溶媒可溶となった部分について1H-NMR(NMRは核磁気共鳴の略)、元素分析値を用いるとその平均構造を求めることが可能であるが、このようにして得られた石炭の骨格構造をなすベンゼン環(芳香環)の環数は、亜炭、褐炭で単環くらい、亜瀝青炭で2環くらい、瀝青炭で3~5環くらいとなる。無煙炭はいかなる反応によっても可溶化しないので、このような方法では平均構造を求めることができないが、X線回折や磁気係数測定、比重測定などから推定した芳香環の環数は10環以上と非常に大きなものである。すなわち、石炭化反応とは芳香環の縮合反応であるといえ、これは「成因」において述べた石炭化反応が一種の炭化反応であるということと一致する。すなわち、炭化反応では芳香環が相互に縮合して、しだいに環数の多い芳香環となり、それらの積層化が進み、最後に二次元・三次元的に無限に近く広がった黒鉛のような構造をとるようになる。13C-NMRの登場によって固体の状態で石炭の平均構造を求めることも可能になった。

 亜炭、褐炭ではヒドロキシ基、カルボキシ基(カルボキシル基)、カルボニル基、エーテル型酸素などを多く含有しているが、これらの活性基は石炭化度とともにしだいに減少していく。もっとも早く減少するのはカルボキシ基で、おそらく二酸化炭素に分解すると考えられ、炭素含有量77%程度でほとんど消失してしまう。ヒドロキシ基、エーテル型酸素などは水となって消失すると考えられている。

 リグニンはプロピルベンゼンを骨格構造とし、これにヒドロキシ基、メトキシル基が不均一に結合し、さらにこれらの骨格構造が互いにいろいろな形で結合して高分子構造をつくりあげているといわれている。亜炭、褐炭はリグニンが初期生化学的過程で若干の酸化を受け、さらに地中における緩慢な熱分解過程から脱ヒドロキシ基、脱メトキシル化が進んだものであろう。しかしながらこれらの変化はまだ初期段階にとどまり、芳香族環は単環にとどまっている。酸化生成物を分析しても大部分は単環化合物である。また、その分子量は相当の高分子量と考えられ、リグニンの熱分解がそれほど進んでいるとも思われない。

 石炭化が進んでくると、芳香環どうしの縮合、脂肪族の環化、脱水素などにより芳香環数が増加する。同時に熱分解により結合鎖の切断も生じる。また、ヒドロキシ基などの官能基は脱離し、アルキル基の分解も進み、メタンガスなどになる。こうして炭素含有量85~87%付近で石炭はもっとも分子量が小さくなって溶媒にもっとも溶けやすくなり、加熱したときの流動度ももっとも大きくなる。炭素含有量90%付近では芳香環の環数が多いために最高流動度はあまり上がらないが、最高流動温度はもっとも高温に移行する。しかし分解ガス化する部分がきわめて少ないため炭化収率はあがり、もっとも強度の高い緻密(ちみつ)なコークスが得られる。さらに石炭化が進むと芳香環は相互に結合し、大きな二次元・三次元構造、すなわち黒鉛微結晶構造へと近づいていくために、もはや加熱しても溶融しなくなる。

 石炭化度の低い石炭でも加熱したとき軟化溶融しない。これは元来高分子であることのほかに、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基などの官能基を多くもっているために、これが比較的低温で離脱する結果、ラジカル(遊離活性基)のランダムな結合が生じて密な網状構造をつくりあげるためである。

 以上述べたように、コークスとなる石炭は、熱軟化性を有する特殊な範囲の石炭であり、さらに強度の高いコークスとなるような石炭は、もっと範囲の狭い炭素含有量90%付近の石炭に限られる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の利用に用いられる技術

前章で述べたように、石炭の構造解明を目ざした各種の研究は、石炭化学の基を築くとともに、石炭のより有効な工業的利用に役だっているばかりではなく、広く炭化水素化学全般の水準を高めることにも役だっている(図B)。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の乾留――熱分解反応

現在はほとんど行われないが、900℃ぐらいまでの乾留を低温乾留といい、かつてはガスやタールを得る目的で、あるいは無煙燃料製造やガス化予備処理として盛んに行われた。1000~1300℃の乾留は高温乾留といい、主として製鉄用コークス製造を目的として行われる。

 乾留というのは熱分解にほかならないが、簡単に石炭の熱分解反応を説明すると次のようになる。まず、100℃までに水分が離脱し、200~300℃で、石炭化度の低い石炭は官能基が脱水、脱炭酸などの反応が生じ、あとに網状結合を残す。このため、より高温に加熱しても軟化溶融しない。さらに400℃以上の高温になると、脂肪族構造部分は分解してメタンなどの炭化水素ガスを発生し、芳香族構造部分は芳香環の縮合、環化などが生ずる。この温度くらいから飽和環(ナフテン環)の脱水素、縮合反応などによる水素の発生が始まり、またキノンなどの分解による一酸化炭素も発生を始める。さらに700℃以上の高温になると、芳香環の水素が水素ガスとなって脱離し、芳香環どうしの縮合が生ずる。このようにしてしだいに芳香環の環数が増大し、黒鉛微結晶が相互に連なったような炭素構造へと移行することになる。この際、粘結炭のような軟化溶融状態を通過して炭化するようなものでは、溶融中に芳香環の平面大分子が相互に擬平行状に積み重なった異方性中間相mesophaseが生成する。これが成長して炭化が進むと光学的異方性組織が発達するため、高炉内反応にも耐えられる高強度コークスになる。このような乾留過程で、もともと石炭中に含有されていた低分子化合物、または熱分解過程で生成した低分子化合物は蒸気となってコークス炉ガスcoke oven gas(COG)に同伴される。コークス炉ガスを冷却して得られる凝縮物(芳香族炭化水素)がコールタールである。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭のガス化

石炭の乾留では、熱分解だけで約20%のコークス炉ガスを得るが、石炭のガス化は石炭からそれ以上のガスを製造することを目的としており、ガス化剤(空気、酸素、水蒸気、二酸化炭素、水素)を石炭に反応させて、水素、一酸化炭素、メタンを主成分とするガスを得るものである。ガス化方式は発生炉ガス化、水性ガス化、水添ガス化に大別される。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

発生炉ガス化

石炭と不足量酸素との反応により一酸化炭素を主として生成するガス化であるが、カロリーが低いガスしか得られないため現在はほとんど行われない。発熱反応を伴うため、炉内温度が上がりすぎると内張りれんがを傷めたりクリンカーを発生して運転の障害となりやすい。そこで、約1000℃に保持するために熱容量の大きな水蒸気を加えて行う場合が多いが、発熱量の高い水性ガスを副生するため、この場合は半水性ガス化といえる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

水性ガス化

水蒸気と炭素との反応により一酸化炭素と水素を生成するガス化である。この反応は大きな吸熱反応であるため酸素を導入し炭素を一部燃焼することによって熱を補給している。燃焼反応と水性ガス化反応を交互に行う間欠式と酸素または空気を水蒸気と同時に送入する連続式がある。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

水添ガス化

水素と酸素の反応によりメタンを生成する反応である。生成した一酸化炭素と水素の混合物はそのまま燃料として用いられるし、また鉄系触媒上水蒸気と反応させて一酸化炭素を二酸化炭素と水素にし、二酸化炭素を除いて水素のみにすることもできる。あるいはニッケル系触媒を用いてメタンを合成することもできる。また、いろいろの触媒を用いて炭化水素、アルコール、ケトン、アルデヒド、芳香族化合物などを合成することもできる。もっとも有名なのはフィッシャー‐トロプシュ合成、オキソ合成などであろう。オイル・ショック以降、より選択的に単一物質の合成を目ざすようになり、それらを総称してC1(シーワン)化学とよんでいる。

 昭和30年代に入って石炭のガス化は急速に石油系原料への転換が図られ、日本では1969年(昭和44)に完全に停止された。しかし第一次オイル・ショック以来、石炭を原料とするクリーン燃料ガスの製造研究が各国で盛んに行われるようになり、ガス化炉の方式も従来の固定床に対して流動床、噴流床、溶融床などの方式がある。1985年にはアンモニアなどの製造価格が、石油系原料と石炭系原料でほぼ等しくなり、石炭を原料として、有用物質を製造する工業がアメリカ、日本で実現している。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の液化

石炭の水素原子数と炭素原子数の比は0.4~1.0くらいの範囲にあり、この比の小さいものほど石炭化は進んでいる。一方、石油留分は重油の1.2~1.6くらいからガソリンの2.0くらいまで、石炭に比べるとはるかに多量の水素を含有している。これは大部分脂肪族炭化水素化合物から構成されているためである。したがって石炭を液化して石油のような油にしようとすると、必然的に水素を付加する必要がある。従来の液化法の多くは、高圧の水素下で430~480℃くらいの温度で触媒とともに反応させて液化するという方法である。この場合、石炭はまず熱分解により小さなラジカルとなり、このラジカルに水素が付加して安定化することにより液体となる。これが一次液化である。一次液化生成物はこうした反応が理想的に行われれば、芳香環と芳香環を結合していた鎖の部分のみを切っているので、その石炭中に含有された芳香環の環数によって重質度が決定されてしまう。すなわち、亜炭などの単環芳香族からなるものでは比較的軽質油となり、瀝青炭のような多環芳香族体では重質油となる。こうした重質油をさらに軽質化するためには、芳香環に水素を付加させて飽和化し、これをさらに熱分解するという逐次反応をおこさせなければならない。これが二次液化反応である。もちろんこうした一次、二次の区別は反応の種類によって区別したもので、実際には反応機の中で大なり小なり同時に生じている。どのような石炭をどのような反応条件で液化するかにより、生成物の種類と収量は大幅に異なる。石炭化度の低い石炭を用いれば比較的軽質油を多く得ることができるが、反面、酸素含有量が多いために高価な水素が水の生成に消費されてしまうという欠点を有している。瀝青炭は比較的液化しやすく水素消費量は少なくてすむが、重質油が主である。熱分解で生成したラジカルの安定化は、水素供与性溶媒を用いて行うこともできる。

 石炭の液化油はコールタールと同様に多種類の芳香族化合物を含んでいる。この有用な化学原料は分離して副産物として利用し、燃料油製造法としてのコストをすこしでも下げようとする発想の研究も続けられている。1950年代にアメリカで行われたC.C.C法(C.C.C社=Carbide and Carbon Chemicals Co.が化学原料化を指向した石炭液化法)は、1日の石炭処理量が500トンの試験工場を建設し、129種類もの化合物を単離したが、分離技術の未発達と石炭から石油への流れのなかで中止された。日本でもこの時期にコールケミカルスの製造を目的として、開発研究が行われた。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の酸化

炭坑の自然発火にみられるように、石炭は非常に酸化しやすい。そして酸化が進むと粘結炭の特徴である軟化溶融性が消失するため、実用面できわめて重要な反応といえる。空気酸化では酸化は粒子の表面から始まり、しだいに内部に進行する。酸化の進行によって表面は硬い皮で保護されるため、加熱しても粒子どうしが軟化して相互に融着することを不可能にする。このため、ごく軽い酸化で、元素分析など他の方法で検知されないような場合でもギーセラー流動度など粘結性の指標が顕著に低下することが知られている。

 種々の酸化試薬を用いる石炭の酸化は、主として石炭の構造を調べる目的で行われている。一方、硝酸、アルカリ中での酸素酸化などで芳香族、主としてベンゼン多価カルボン酸を製造しようとの試みも行われている。亜炭、泥炭などの低炭化度炭を酸化剤を用いて低度酸化するとフミン酸が得られ、また酸素を用いて瀝青炭を高度酸化すると水に可溶の芳香族カルボン酸、シュウ酸、コハク酸などが得られる。かつて日本では硝酸酸化してニトロフミン酸を製造し、土壌改良剤、脱臭剤、石油井戸掘削用泥水調整剤などに利用した。芳香族カルボン酸はまだ実用化されていないが、界面活性剤や熱硬化性樹脂の原料として使用することができる。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の溶剤抽出

ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ピリジン、キノリンなどの有機溶剤を用いて石炭中の可溶分を抽出し、石炭の化学構造や粘結性を究明する方法は、古くから行われている。工業的にはドイツにおける人造石油を目的としたテトラリンとクレゾールの混合物を溶剤としたポット‐ブロッヘ法、水素加圧下で溶剤抽出を行うウーデ法がある。日本では馬場有政(ありまさ)らによって開発されたタールを用いる無灰炭および膨潤炭の製造があり、これらは弱粘結炭から強度の高いコークスをつくるバインダーとしての利用を目ざしたものであるが、実用化には至らなかった。その後、水素加圧下で種々の溶剤を用いて溶剤精製炭solvent refined coal(SRC)を製造する開発研究が進められ、コークス用粘結材として一定の効果が確認されたものの、工業化されるに至っていない。メチルナフタレン系の溶剤を用いる完全無灰炭(ハイパーコール)は当初ガスタービン用燃料を目ざして研究・開発が行われてきたが、高流動性を示すため、完全脱灰を行わないコークス用粘結材としての利用研究が進められている。このほかにも水素化重質溶剤を用いて低灰分の褐炭を熱分解水素化処理し、コークス用粘結材を製造する研究も行われている。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭の炭素化

粉砕した粘結炭を加圧成形して、変形や亀裂(きれつ)、酸化などを防ぎながら500~3000℃で焼成、黒鉛化して、直接炭素材を製造する技術であるが、研究・開発の域を出ていない。石炭を原料とする活性炭は、ヤシ殻を原料とするものに比べ活性炭としての性能は劣るものの、安価に大量に製造することができるため、工場の排ガス処理、水処理、悪臭防止などの環境保全対策に使用されている。石炭から派生するものとしては、タールピッチを原料とする黒鉛電極、炭素繊維などが工業的に生産されており、石油系の製品と拮抗(きっこう)するまでになった。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

石炭灰の利用

石炭は無機質である灰分を5~20%程度含んでおり、石炭を利用する際の短所の一つとされてきたが、今後も石炭を大量に利用するためには灰分の有効利用が重要な課題となっている。セメント混和用としてすでに利用されているが、さらにセメント製造原料、自然造粒灰の道路路盤骨材、軽量骨材などの利用が進められている。また石炭灰中のケイ酸分に着目して日本でも遅効性のケイ酸カリ肥料の製造が1982年より年産3万トンで開始された。今後、微粉炭燃焼石炭火力発電方式から、より効率化をねらった石炭ガス化複合発電方式integrated gasification combined cycle(IGCC)に移行する予測がある。IGCCが実用化されると石炭中の鉱物は、灰ではなくスラグ状として排出されるようになるため、ガス化スラグの活用も重要な課題である。

 一方、石炭のコークス原料としての利用によっては高炉スラグが排出され、路盤骨材のみならず、高炉セメントの原料やロックウールなどとしての利用が確立されている。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

燃料としての石炭

石炭は個体(粉体)であるため、石油に比べ貯蔵・運搬に費用がかかり、発塵(はつじん)飛散による周辺環境への影響、また燃焼後の灰処理のむずかしさなどの問題があるとはいえ、依然として石油と並ぶ重要な燃料源である。オイル・ショック以降、石炭を固液流体化(スラリー化)させ、取扱いを便利にして、より高効率の利用を図るため、たとえば、CWM(高濃度石炭・水スラリーcoal water mixture)、COM(石炭・石油スラリーcoal oil mixture)などの研究・開発が進められ、実用化されている。

[大内公耳・上田 成・荒牧寿弘]

『水沢周著『石炭』(1980・築地書館)』『大内公耳・真田雄三著『石炭エネルギー読本』(1982・オーム社)』『持田勲編著『図解 クリーン・コール・テクノロジー』(2008・工業調査会)』


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百科事典マイペディア 「石炭」の意味・わかりやすい解説

石炭【せきたん】

古代の植物体が長い年月の間に自然の炭化作用を受けて生じた可燃性堆積岩。水底や湿地に堆積した植物の遺体が微生物の作用で変質・分解され泥炭化,次いで地中に埋没して地圧・地熱の作用で炭化して生成。古生代〜新生代の地層中に層をなして存在(炭層),特に古生代の石炭紀ペルム紀,中生代の三畳紀ジュラ紀,新生代の古第三紀の地層に多い(日本では第三紀が主)。根源植物としては,古生代は封印木鱗木(りんぼく),コルダイテスなど,ヒカゲノカズラ類,シダ類,トクサ類,裸子植物が多く,中生代には裸子植物,新生代には被子植物が多くなる。 生成条件などによって性状や成分は異なるが,一般に緻密(ちみつ)で塊状。炭化度の低いものは褐色,炭化が進むにつれて黒色となり光沢を増す。比重1.3内外,硬度0.5〜2.5。炭素,酸素,水素の3元素を主成分とし,少量の窒素,硫黄のほか,水,灰分を含む。石炭分子は基本単位としての縮合芳香環が炭素鎖などで結合して複雑な高分子構造をとり,その中に低分子化合物が包み込まれた構造になっていると考えられる。石炭はその炭化度により,泥炭亜炭褐炭歴青炭無煙炭に分類され,狭義には歴青炭のみをさす。古くから固体燃料として家庭用・工業用に広く使用,特に製鉄用コークスの製造には不可欠の原料である。また戦後,石油化学工業の発達までは化学工業用原料の主流であった。→石炭化学石炭産業炭田
→関連項目化石燃料クリーンエネルギー石炭液化石炭化学工業石炭ガス石油選炭竪窯炭鉱地下資源発生炉ガス微粉炭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石炭」の意味・わかりやすい解説

石炭
せきたん
coal

植物が地層の中で炭化したものの総称。植物遺体が堆積物中に埋没し,酸素が少ない状態で,しかも嫌気性バクテリアの生化学的作用のため分解することなく,長い年月の間,圧力と熱によって炭化作用が進むと可燃性の層状堆積岩(石炭)となる。化石燃料中でも特に重要なものの一つで,世界各地の,地表近くも含めたさまざまな深さで発見されている。
石炭の色はおもに暗色で黒が多いが,密度,多孔性,硬さ,光の反射角度は一様とはいえない。成分も一様ではないが,工業的に重要なのは水分,灰分,揮発分,炭素である。石炭にはいろいろな分類方法があるが,炭化(品位)の段階を基にした分類がよく使われる。炭化度が低い順に,泥炭亜炭(褐炭),亜瀝青炭,瀝青炭無煙炭に分けられる。一般に石炭の価値は,炭化度が増すごとに上がり,また水分や揮発性物質が増せば低下する。すなわち泥炭から無煙炭へと価値は上がる。このほか亜瀝青炭,瀝青炭の一部にみられる粘結性の強いものはコークスのもととなり,工業用に重要である。さらにマセラルという石炭組織のグループによる分類方法もある。これは自然界を発生学的にとらえるもので,石炭の成分やさまざまな炭化の過程から石炭をビトレーン,クラレーン,デュレーン,フゼーンの 4型に分ける。そのほか,不純物の含有量で分類することもある。
石炭の生成期は,地学史上大まかに 2期に分かれる。第1期は石炭紀ペルム紀を含む時期(約 3億6000万年前から 2億5000万年前)で,北アメリカ東部およびヨーロッパの瀝青炭の多くは石炭紀,またシベリア,東アジア,オーストラリアの石炭の多くはペルム紀に属する。第2期は白亜紀(約 1億3500万年前)に始まり古第三紀および新第三紀(約 6500万年前から 260万年前)が全盛期で,ほぼ全世界の亜炭と亜瀝青炭がこの時期に属する。石炭のもととみられる植物はほとんど痕跡をとどめていないが,石炭層前後の岩石中にはシダ類トクサ類ヒカゲノカズラ類,裸子植物類の化石が含まれている。石炭化は,まず泥炭の生成に始まる。古代は沼が平野部を広く覆い,気候は温暖で雨が多かった。そのため地表が長く水に覆われていたと推測され,植物の残骸を泥炭に変えるのに格好の条件であった。海が陸を覆った時期には,泥炭の上にさらに沈殿物が積もった。有力な石炭形成説によると,地表温度の上昇が沈殿を促し,そのため泥炭から無煙炭(一番硬い石炭で炭化の最終段階)までの一連の変化が生じたとする。さらに期間が長く沈殿が地下深かったため,圧力が加わったことも石炭形成に影響したとみられている。
石炭は長らくエネルギー供給源として,また製鉄用コークスの原料,染料や溶剤や薬品の原料となる芳香族化合物の原料として利用されてきた。またガス燃料にも変換されてきた。石炭ガスは 18世紀,イギリスのイングランドで分解蒸留により生成されたのが始まりで,電灯出現までの街灯や家庭用照明に,また天然ガス以前の暖房やガス器具に広く利用された。20世紀の終わり,天然ガス費の高騰が新旧両面からのガス製法の研究を促し,そのなかで石炭を粉にして高温で空気と蒸気と混合する方法が開発された。さらに燃料源への要求は高まり,再び石炭を原油のような液体燃料に変える試みが注目を集めた。石炭は高圧で通常触媒を伴って水素と反応するため,熱分解と水素添加を利用する方法が高く評価された。石炭の水素添加は第2次世界大戦中のドイツで盛んに利用されたが,石油からガソリンを生成するのに比べ非常にコストが高く商用化にいたらなかった。1970年代の終わりから,とくに石炭保有量の多い石油依存国では,経済的な石炭の液化を目指しさまざまな技術が研究された。
日本では享保6(1721)年から本格的な石炭開発が行なわれた。しかし国内では良質な原材料が少なく,今日はほとんどを輸入に依存しており,一般炭として小量を産するのみである。

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化学辞典 第2版 「石炭」の解説

石炭
セキタン
coal

地球上の植物が堆積して地殻に埋もれ,数千万年から数億年の間に熱や圧力の影響を受けて生成した炭素資源で,代表的な化石燃料の一つ.2億9000万年前から3億6000万年前の地層には石炭層を多く含むことから,この年代を地質学的に石炭紀とよぶ.石炭の分類法は国や統計機関によってさまざまである.一般に,石炭化度の低い順に,褐炭(亜炭),亜歴青炭歴青炭無煙炭に分類し,石炭の工業分析値,元素分析値,発熱量などをその指標に用いる.JIS規格では,発熱量と燃料比により上記の4種類に分け,国際エネルギー機関(IEA)の統計では,褐炭とハードコール(hard coal)に大別し,後者を用途により,コークス製造用の原料炭(coking coal)とこれ以外の燃料用の一般炭(steam coal)に分けている.コークス製造時に重要な粘結性の有無により,粘結炭と非粘結炭に分類する場合もある.石炭は可燃性の有機質と非燃焼性の鉱物質よりなる不均質固体であり,有機質中の主要元素は炭素で,そのほかに水素,窒素,硫黄,酸素が含まれる.石炭化度が高くなるにつれて炭素量は増える一方,酸素量は減少する.鉱物質の主要元素はアルミニウムとケイ素であり,鉱物質の大部分は燃焼により灰(石炭灰)となる.有機質の骨格は,ベンゼン環にシクロヘキサン環や複素環が縮合した芳香族クラスターであり,メチレン基やエーテル基などが架橋点となってクラスターどうしが結合し,巨大な分子を形成している.クラスターの側鎖には,アルキル基や含酸素官能基(カルボキシル基,フェノール性ヒドロキシ基など)が結合している.石炭化度が高いほど,クラスター中のベンゼン環や複素環の縮合度が大きくなるのに対して,アルキル側鎖は短くなり,含酸素官能基の割合も小さくなる.このような共有結合以外に,水素結合やファンデルワールス結合([別用語参照]ファンデルワールス力)などの非共有結合も存在する.代表的な水素結合は,カルボキシル基とフェノール性ヒドロキシ基との間に生じるもので,酸素含有量の多い褐炭や亜歴青炭で多くみられる.石炭中の有機質は,非共有結合による分子間相互作用にもとづいて,三次元的なネットワーク構造を形成しているという考え方が,近年,提案されている.石炭の確認埋蔵量は9840億 t で,その1/4ずつが北米大陸とロシアに存在する.石炭生産量(2001年)は年間47.3億 t であるので,可採年数は約210年となり,石油天然ガスに比べていちじるしく長い.現在,世界の石炭消費量の60% は発電用燃料で,鉄鋼業がこれに続く.わが国でも発電と鉄鋼が二大用途である.

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世界大百科事典 第2版 「石炭」の意味・わかりやすい解説

せきたん【石炭 coal】

石炭は,古代の植物の遺体が地中に埋もれ,千万年,億年単位の長い時間にわたって変質し,炭素分に富む可燃性固形物になったものである。この変質の程度によって,石炭の性状には大きな幅があり,それに応じていろいろに分類されている。そのために,石炭という語には広義,狭義にいくつかの使い方があるので,全体を総称するときに石炭類という表現を用いることもある。 石炭類は炭素が主成分であるから,エネルギー源として,また製鉄や化学工業の分野の原料として用途の広い資源である。

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世界大百科事典内の石炭の言及

【エネルギー資源】より

…エネルギーは人類の生存にとって欠くことのできないものであるが,今日,主として利用されているのは,石油,石炭,天然ガス,水力,核燃料などによるものである。このほか,太陽の光や熱,川の流れ,風,あるいは牛糞,廃品など,対価を支払わずに利用されているエネルギーも大量にあるが,通常,エネルギー資源という場合には,対価の支払を必要とする商業的資源を指している。…

【オーストラリア】より

…国土の6%が農地,58%が牧草地,14%が森林となっている。主要な天然資源としてはボーキサイト,鉄鉱石,石炭,銅,錫,金・銀,鉛,亜鉛,天然ガス,ダイヤモンドなど多岐に及ぶ。近年国内での加工度が高まり付加価値をつけることに成功しつつあり,製造業分野への貢献が顕著である。…

【中国料理】より


[近世]
 五代の混乱をへて宋が成立するが,この時代は社会・経済の近世的な発展が見られ社会生活も豊かな相をみせる。中国料理のうえでみれば,石炭の広範な使用に注目しなければならない。石炭は,中国では漢代より使用が始まったとされるが,一般民衆の間に使われるのは宋代になってからである。…

※「石炭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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