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岬や半島などの陸地から細長く海に突き出している砂礫(されき)の堆積(たいせき)地形で、対岸の陸地や島にまでは到達するに至っていないものをいう。対岸と連結しているものが砂州である。相反する方向からの沿岸流の働きによって突出した砂嘴は、三角形状の砂浜を形成することがあり、これを尖角岬(せんかくみさき)または尖角州という。東京湾の富津州(ふっつのす)はその事例にあたる。イギリスのドーバー海峡に面したダンジネス岬は巨大な尖角岬である。
一方向からの沿岸流が卓越する場合においては、砂嘴の先端部付近が陸側に曲がる傾向があり、これを鉤状砂嘴(こうじょうさし)という。砂嘴への砂礫の供給が増減したり、波や沿岸流が変化すると、先端部が何本も分岐し、複合鉤状砂嘴または分岐砂嘴とよぶ地形となる。北海道の野付(のつけ)崎は分岐砂嘴の好例である。
[豊島吉則]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…海食崖や河口から岸に沿う流れ(沿汀流)によって運搬される砂礫は,岬の先端や海岸の突出部から延びて,水面上に現れた砂礫の細長い高まり(州)をつくる。州の一端が陸地に接しているものを砂嘴(さし)spitとよび,北海道の野付崎や静岡の三保半島が代表的である。その先端が岸の方向に曲がっていることが多く,また先端が何列かに分かれた分岐砂嘴もある。…
…岬や湾の出口などの海岸の突出部から,細長く突き出るように延びている砂礫(されき)の細長い高まりを砂嘴(さし)spitといい,砂嘴がさらにのびて湾の対岸や陸地に接するようになった地形を砂州という。海に流入する河川が運搬してきた砂礫や海食崖から生産された砂礫の一部は,沿岸流や沿汀流によって海岸線に沿って運搬され,湾口や陸側にへこんだ海岸に達すると湾口をふさぐような形で堆積して細長く発達する。…
…成因としては,山稜が沈水した場合や,硬い岩石からなるため波の浸食に抗して形成される場合が多い。また砂の堆積で突出する砂嘴(さし)の岬もある。瀬戸内海の岬の多くは沈水山稜タイプであり,太平洋に突出する犬吠埼(いぬぼうさき),伊良湖岬(いらごみさき)などは硬岩タイプである。…
※「砂嘴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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