破れる(読み)ヤブレル

デジタル大辞泉 「破れる」の意味・読み・例文・類語

やぶ・れる【破れる】

[動ラ下一][文]やぶ・る[ラ下二]
裂けたり、穴があいたり、つぶれたりして、もとの形がこわれる。また、割れさける。「靴下が―・れる」「おできが―・れる」「水道管が―・れる」
今まで続いていた状態が損なわれる。「静寂が―・れる」「ついに均衡が―・れた」
成り立たずに終わる。こわれる。「恋に―・れる」「夢が―・れる」
(ふつう「敗れる」と書く)勝負などで負ける。「横綱が―・れる」「宿敵に―・れる」
けがをする。傷つく。
「随侯―・れたる蛇を見て、薬を付けていやす」〈十訓抄・一〉
[類語](1やぶける裂けるほころびる切れる擦り切れる千切ちぎれる張り裂ける破裂するパンクする破る破く引き裂く切り裂くはち切れる鉤裂き/(3こわれるつぶれるついえる崩れる破綻はたんするポシャる破損する毀損きそんする損傷する損壊する損ずるこぼれる欠ける傷付くひしげるつぶれる砕ける割れるいかれる/(4陥落落城敗走潰走帰服帰順屈従服従忍従負ける敗北する敗退する屈する参る完敗する惨敗する大敗する惜敗するやられる土がつく一敗地にまみれるふくする屈服するくじけるひざを屈する降伏降参投降恐れ入るギブアップかぶとを脱ぐシャッポを脱ぐ一本取られる敗戦負け戦ひざをかがめる軍門にくだ

や・れる【破れる】

[動ラ下一][文]や・る[ラ下二]やぶれる。こわれる。「―・れた傘」
「これは少々装飾こしらえが―・れて居りまする」〈円朝怪談牡丹灯籠

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「破れる」の意味・読み・例文・類語

やぶ・れる【破・敗】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]やぶ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 物の形がこわれる。砕ける。破壊される。やれる。
    1. [初出の実例]「皆悉、摧け壊(ヤフレ)て、受用するに任(まか)せ不(ず)なりぬといふがごとし」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)八)
    2. 「甍やぶれては霧不断の香をたき」(出典:平家物語(13C前)灌頂)
  3. 布や紙などが裂ける。やぶける。ちぎれる。やれる。
    1. [初出の実例]「君はあや・かいねりのところどころやぶれたる一かさね、すすけたる白ぎぬきて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
  4. 身に傷を負う。きずつく。そこなわれる。害される。
    1. [初出の実例]「実(まこと)を得(え)むものは則全(また)からむ。偽(いつは)らば必ず害(ヤフレ)なむ」(出典:日本書紀(720)允恭四年九月(図書寮本訓))
    2. 「やぶれたる虵をみて、薬をつけていやす」(出典:十訓抄(1252)一)
  5. 物事がだめになる。機能がそこなわれる。成り立たなくなる。台なしになる。
    1. [初出の実例]「除目の夜なりけれどかくわりなき御さはりなれば、みな事やぶれたるやう也」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  6. ( 敗 ) 戦い勝負事に負ける。敗北する。
    1. [初出の実例]「王城降陥(ヤフレ)て遂に尉礼国を失ふ」(出典:日本書紀(720)雄略二〇年冬(前田本訓))
  7. それまで保たれ維持された状態が失われる。
    1. [初出の実例]「その幻影はいつも破れて行った」(出典:一兵卒の銃殺(1917)〈田山花袋〉二〇)
  8. 起きる意の近世上方の大工仲間の語。〔新ぱん普請方おどけ替詞(1818‐30頃か)〕

や・れる【破】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]や・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 紙や布などが裂ける。また、編んだ物などがほぐれてばらばらになる。やぶれる。
    1. [初出の実例]「臣の子の 八符(やふ)柴垣 下動(したとよ)み 地震(なゐ)が揺(よ)り来ば 耶黎(ヤレ)む柴垣」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
    2. 「伝馬にだにも乗らで、破(ヤレ)たる草鞋に編笠著て」(出典:太平記(14C後)一一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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