は‐きょう ‥キャウ【破鏡】
〘名〙
① こわれた鏡。破れた鏡。
※正法眼蔵(1231‐53)
大悟「この示衆は、破鏡の正当恁麽時を道取するなり」
② (漢代の古絶句に「何当二大刀頭一、破鏡飛上レ天」とあるのによる) 欠けた月。かたわれ月。
※本朝文粋(1060頃)一・繊月賦〈
源英明〉「踈
二於破鏡之姿
一。寧見
二如
レ珪之彩
一」
③ (離れて暮らさなければならなくなった
夫婦が、鏡を割って
それぞれの
一片を持ち、
愛情のあかしとしたが、妻が
不義を働いたために、その一片が
カササギとなって夫の所へ舞いもどり、不義が知れて
離縁となったという「神異経」の
故事から) 夫婦が離縁をすること。〔
袖中抄(1185‐87)〕
※
河東節・きゃう女新所帯(1725)「せうらのちぎりひきかへて、はきゃうのわかれつれなくも」
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デジタル大辞泉
「破鏡」の意味・読み・例文・類語
は‐きょう〔‐キヤウ〕【破鏡】
1 割れた鏡。
2 夫婦が離縁すること。離れて暮らすことになった夫婦が、鏡を二つに割ってそれぞれの一片を持ち、愛情のあかしとしたが、妻が不義を働いたためにその一片がカササギとなって夫の所へ舞い戻り、不義が知れて離縁になったという「神異経」の故事による。
[類語]離婚・離別・破婚・離縁・不縁・破局・三下り半・別れる・暇を出す・暇をやる
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普及版 字通
「破鏡」の読み・字形・画数・意味
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破鏡
離婚すること。
[使用例] 彼女の破鏡についても、その後の行動についても、私は兄としての立場から言うべきことは沢山あったが[井上靖*姨捨|1955]
[由来] 「[太平御覧]」という書物に引用された、紀元前二世紀ごろに書かれた「神異経」に見える話から。その昔、ある夫婦が、離れて暮らさなければならなくなりました。二人は鏡を割ってそれぞれの一片を持ち、愛情の証としましたが、やがて妻は、別の男性と関係を持ってしまいました。すると、彼女が持っていた鏡の一片がカササギという鳥になり、夫の所へと飛んでいったので、夫は妻の浮気を知ったということです。「神異経」では短い話ですが、九世紀の「本事詩」では、戦乱によって離れ離れになった夫婦が、困難を経て再会してまた結ばれる、ハッピーエンドのお話になっています。ここから、離婚した夫婦が再び一緒になることを「破鏡再び合う」といい、やはりそうはいかないことを「破鏡再びは照らさず」といいます。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報