精選版 日本国語大辞典 「硫化銅」の意味・読み・例文・類語
りゅうか‐どう リウクヮ‥【硫化銅】
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銅の硫化物で、一価および二価銅の化合物が知られている。
(1)硫化銅(Ⅰ) 天然には輝銅鉱として産する。銅を水素と硫化水素との混合気流中で加熱するか、硫化銅(Ⅱ)を少量の硫黄(いおう)とともに水素中600℃以下で熱して得られる。α(アルファ)、β(ベータ)の2形があり、天然の輝銅鉱はβ形で91℃以下で安定。α形は高温型で、融解物を冷却するとき析出するものがそうである。結晶格子中銅の一部が欠損していて、Cu1.8Sに相当する。α、βいずれも導電性があるが、βのほうが導電性がよい。いずれも金属光沢ある暗灰黒色の結晶。熱に対して安定。水にほとんど不溶。硝酸、アンモニア水には可溶である。
(2)硫化銅(Ⅱ) 天然に藍銅鉱(らんどうこう)として産する。硫酸銅(Ⅱ)水溶液に硫化水素を通じて沈殿させるか、銅と硫黄とを直接加熱反応させる。化学式CuS、式量95.6、比重4.6(測定温度20℃)、黒色の粉末または青黒色の結晶(六方晶系)。導電性は硫化銅(Ⅰ)よりも大きい。加熱すると220℃で分解が始まり、硫化銅(Ⅰ)を生ずる。湿った空気中で徐々に酸化され、硫酸銅(Ⅱ)を生ずる。水にほとんど不溶(溶解度18℃,3.4×10-5g/100mL)。酸を加えない水にはコロイド状に分散しやすい。希無機酸にほとんど不溶。熱硝酸、シアン化カリウム水溶液によく溶ける。
[中原勝儼]
【Ⅰ】硫化銅(Ⅰ):Cu2S(159.16).天然には,輝銅鉱として産出する.銅と過剰の硫黄とを加熱するか,硫化銅(Ⅱ)と硫黄とを水素気流中で加熱すると得られる.α,βの2形が知られる.α形は91 ℃ 以上で安定である.立方晶系.黒色.密度5.79 g cm-3.融点1130 ℃.β形は斜方晶系.黒色.密度5.6 g cm-3.融点1100 ℃.Cu2Sはイオン導電体である.希硝酸に溶けて硝酸銅(Ⅱ)と硫化銅(Ⅱ)になる.熱硝酸では硝酸銅(Ⅱ)と硫黄および酸化二窒素を生じる.濃硫酸と反応して硫化銅(Ⅱ),硫酸銅(Ⅱ)および二酸化硫黄を生じる.水,塩酸に不溶,アンモニア水に可溶.空気中で加熱すると,二酸化硫黄を放出して酸化銅(Ⅱ)に変化する.蛍光塗料,触媒,硫黄や銅の製造,帯電防止繊維の製造などに用いられる.[CAS 22205-45-4]【Ⅱ】硫化銅(Ⅱ):CuS(95.61).天然には,銅藍として産出する.銅(Ⅱ)塩水溶液に硫化水素を通じて得られる.黒色または青黒色.六方晶系.転移点103 ℃ で単斜晶系にかわる.密度4.64 g cm-3.220 ℃ で分解して硫化銅(Ⅰ)となる.水,希酸,エタノール,アルカリに不溶.熱硝酸に溶けて硝酸銅(Ⅱ),硫黄,酸化二窒素を生じる.シアン化アルカリ水溶液,多硫化アルカリ水溶液に可溶.乾燥した空気中では安定であるが,湿った空気中では酸素により徐々に酸化されて硫酸銅(Ⅱ)を生じる.繊維の染色(アニリンブラックの顕色剤),混合触媒,船底塗料などに用いられる.硫化銅鉱物はいずれも金属銅の原料として用いられる.[CAS 1317-40-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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