磁変星(読み)ジヘンセイ(英語表記)magnetic variable

デジタル大辞泉 「磁変星」の意味・読み・例文・類語

じへん‐せい【磁変星】

強い磁場をもち、その強さが時間的変化する星。スペクトル線に見られるゼーマン効果により、その存在が明らかになった。磁場の強さは数百ガウスから数万ガウス、数時間から数年周期で変化するものが知られる。磁気変光星

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁変星」の意味・わかりやすい解説

磁変星
じへんせい
magnetic variable

磁場の強さが時間によって変化する星。 1946年 H.バブコックは,おとめ座 78番星のスペクトルゼーマン効果が存在することを発見した。その後,100以上の星に磁場が検出されている。その多くは 10日程度の周期で磁場極性が逆転したり,強さが変化する。りょうけん座α星の二重星コル・カロリは,周期 5.5日で-1400G (ガウス) から 1600Gにいたる変動を示す。とかげ座の HD215441は最強の磁場3万 4400Gが観測されている。白色矮星中性子星はさらに強い磁場をもっていると思われている。

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世界大百科事典 第2版 「磁変星」の意味・わかりやすい解説

じへんせい【磁変星 magnetic variable】

磁気変光星ともいう。数千ガウスの磁場をもち,かつその強さが1日~数十日の周期で変化する星。磁場の極性が反転する星もある。1946年以来約50個が発見されている。すべてA型の特異星(表面温度が7000~1万2000Kで,ケイ素Si,クロムCr,ストロンチウムSr,ユウロピウムEuなどのスペクトル線が異常に強い星)であり,磁場の変化とともにこれらの元素含有量も周期的に変化するように見えるものが多い。強い磁場の存在と特異な元素の過剰な存在との関連性については諸説があるが,その一つとして,磁場が気体の自由な拡散混合を妨げるので,特別な原子イオンが光の放射圧を受けて星の上層だけに集まりやすいという考えがある。

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百科事典マイペディア 「磁変星」の意味・わかりやすい解説

磁変星【じへんせい】

磁気変光星とも。強い磁場をもち,その強さが1〜数十日の周期で変化する星。ケイ素,ストロンチウム,ユウロピウムなどのスペクトル線が異常に強い特異星である。

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世界大百科事典内の磁変星の言及

【恒星】より

…A型特異星には数千ガウスから,なかには数万ガウスに及ぶ磁場の観測される星がある。一般に自転に伴う周期的な強度変化が見られ磁変星と呼ばれる。フレア星などのM型矮星では表面の相当部分を極性の違う二つの超大黒点が覆っていると考えられ,またある種の白色矮星やパルサーとして観測される中性子星には,それぞれ106~1012ガウスにも及ぶ強大な磁場があるものと考えられている。…

【変光星】より

…食変光星は,二つの星が連星系を作っていて,その共通重心のまわりに軌道運動しているのだが,たまたま軌道面が観測者の視線に近い方向を向いている場合,ちょうど日食のとき月が太陽を隠すように二つの星が交互に相手の星を隠す食現象によって,周期的に明るさが変わる星である。そのほか,磁変星も幾何学的変光星の仲間に入れることができよう。磁変星は磁場が観測されていて,磁場の強さが周期的に変化する星である。…

※「磁変星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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