会社という社団の構成員である社員が、社員としての地位に基づいて社団に対して有する権利義務の総体。株式会社における株主権がその典型である。社員権に包含される権利は、共益権と自益権とに大別される。共益権は、社団の管理運営に参加することを内容とする権利であって、議決権、各種の監督権、人的会社の業務執行権などがその例である。自益権は、社員が社団から経済的利益を受けることを内容とする権利であって、営利法人における剰余金分配請求権・残余財産分配請求権、非営利法人における社団の施設を利用できる権利などがその例である。現在の通説は、この共益権と自益権とは、社員権という単一の権利から派生する二つの権能であると解し、共益権が社団的制約を受けるにしても、基本的には社員自身の利益のための権利であるとして、共益権と自益権を包括する社員権の概念を肯定している(社員権説)。
これに対し、社員の有する権利は自益権だけであり、共益権は、社員が社団の機関としての資格において有する権限であって、社団自体の利益のために行使すべきものであるから、このように性質を異にする自益権と共益権とを、社員権という包括的な概念に統一することはできないとして、これを否定する説がある(社員権否認論)。
[戸田修三・福原紀彦]
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…しかし,〈数種の株式〉等のように,商法は,この原則に対する例外として,法定の態様の範囲内で定款により権利の内容の異なる株式を定めることを認めている。
【社員権】
株式の本質をいかに解するかについて,通説は,株式をもって一般の社団における社員の地位と同一のものであって,多くの権能を有する単一の権利(社員権,株主権)と解している(社員権論)が,社員の地位は義務をも包含するから,社員権,株主権という用語をさけて,社員の地位,株主の地位ということが多い。しかし,自益権と共益権とは性質が異なり,共益権は社員が社員たる資格において有する権利ではないとして,社員権という概念を否定し,株式をもって自益権の総体と解し(社員権否認論),または利益配当請求権と解する説(株式債権論)もある。…
…社員の義務には,出資義務などがある。 これらの権利義務を包括するものとして,ないしは社員たる地位をさすものとして,社員権なる概念が通常用いられる。社員権の内容をなす権利義務は,個人法上の権利義務と性質の異なるものであるからである。…
※「社員権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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