祆教(読み)ケンキョウ(その他表記)Xiān jiào

デジタル大辞泉 「祆教」の意味・読み・例文・類語

けん‐きょう〔‐ケウ〕【×祆教】

ゾロアスター教中国での称。5世紀ごろペルシアから伝わり、代には長安中心に栄えたが、9世紀、武宗による仏教弾圧の際に禁止された。拝火教

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精選版 日本国語大辞典 「祆教」の意味・読み・例文・類語

けん‐きょう‥ケウ【祆教】

  1. 〘 名詞 〙 中国で、ゾロアスター教の称。五世紀頃華北に伝わり、唐の初めにこの名で呼ばれて寺院も建てられたが、九世紀中頃、武宗の会昌五年(八四五)の仏教禁圧の時、禁制となった。〔西渓叢語‐巻上・山谷題牧護歌〕

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改訂新版 世界大百科事典 「祆教」の意味・わかりやすい解説

祆教 (けんきょう)
Xiān jiào

ペルシアのゾロアスター教に対する中国での呼名。拝火教ともいう。ササン朝国教となっていたこの教えは,中国へは,北魏(386-534)の中ごろには伝来し,北周,北斉にはしだいに広まって,宮中にも信奉者を見いだしていた。隋・唐時代になると,ペルシア人やイラン系の西域人がしきりに往来したが,彼らの大多数は祆教信者であったとみられ,彼らを取り締まるため,隋代には薩保ないし薩甫,唐代では薩宝(さつぽう)という官をおいた。ちなみに北周の宇文護の小字は薩保であった。唐代では,教徒たちの拝火の殿堂である祆祠ないし祆寺は,敦煌,涼州,伊州はいうまでもなく,国都の長安に数ヵ所,また洛陽などに存在し,いわゆる三夷寺の一つであった。顔真卿の子の小字を穆護と称し,これは牧護と同じで,祆教の僧侶の意味である。唐の武宗は,845年(会昌5)の会昌の廃仏三武一宗の法難)の際,外来宗教をも弾圧し,祆教の僧侶2000余人を還俗させたため,勢力を失ってしまったが,その余流が宋・元まで存在したことが確認されている。
ゾロアスター教
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「祆教」の意味・わかりやすい解説

祆教
けんきょう
Xian-jiao; Hsien-chiao

ペルシアのゾロアスター教が中央アジアを経て中国に流入した際,中国での呼称ササン朝の国教であったこの宗教は,東西交易に従事するソグド商人らにより南北朝時代華北に伝来。北朝,隋,唐で薩甫 (薩宝 ) という教徒の管理官を設けたり,唐代長安などに 祆祠の存在したことが文献に伝わる。信徒大部分が在留外人であったらしく,漢人社会にはほとんど浸透しなかった。会昌5 (845) 年の廃仏の際弾圧をこうむり,衰えた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「祆教」の解説

祆教
けんきょう

ゾロアスター教の中国名
唐代三夷教の1つ。6世紀ごろササン朝から中国へ伝わり,7世紀唐代に各地で相当に流行。長安をはじめ各地に祆祠や祆寺が造られた。唐の王室では玄宗以来,これを禁止しようとし,武宗のときの弾圧で,僧侶が還俗させられたため勢力を失った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祆教」の意味・わかりやすい解説

祆教
けんきょう

ゾロアスター教

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世界大百科事典(旧版)内の祆教の言及

【ゾロアスター教】より

…その主神アフラ・マズダの名を採って〈マズダ教〉,またその聖火を護持する儀礼の特質によって〈拝火教〉ともよばれる。中国においては,祆(けん)教の名で知られた。ゾロアスターの活躍時期については,前2千年紀中ごろから前7~前6世紀にわたる諸説があり,なお定説が得られない。…

【東西交渉史】より

…東方の中国を中心とする東アジアと,西方の西アジア・ヨーロッパとの,政治的・経済的・文化的交流の諸相を研究する歴史学の一分野。東西交通史,東西文化交流史ともいう。その叙述に,インドを中心とする南アジアと,東アジア・西アジア・ヨーロッパとの交流に関する記述を含ませる場合もある。東西交渉史の研究は,日本でも,比較的早くからその研究に着手され,特に1950年代以降急速に発達して,日本の東洋史学研究における代表的研究分野の一つとなっている。…

※「祆教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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