岐阜県
上流部には飛騨高原が広がり、高原を浸食する多くの支川とこれにより形成された高山、
大伴家持は
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
岐阜県北部,飛驒高地の川上(かおれ)岳(1626m)付近に源を発し,富山県中部を流れ富山湾に注ぐ川。幹川流路延長120km,全流域面積2720km2。上流は宮川と呼ばれ,岐阜・富山県境付近の猪谷(いのたに)(富山県富山市)で最大の支流高原(たかはら)川を合わせ,下流の富山県側が神通川と呼ばれる。富山県内の流路延長は46km。猪谷から下流,大沢野町笹津付近まで峡谷をなし,神通峡と呼ばれる。電源開発のためのダム湖が連続する。県境付近の横山から下流の楡原(にれはら)にかけての河岸には衝上(しようじよう)断層,猪谷付近には褶曲構造を示す露頭がみられ,それぞれ〈横山楡原衝上断層〉〈猪谷の背斜・向斜〉として天然記念物に指定されている。神通川が富山平野に出る笹津付近には段丘化した高位の船倉野扇状地,下位の大沢野扇状地があり,下流に新扇状地が形成されている。東に常願寺川の大扇状地が発達したため,神通川は西の呉羽(くれは)山丘陵に押しやられ,新扇状地の幅は狭くなっている。下流域では古くから洪水に悩まされたが,明治末以降,大きく曲流していた流路を直線化し,さらに1934年,東岸に並行する富岩(ふがん)運河が完成した。下流東岸には富山市市街地があり,河口には富山港(東岩瀬港)がある。河口沖合には海谷が形成されている。神通川沿いには飛驒街道(越中街道,国道41号線)が通じ,飛驒と越中を結ぶ。下流の笹津までは舟運もあり,また急流を利用して飛驒の木材流しも行われた。神通川水系では電源開発が盛んで,本支流合わせ55の発電所があり,最大出力総計は約79万kWに達している。
第2次大戦後,流域の農村地帯で顕在化したイタイイタイ病は,高原川に沿う飛驒市の旧神岡町の三井金属鉱業神岡鉱業所が排出したカドミウムの汚染によるものである。
執筆者:深井 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
富山県の中央部を北流して富山湾に注ぐ川。一級河川。延長120キロメートル、流域面積2720平方キロメートル。上流は岐阜県境付近で高原川(たかはらがわ)と宮川に分かれる。高原川は樅沢(もみさわ)岳の南斜面に発し、穂高(ほたか)岳と抜戸(ぬけと)岳・笠(かさ)ヶ岳の間を南流、平湯(ひらゆ)川、双六(すごろく)川をあわせて両岸に段丘を形成し、飛騨(ひだ)市下流では高原峡をつくる。宮川は太平洋斜面との分水山地の川上(かおれ)岳の北斜面に発し、高山盆地、古川盆地を貫流して小鳥(おどり)川をあわせてから峡谷状となり、さらに北流する。両川の合流点の富山市猪谷(いのたに)から下流は両岸に段丘を形成する。庵谷(いおりだに)峠付近の山地を迂回(うかい)して片地峡をつくり、富山市笹津(ささづ)付近から新旧の扇状地を形成する。右岸の最上位の隆起扇状地の高い段丘の下に大沢野の隆起扇状地があり、これを侵食した川は下流側で比較的狭い扇状地を形成する。神通川の新扇状地が狭いのは、常願寺(じょうがんじ)川の広大な扇状地に呉羽(くれは)丘陵寄りに押しやられたためである。神通川は渇水期でも日量130万トン程度の流量がある。1954年(昭和29)以来電源開発が進み、神通川第一、第二、第三ダムが建設された。このため猪谷下流は連続する湖水となり、神通峡といわれ、県定公園に指定されている。全流域ではダム17、発電所58、最大出力合計は約84万キロワットに達する。
なお、上流の三井金属鉱業神岡鉱山(現、神岡鉱業)から流出するカドミウム、鉛、亜鉛により、下流域とくに婦中(ふちゅう)町(現、富山市)ではイタイイタイ病が発生し、大きな社会問題となった。
[深井三郎]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…富山県神通川流域の農村地区で,第2次世界大戦後の数年間を中心に,主として更年期以降の経産婦がかかったといわれる骨軟化症様の病気。全身の激痛を訴えることから,この病名が通称として用いられるようになった。…
…県の政治・経済・文化の中心をなす。市域は富山平野のほぼ中央にあり,神通(じんづう)川と常願寺川の形成する複合扇状地と西側の呉羽(くれは)丘陵からなる。中心市街地は,近世には富山藩の城下町として栄えたところで,北陸街道と飛驒街道の分岐点にあたる交通の要衝でもあった。…
※「神通川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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