秘蔵(読み)ヒゾウ

デジタル大辞泉 「秘蔵」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぞう〔‐ザウ〕【秘蔵】

[名](スル)《古くは「ひそう」》
人にはあまり見せずに大切にしまっておくこと。また、そのもの。「書画骨董秘蔵する」
自分もとから離さず、大切にかわいがり育てること。また、その人。「秘蔵の娘」
その道の奥義として外部には出さない事柄
「―の事なれども、執心深ければ教へん」〈仮・可笑記・二〉
[類語]持つ有する擁する領する占める所持保有現有領有具有私有民有公有国有官有共有占有専有所有享有所蔵収蔵私蔵愛蔵死蔵退蔵珍蔵蔵する取って置き箱入り虎の子

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精選版 日本国語大辞典 「秘蔵」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぞう‥ザウ【秘蔵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「ひそう」 )
  2. ( 形動 ) 大切にしまっておくこと。秘して所蔵すること。珍重して大切に扱うこと。また、そのものやそのさま。
    1. [初出の実例]「授二部大曼荼羅法、百余部秘蔵」(出典:性霊集‐序(835頃))
    2. 「実に能馬也ければ、舎人あまた付て、内厩に秘蔵(ヒサウ)して立飼けり」(出典源平盛衰記(14C前)一四)
    3. [その他の文献]〔劉歆‐移書譲太常博士文〕
  3. ( 形動 ) 特に人に関して、非常に大切に扱うこと。非常にかわいがること。また、そのように扱われる人。御秘蔵
    1. [初出の実例]「沙金といひてならびなき美女ありけり。兵庫頭仲正なん思て秘蔵しけり」(出典:古今著聞集(1254)一六)
    2. 「いかにひさうのむすめなればとて」(出典:浮世草子・真実伊勢物語(1690)一)
  4. 大切に秘して、めったには外部にもらさない事柄。奥義。秘伝。
    1. [初出の実例]「この用意を忘れざるを馬乗とは申なり。これ秘蔵の事なり」(出典:徒然草(1331頃)一八六)
  5. 事柄を他にもらさないで、ひそかに隠しておくこと。
    1. [初出の実例]「従去三日主上御風、此両三日大事御也。雖然被秘蔵院者」(出典:中右記‐保延三年(1137)四月一二日)
  6. 気持や考えなどを心に秘しておくこと。
    1. [初出の実例]「女院今夕可御遁世、雖御素懐殊被秘蔵」(出典:兵範記‐久寿三年(1156)六月一二日)

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普及版 字通 「秘蔵」の読み・字形・画数・意味

【秘蔵】ひぞう(ざう)

大切に収蔵する。〔後漢書、馬融伝〕(広成頌)亦た方(はじ)めて將(まさ)に禁臺の祕を刊(ひら)き、天府の官常を發(ひら)き、質故業に因り、典刑(したが)はんとす。

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