種族(読み)シュゾク

デジタル大辞泉 「種族」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ぞく【種族/種属】

動物植物で、同じ部類に属するもの。
同一言語・同質の文化を共有する比較的小さな民族集団部族
天文学で、星を場所・年齢・HRエッチアールなどの違いにより分類したもの。散開星団で代表される銀河の腕の部分に存在する若い星が種族Ⅰ、球状星団で代表される銀河の中核部などに存在する古い星が種族Ⅱ。
[類語](2人種民族

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精選版 日本国語大辞典 「種族」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ぞく【種族・種属】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 同一の体質や性質を有するもの。同一種類のもの。類(たぐい)。ともがら。
    1. [初出の実例]「本刹帝利之種族浄飯王之宗裔也」(出典:参天台五台山記(1072‐73)五)
    2. 「藤家は其季で別の種族なり」(出典:史記抄(1477)四)
    3. [その他の文献]〔陸機‐瓜賦〕
  3. ( ━する ) 一族をことごとく殺すこと。一族を誅殺すること。〔漢書‐高祖紀〕
  4. 人種、民族などの人類集団の分類単位血縁、言語、宗教、慣習などを共通にする成員によって構成される。部族。
    1. [初出の実例]「止白里(シベリー)部中、彼此に鄂斯綽更(チスチャケン)と名く種族あり」(出典:輿地誌略(1826)一)
  5. 生物を分類する単位の種。
    1. [初出の実例]「或人嘗て一盞の蛹を奪ひ来りて其の種属の蟻に一個づつ与へしに一匹の蟻にて幾回にも之を運べり」(出典:小学読本(1884)〈若林虎三郎〉四)
  6. 天文学で、星を存在場所、運動、性状などの差異により分類したもの。銀河系の腕に主に存在する高温の星が種族I 、銀河系の中核に存在する星が種族II とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「種族」の意味・わかりやすい解説

種族
しゅぞく

人類を分類する際の一つの区分単位。人類の分類には種族のほか人種、民族、部族などさまざまあり、しばしば混乱して用いられている。人種は、皮膚毛髪、目の色その他の遺伝的・身体的特徴によって分けたときの単位で、これに対して民族は、文化、社会の違いに基づいて、人間の後天的・非遺伝的特徴によって分けた場合の単位である。部族は一般に、一定の地域に住み、言語を共有し、同質的な文化をもち、ある程度の「われわれ意識」をもつ人々の集団をさす。種族については、文化的に分類された単位が大きい場合は民族、小さい場合は種族と分ける考え方、集団内の人々自身の主観的分類に基づくものを部族、研究者の客観的分類に基づくものを種族とする考え方などさまざまあり、明確に概念規定された用語となっていない。また、民族にせよ種族にせよ、人種とは分類基準が異なるとはいっても、実際には人種と重なる場合が多いが、種族の「種」という語が生物学の分類上の「種」と混同され、種族を人種による分類と誤解することが多く、そのため今日ではこの語はあまり用いられない。

[板橋作美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「種族」の意味・わかりやすい解説

種族
しゅぞく
tribe; stock

人類を分類する単位の一つ。民族人種部族などとしばしば混同して用いられる。民族は文化や社会など後天的な要素による分類単位,人種は生物学的・自然人類学的分類単位として一応区別されるが,種族と部族とはほとんど同義であった。部族は政治的統合性が高く,部族成員自身による主観的分類単位であるのに対し,種族を文化の異同を基準とした研究者の客観的分類に基づく単位とする考え方もあるが,明確な定義とはなっていない。また人種と類似した言葉であるため誤用も多く,今日ではあまり用いられていない。

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世界大百科事典(旧版)内の種族の言及

【部族】より

…文化人類学(民族学)は民族誌的調査にあたって,その研究対象とする人間集団を指して恣意的に部族と呼びならわしてきた。よく似た語に種族,民族がある。それらは人種,言語,文化(生活様式と価値体系など)を共有する人間集団とされているが,部族はこの3者に加えて特定の地域に居住する人々という限定をおくのが普通である。…

※「種族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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