けい‐こ【稽古】
〘名〙 (「古(いにしえ)を稽(かんが)える」の意)
①
古事を考えて、物事のかつてあったあり方とこれからあるべき姿とを正確に知ること。
※三代格‐一七・弘仁一三年(822)三月二六日「百姓屡飢。或至レ死者在。夫事若二稽古一、国則隆泰」 〔書経‐堯典〕
② 書を読んで
学問すること。また、学んだところを
復習すること。学問。学習。
※三代格‐一・弘仁格序(830)「臣等学非二稽古一、才闇二当今一」
※
小学読本(1873)〈
田中義廉〉一「人の稽古に、種々ありといへども、先づ書を読み、字を写し、物を数ふることを、学ぶを、第一の努めとす」 〔後
漢書‐桓栄伝〕
※
平治(1220頃か)上「彼の在所に籠もり居て〈略〉ひとへに
武芸をぞ稽古せられける」
④ 修行の功を積んで、
学識や才能がすぐれていると高く評価されること。
※花園天皇宸記‐元応二年(1320)九月二日「丹伊於寺門可然之稽古者也」
⑤ 特に、
刻苦勉励して古事につくという意を強めていう。
※
明月記‐承元元年(1207)一一月八日「此人本自全無
二時代了見之心
一、以
二見及事
一為
二先例
一、世以為
二稽古之器
一」
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デジタル大辞泉
「稽古」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「稽古」の読み・字形・画数・意味
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稽古
本来は中国語で「稽」は考える、「古」は昔のことを意味する。つまり、昔のことを考え調べて今どうしたらよいか知ることという意味で、そこから書物を読んで学ぶことという意味になった。これが日本では中世以降、学問から離れて芸事や武芸に限定して、習うことという意味で用いられるようになった。
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世界大百科事典内の稽古の言及
【寒稽古】より
…一年中でもっとも寒い寒中の一定期間,早朝あるいは夜間に武道や音曲を稽古する日本古来の修行法。現代武道においてもこの伝統的な稽古法は広く行われ,寒中に5~15日くらいの間で日数を定め,早朝寒さにうちかって激しい訓練をすることにより,精神的錬磨をおもな目的としている。…
【秘伝】より
…類義語に秘事口伝,秘説,密伝,奥説などがある。上の教学,家学から茶道,花道,武道など芸能諸分野に至る教育と練習はおのおの固有の形式に習熟することを基礎として〈稽古〉が重視される。秘伝はこの稽古の最終的段階で伝授されるものである。…
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