積乱雲(読み)セキランウン

デジタル大辞泉 「積乱雲」の意味・読み・例文・類語

せきらん‐うん【積乱雲】

十種雲形雲級)の一。垂直に高く盛り上がり、大きな塔のように見える雲。上部には氷晶ができ、広がって朝顔状や鉄床かなとこ状になることが多い。雷雨を伴うことが多く、ときにはひょうを降らせる。略号はCb。入道雲雷雲 夏》「天を焼く―の育つかい林火」→雲級
[類語]巻雲巻積雲巻層雲高積雲高層雲乱層雲層積雲層雲積雲

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精選版 日本国語大辞典 「積乱雲」の意味・読み・例文・類語

せきらん‐うん【積乱雲】

  1. 〘 名詞 〙 鉛直方向に発達した大きな雲。山のような頂をもつ入道雲で、下部には暗雲が広がる。水滴と氷晶を含み、雹(ひょう)や、にわか雨・雷などを伴うことが多い。十種雲形の一つ。俗称、入道雲・かなとこ雲・雷雲・夕立雲。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「素ばらしい積乱雲(セキランウン)の華麗な色調である」(出典:旅‐昭和二一年(1946)復刊号・槍ケ岳写生行〈足立源一郎〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「積乱雲」の意味・わかりやすい解説

積乱雲
せきらんうん

雄大積雲の上部に鉄床雲(かなとこぐも)が生じたもの。記号Cb。入道雲、雷雲ともいう。大気の成層状態が不安定なときには、大気下層に発生した積雲が急速に上空に向けて発達し、雲頂が圏界面の近くまで達することがある。この状態を雄大積雲という。積雲の雲粒は水滴であるが、上空まで発達すると気温が下がり氷晶が発生する。小さな氷晶は上昇気流によって対流圏上部まで吹き上げられ、そこで水平に広がる。その部分を鉄床雲(鉄雲(かなとこぐも)とも書く)という。積乱雲の直径は10キロメートル、高さは、中緯度で8キロメートル、低緯度で16キロメートル程度である。激しい雨(夕立スコール)または地表気温が0℃以下であれば雪を降らせる。ときとして、雷鳴、雷光を伴い、雹(ひょう)を降らせることがある。雲底は低く、暗く、乱れており、ちぎれたような雲(片乱雲(へんらんうん))を伴う。積乱雲の内部から冷たい空気が吹き下りて地表面に沿って広がることがあり、その先端にはアーチ雲とよばれるロール状の雲が発生することがある。

[木村龍治]

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百科事典マイペディア 「積乱雲」の意味・わかりやすい解説

積乱雲【せきらんうん】

十種雲形の一つ。垂直に発達する雲の一種で,形は積雲に似ているが,垂直方向の発達が著しく,その頂は山や塔状に立ち上がり,入道雲と呼ばれる。その上部は氷晶からなり,種々の形を示すが,かなとこ状に広がっていることが多い(かなとこ雲)。一般に驟雨(しゅうう)性の降雨を伴い,ときにはひょうを降らせる。国際式略記号はCb。
→関連項目あられ(霰)坂東太郎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「積乱雲」の意味・わかりやすい解説

積乱雲
せきらんうん
cumulonimbus

垂直に発達した雲。略号Cb。形は積雲に似ているが,雲塊がさらに垂直に著しく発達しており,山や塔の形をして立ち上がる。日本では入道雲や雷雲ともいわれる。上部は氷晶からなり繊維状の構造をなして,下部は乱層雲に似る。短い時間で急速に発生・発達するため,強雨突風,落雷,降ひょう(雹),竜巻などを突然引き起こすことがある。略号でシービーと呼ばれることもある。

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パラグライダー用語辞典 「積乱雲」の解説

積乱雲

積乱雲は過剰発達した対流性の雲で、もとは積雲が成長して変化する。入道雲。大気の状態が不安定な時に発生しやすく、非常に強い上昇、下降流と乱気流そして雷やひょう等を伴う。雲の成長は成層圏まで達し、それ以上昇れない雲は横方向に伸びる為、丁度、金床のような形になることから金床(かなとこ)雲とも呼ばれる。この雲に捕まると普通の飛行機でも操縦不能、空中破壊の危険がある。

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世界大百科事典(旧版)内の積乱雲の言及

【雲】より

… なお,地面付近で,暖かい気塊と冷たい気塊の混合,または地面の放射冷却などで空気が冷えるときなどに発生したものはと呼ばれる。
【性質】
 雲粒の大きさや濃度(1cm3中の個数)は雲の種類や成長段階によって違うが,たとえば小さい大陸性の積雲では大部分の雲粒は半径5μmで200~300個/cm3程度,積乱雲中では10μmで100個/cm3程度である。急速にできた雲中では粒の大きさの程度(粒度分布)はそろっているが,比較的ゆっくりできた雲中においては大小の雲粒がまじって幅広い程度分布となっている(図1,図2)。…

※「積乱雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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