(読み)セキ

デジタル大辞泉 「積」の意味・読み・例文・類語

せき【積】[漢字項目]

[音]セキ(漢) [訓]つむ つもる
学習漢字]4年
つみ重ねる。つみ重なる。「積載積雪積善積年積弊山積集積堆積たいせき蓄積沈積累積
不平などの感情がたまる。「積怨せきえん鬱積うっせき
広さ。かさ。「体積面積容積
掛け合わせて得た数値。「相乗積
[名のり]あつ・かず・かつ・さ・さね・つね・つみ・もち・もり

せき【積】

積むこと。積もること。また、積んだもの。
「お庄は空罎の―の前に立って」〈秋声足迹
大きさ。広さ。余裕。
「ただ一寸の―もない程詰んでいる」〈漱石・永日小品〉
二つ以上の数や式を掛け合わせて得られる数や式。乗積。⇔

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精選版 日本国語大辞典 「積」の意味・読み・例文・類語

つもり【積】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「つもる(積)」の連用形の名詞化 )
  2. つもること。かさなって量が増えること。回数をかさねること。また、その結果。
    1. [初出の実例]「春雨にふりかはりゆく年月の年のつもりや老になるらむ」(出典:平中物語(965頃)五)
  3. あらかじめ見はからって計算すること。みつもり。予算。また、計算。計算法。
    1. [初出の実例]「周は四方どちも百里のひろさぞ。これやうなつもりは周礼の書にあるぞ」(出典:玉塵抄(1563)二)
  4. たぶんそうなるだろうという考え。また、こうしようとする意図。心ぐみ。
    1. [初出の実例]「思ひ入の女郎請出してしまふて、悪所の通ひをやめたが上分別といふ人あれど、それは岡のつもり也」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)六)
    2. 「おらア路考茶といふ色ではやらせるつもりだ、むごくいふぜ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
  5. 推量推測。また、想像。
    1. [初出の実例]「最も疾に死んだ跡をくすりはなきか、何のかのと探り廻るが、鉄砲で打殺した物が薬位で届くものじゃアないはな。つもりにもしれたものだ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
  6. 工面(くめん)。調達。才覚
    1. [初出の実例]「米買銭のつもりをおまへがして、節季に逃あるかぬやうにしてお置き」(出典:咄本・諺臍の宿替(19C中))
  7. 限度。かぎり。際限。終わり。はて。
    1. [初出の実例]「こころよくて、食ふ人病なく若くなり、また塩のおほさつもりもなく、三十層倍にもなりければ」(出典:御伽草子・文正草子(室町末))
  8. 酒宴の終わりの杯。また、酒席でその酌限りに終わりとすること。納杯。おつもり。
    1. [初出の実例]「つもり 飲酒の畢りをつもりと云。つもりはつまり也とまり也。つもり、つまり、とまり同じ言なるべし」(出典:俚言集覧(1797頃))

積の語誌

( 1 )中古及び中世前期には、もっぱら積みかさなることというの意味で用いられていたが、中世後期から近世にかけて、動詞「つもる」と共に、多く金銭に関わる計算といったの意味用法が現われ、近世末にはの意にも使われた。
( 2 )近世では、計算の意味が拡大されて、ある事柄について予測をするところからの推量用法が生じ、また、将来の予定というところから、の意志用法も派生し、文化文政期の頃から、用例が急速に増え始める。
( 3 )幕末から明治にかけて、の推量用法は衰え、もっぱらの意志用法が主となる。それに伴って、構文上も、断定辞や終助詞などを伴って文末に現われる形式の固定化が進み、現在では、文中単独で現われることはほとんどない。
( 4 )一方、に含まれていた、数をかさねる意から、中世末に、回数をかさねてそれ以上かさねられなくなることを「つもり(も)なし」というようになっての意が生じ、の用法につながった。


せき【積】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 積むこと。積もること。また、その量。
  3. 立体の大きさ。体積。かさ。
  4. ひろさ。余裕。
    1. [初出の実例]「其土壌の広さは、太平海平地と略其積を同くすれども」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
  5. いくつかの数や式などを掛け合わせて得た答。乗積。
    1. [初出の実例]「同じ数の二つの羃(べき)の積(セキ)は即ち又其の数の羃であって、積の指数因子の指数の和に等しい」(出典:搦手から(1915)〈長谷川如是閑〉ひとりもの)

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【癪】より

…近代以前の日本の病名で,当時の医学水準でははっきり診別できないまま,疼痛のともなう内科疾患が,一つの症候群のように一括されて呼ばれていた俗称の一つ。単に〈積(せき)〉とも,〈積聚(しやくじゆ)〉ともいわれ,また疝気と結んで〈疝癪〉ともいわれた。平安時代の《医心方》では,陰陽の気が内臓の一部に集積して腫塊をなし,種々の症状を発すると説かれ,内臓に気が積んで腫瘤のようなものができて発症すると考えられ,癪には日本人に多い胃癌(がん)などもあったと思われる。…

※「積」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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