空しい(読み)ムナシイ

デジタル大辞泉 「空しい」の意味・読み・例文・類語

むなし・い【空しい/虚しい】

[形][文]むな・し[シク]
空虚である。内容がない。「―・い言葉
無益である。むだである。かいがない。「―・く時が過ぎる」「奮闘―・く敗退する」
かりそめである。はかない。「―・い世の中」
(「己をむなしゅうする」などの形で)我欲先入観などを捨てる。「心を―・くして対処する」→己を虚しゅうする
事実無根である。根拠がない。
「―・しき事にて人の御名やけがれむ」〈少女
死んで魂がない。
「跡の妻子共、今一度―・しきかたちをもさこそ見度く思ふらめとて」〈太平記一六
[派生]むなしさ[名]
[類語]はかない虚無

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「空しい」の意味・読み・例文・類語

むなし・い【空・虚】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]むな〘 形容詞シク活用 〙
  2. 中に物がない。そこにあるべきものがない。空虚である。内容がない。→空しくする
    1. [初出の実例]「乾政官の大臣には敢て仕へ奉るべき人無き時は、空(むなしク)置きてある官にあり」(出典:続日本紀‐天平宝字四年(760)正月四日・宣命)
  3. 事実無根である。根拠がない。
    1. [初出の実例]「むなしき事にて、人の御名やけがれん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  4. 頼るに足る確かなものではない。かりそめである。はかない。
    1. [初出の実例]「世の中は牟奈之伎(ムナシキ)ものと知る時しいよよますます悲しかりけり」(出典:万葉集(8C後)五・七九三)
  5. いたずらに経過する。ある行為や事柄の効果が現われない。かいがない。
    1. [初出の実例]「大夫(ますらを)や 无奈之久(ムナシク)あるべき」(出典:万葉集(8C後)一九・四一六四)
  6. 死んで魂がなくなっている。命がない。→空しくする空しくなる
    1. [初出の実例]「むなしき御骸(から)を見る見る、猶おはする物と思ふがいとかひなければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)

空しいの派生語

むなし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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